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翌朝。


森の空気は澄んでいて、朝日が木々の隙間から差し込んでいた。


レインが軽く体を伸ばしていると、ティアが歩いてきた。


今日はやけに自信ありげな顔をしている。


「お父様に魔法の基礎は教えてもらったわ!」


いきなりそう言った。


レインは「へぇ」と気のない返事をする。


ティアは胸を張った。


「私は魔力量が多いらしいし、結構戦えると思うの!!」


そしてビシッとレインを指差す。


「レイン、相手なさい。腕試しよ!!」


レインは少し眉を上げた。


「そんな簡単に倒せると思われているのは、とても癪だからね」


木剣を一本手に取る。


軽く振ってから構えた。


「コテンパンにしてやるとするか」


ティアはすぐに距離を取った。


そして両手を前に出す。


「火の精霊よ、我が呼び声に応え、敵を焼き払え!」


魔力が集まる。


次の瞬間――


火球が放たれた。


レインはそれを見て思った。


(初級の火魔法なんて、簡単に避けられ……)


一瞬止まる。


(で、デカくね?)


火球は明らかに普通より大きかった。


(えっ、あれ初級のファイヤーボールじゃねーの?)


レインは慌てて横に飛ぼうとした。


しかし焦りすぎた。


足がもつれる。


「うわっ!」


転んだ。


その瞬間――


ゴォォォッ!!


巨大な火球が頭の上をかすめていった。


森の木の幹が一部焦げる。


レインは地面に転がったまま、目を見開いた。


(あぶなっ!!)


急いで立ち上がる。


ティアはすでに次の詠唱に入っていた。


「火の精霊よ――」


レインは考える暇もなく走った。


一直線に。


距離を詰める。


ティアが少し驚く。


「えっ、ちょ――」


レインはそのまま叫んだ。


「うおーーー!!」


勢いのまま木剣を突き出す。


ピタッ。


木剣の先がティアの首元で止まった。


静寂。


ティアが目をぱちぱちさせる。


「……」


数秒後。


ティアは少し悔しそうに笑った。


「んーもう!レインに負けちゃった」


でもすぐに明るい顔になる。


「まぁ、流石はレインね!

早く追いつく為に頑張らなくちゃ!!」


レインは木剣を下ろした。


顔が少し引きつっている。


「ま、まぁ……」


咳払いをする。


「いい感じのところまでは行っていたからねー」


視線を逸らす。


「そんな張り切りすぎなくてもいいんじゃないかなーー」


(あぶねぇぇぇぇ。あれ普通の初級魔法じゃねーだろ……!!)


レインは額の汗をそっと拭いた。


ティアはそんなことに気づかず、やる気満々で言う。


「もう一回やりましょう!」


レインは一瞬だけ空を見上げた。


(……帰りたい)

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