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あれから、しばらく経った。


僕とティアは、森で修行を続けている。



「レイン、いくわよ!」


「はいはい――」


「火の精霊よ――我が敵を焼き払え!」


火球が放たれる。


――デカい。


(むりむりむりむり)


一瞬で迫る。


(これ避けないと!!)


横に飛ぶ。


ドンッ!!


地面が抉れ、土が吹き飛ぶ。


「……っぶな」


「避けたわね」


「いや、当たったら終わるやつでしょ今の!!」



「次は当てるわ」


「やめて!!」



別の日。


「風で動きを止めてから火を当てるの!」


風が足元を払い、体勢が崩れる。


(やば――)


すぐに詠唱。


(来る!!)


「火の精霊よ――!」


(避けろ避けろ避けろ!!)


無理やり体をひねったが、火球が頬をかすめた。


ドンッ!!


背後の木が吹き飛ぶ。


「惜しい!」


「惜しくない!!」



そんな日々が続く。


毎日、火と風。


毎回、ギリギリ。



最初から強かった。


それは分かってた。


でも――


(……おかしいだろ?)


確実に、当てに来てる。


動きも速くなってるし、詠唱も早い。


無駄も減ってきている。


「次は当てる」


「それ毎回言ってるよね?」


「今回は違うわ」


「全部そう言ってるでしょ」



また別の日。


風が来る。


(また足元――)


バランスを崩す。


(やばい!!)


すぐに詠唱。


(早い!!)


火球。


(これ避けないと!!)


無理やり横に転がる。


ドンッ!!


地面が爆ぜる。


「……っ、はぁ……」


息が少し荒くなる。


「どう?」


ティアがこっちを見る。


「……まぁ、いいんじゃない?」


「本当?」


「前よりはね」


「やった」


嬉しそうに笑う。


(前より、ってレベルじゃないだろ……)



その時だった。


ふと、違和感を覚えた。


「……あれ」


「どうしたの?」


「いや……」


周りを見る。


静かだ。


妙に静かすぎる。


「……なんか静かじゃない?」


「言われてみれば……」


さっきまであったはずの気配が、消えている。


風も止まっている。


(……なんだこれ)


嫌な感じがする。



「レイン」


「なに」


「なんか、変」


「……うん」


僕は木剣を握り直す。


(気のせいじゃないな)



森の奥。


何かが動いた気がした。


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