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森を抜けた先。


見えてきた村は――


「……静かすぎない?」


ティアがぽつりと呟く。


「だね」


(なんか、嫌な感じだな)


人の気配はある。


でも、


活気がない。


声が、ない。


村の中に入る。


数人、いる。


けど、


みんな下を向いている。


(……なんだこれ)


「なぁ」


近くにいた男に声をかける。


「ゴートンってどこいる?」


男は顔を上げた。


少しだけ、目を見開く。


「……お前」


「知らないのか?」


(ん?)


「何を?」


少しの沈黙。


「……連れていかれたよ」


「は?」


「領主直属の騎士団だ」


「エルフの件でな」


一瞬、思考が止まる。


(……は?)


「ちょっと待って」


「どういうこと?」


男は苦く笑う。


「そのまんまだよ」


「エルフを攫った件が全部バレた」


ティアの肩が、わずかに動く。


「……グリムだ」


男は吐き捨てるように言う。


(グリム……前に村でエルフ見せびらかしてた奴か)


「あの成金野郎が、エルフを見せびらかしてな」


「騎士団に目ぇ付けられて、捕まって――」


少し間。


「……全部吐いた」


「……」


「“俺だけじゃない”ってな」


「ゴートンの名前も、キラチンの名前も」


(キラチン……)


(まぁ、もういないけど)


「……で?」


「それで終わりじゃないだろ」


「終わるわけねぇだろ」


男は自嘲気味に笑う。


「村ごと調べられた」


「関わってた連中は、ほとんど連れていかれたよ」


「……」


「俺らも尋問は受けた」


「キラチンのことも聞かれた」


一瞬だけ、視線が泳ぐ。


「……あいつは、もう死んじまったからな」


(まぁ、死んだようなもんか)


「騎士団もそう判断したみたいだ」


風が吹く。


やけに冷たい。


男は、ぽつりと呟いた。


「……だから言ったんだ」


少しだけ、声が震える。


「エルフ村なんて、襲うべきじゃなかったって」


沈黙。


「この村は……もうおしまいだ……」


誰も、何も言わない。


静かすぎる村。


「……そう」


ティアが小さく呟く。


その横顔は、いつもより少しだけ固い。


(……いや)


(ちょっと待て)


(じゃあ)


(僕の金、どうなんの?)


一気に現実に引き戻される。


(いやいやいや)


(それどころじゃないのは分かってるけど)


(いやでもそれはそれとして――)


「レイン」


「ん?」


「どうするの?」


少しだけ考える。


(……どうするも何も)


(このままじゃ終わりだろ)


小さく息を吐く。


「決まってる」


「領主のとこ行く」


ティアが少し驚いた顔をする。


「本気?」


「本気」


(このままじゃ、何も回収できないし)


「行くしかないでしょ」


風がまた吹いた。


さっきより、少しだけ強く。


(……めんどくさいことになってきたな)


静まり返った村を背に、


僕たちは歩き出した。

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