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「……こっち見てよ」


静かに落ちる。


「……見てるって」


小さく返す。


でも


目は逸れたまま。


「見てない」


間を置かずに返る。


(……)


一瞬、沈黙。


次の瞬間――


「……うるせぇな」


レインが先に言う。


空気が止まる。


ティアの動きが、ほんのわずかに止まった。


「……いいだろ、別に」


視線は逸らしたまま。


「……見られるんだよ」


言葉が荒れる。


止まらない。


「……一緒にいんの」


「……全部、比べられんだろ」


吐き出す。


「……ああいうの、もういいんだよ」


一瞬だけ、詰まる。


頭に浮かぶ。


入学式。


ざわつく空気。


視線。


――セシリア。


(……もう分かっただろ)


思考を押し潰す。


「……あれで十分だって」


低く、落とす。


「……並ぶ意味、ないだろ」


沈黙。


今度はティアが、言葉を失う。


ほんの一瞬だけ。


「……は?」


ゆっくり、顔を上げる。


「それ、本気で言ってる?」


一歩、近づく。


「カイルやミレイって子も」


「……」


「自分より下だと思ってるから一緒にいるの?」


間。


「……違うでしょ」


声が強くなる。


「そんなわけないでしょ」


(……)


言葉が出ない。


さっきまでの勢いが、止まる。


「周りばっか見てる」


「だからそうなるんだよ」


一歩、踏み込む。


距離が詰まる。


「比べられてるとかじゃなくて」


「自分で比べにいってるだけでしょ」


(……)


刺さる。


でも


「……知らねぇよ」


小さく返す。


視線は上がらない。


「……僕はそう思ってるだけだ」


それで終わらせようとする。


「……それが嫌なんだよ」


少しだけ、声が落ちる。


「……ああいうの、もういらねぇんだよ」


(……)


沈黙。


ティアが、じっと見る。


「……レイン」


名前を呼ばれる。


「それ」


少しだけ間を置いて


「私のこと、見てないよね」


(……)


止まる。


何も言えない。


「周りばっか見てる」


「……」


「だから、勝手に決めつけてる」


一歩、近づく。


ほとんど距離がない。


「だから、周りじゃなくて」


息がかかる距離。


「……私を見て」


(……)


何も言えない。


視線も上げられない。


「……はぁ、」


小さく息を吐く音。


足音が離れていく。


(……)


その場に残る。


動けない。


――いや


動けないんじゃない。


動きたくないだけだ。


「……」


耐えきれずに、背を向ける。


廊下を歩く。


足音がやけに響く。


(……クソ)


部屋に入る。


扉を閉める。


音が、強く響いた。


静寂。


(……)


「……私を見てよ」


頭に残る。


消えない。


(……)


ベッドに座る。


何も考えないようにする。


でも


消えない。


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