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教室の空気が、ゆるく流れている。
前では誰かが話し続けている。
声はある。
けれど
僕はただ一点を見つめていた。
(なんで、こうなるんだ)
机の木目を追いながら、ぼんやりと思う。
止めようとはしない。
止まる気もしない。
「……ダサいよ」
ふと、浮かぶ。
短い一言。
それだけで、それ以上は続かない。
(……はぁ)
小さく息が抜ける。
何かを考えるわけでもない。
ただ、少しだけ重いものが残る。
「神聖王国ってマジかよ」
「世界一デカい教会だろ」
「理事長が信者で――」
声が通り過ぎてなにも引っかからない。
(……)
一瞬だけ、
その単語に触れる。
教会。
神聖王国。
ほんの一瞬だけ考えたが、よく分からないのでそのまま思考は止まった。
(話聞いてないから分かるわけないか)
少しして、
また浮かびそうになるが、誰かに名前を呼ばれた。
少し遅れて、顔を上げる。
視界がだんだん戻っていく。
前に立つ人影。
何かを聞かれているらしい。
内容は分からない。
「あ、いや、大丈夫です」
(とりあえずこれ言っとけば大丈夫だ)
また視線を落とす。
また何も考えず、
そして時間だけが過ぎる。
(僕の人生みたいだ)
何もない時間の中で、
ふと、
同じところに戻る。
同じ事の繰り返しだ。
答えは出ない。
探そうとも思わない。
ただ
そのまま、座っていた。




