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レインは、気まずそうな顔でティアに近づいた。
そして口を開く。
「やぁー、元気かい?……」
――絶対元気じゃないのに。
自分でも言った瞬間に分かった。
(絶対に間違った)
ティアも、その周りにいたエルフ達も――固まった。
まるで空気が止まったようだった。
「……」
「……」
「……」
(え、なにこの沈黙)
周りのエルフ達は完全に
「えっ、今それ聞くの?」
という顔をしている。
(いや、だって何言えばいいか分かんなかったんだよ……)
レインは心の中で弁解した。
するとティアが、ふいっと顔をそらしながら言った。
「……すごく元気よ」
明らかに強がりだった。
目はまだ少し赤い。
さっきまで泣いていたのがバレバレだ。
周りのエルフ達がざわつく。
「ティア様、無理しなくても……」
「というか、そもそも原因あの人間では?」
「そうよ!さっき泣かせてたじゃない!」
ヒソヒソ声が、全くヒソヒソしていない。
レインは頭をかいた。
(うわぁ……完全に悪者になってる……)
ティアは周りを睨んだ。
「うるさいわね。
私は別に、この人間のせいで泣いたわけじゃないわ」
エルフ達が一斉にレインを見る。
(こっち見んな)
レインは軽くため息をついた。
「……まぁ、とりあえず」
レインはポケットから布を取り出した。
そしてティアの前に差し出す。
「鼻水ついてる」
「なっ!?」
ティアの顔が一瞬で真っ赤になった。
周りのエルフ達も固まる。
レインは淡々と言った。
「ほら、拭きなよ」
「だ、誰のせいよ!!」
ティアは顔を真っ赤にして布を奪い取った。
レインは肩をすくめる。
「泣くのは別にいいけどさ。
次からはもっと安全な場所で泣きなよ。」
ティアは黙った。
そして小さく言った。
「……余計なお世話」
でも、その声は
さっきより少しだけ落ち着いていた。




