あとしまつ3 有始有終
陸が帰ってくるのが意外と遅かった。取りあえずは酒を持って帰っていたので良しと思っていたが、少量だが飲んだ様でそれを那由他にたしらめられていた。
その後の話し合いで尻尾を温羅の釜へ捨ていくのは示尾と陸が。目をこの体に還すのは小学校の卒業式の後に決まった。
その日に決まった理由は少年の記憶が戻っても、身体の成長や実際に月日が経っているので混乱するだろうからしばらく休みになる方が良いだろうとのことだ。
このことを貴羅に伝えたらどれだけ喜ぶだろう。
俺の目的は遂行されたから、身体と記憶を少年に返せる。
「おはよう。」
翌朝、教室で貴羅から声をかけられた。
「おはよう。」
昨日の家に陸から目のことを聞いてなかったのだろうか?思っていたよりも貴羅は嬉しそうでなかった。…と言うよりもいつも通りの様だ。これは話てないな。
「昨日の話し合いで貴羅に貸してる目を卒業式の後にこの目に還す事になったんだ。」
「ほんとうに?」
少しだけ貴羅が声を荒げた。こんな貴羅は初めてだ。
「陸や不言から何も聞いてないのか?」
「目のことは何も聞いてない。お父さん、昨日屋敷で火事を起こしてしまって、それを近隣住人に見られたから尻尾を捨てに行ったらもう帰るつもりは無いって言われた。警察も放火で追ってるだろうって。」
「本当か?」
己達は何も聞いてない。
「うん。」
「なぜ故火を?」
「不要品燃やしてたら引火したって。」
だから昨日、酒を取りに行っただけにしては遅く戻ってきたのか。
「貴羅!!!」
祢呼が教室に入るとすぐに大声で呼んだ。
「大丈夫だったの!??心配したんだよ!!おじさんは??」
「大丈夫。」
「なんか必要なものとか大切なものは?」
「震災後から隠り世の方で生活してるから特に心配は無い。」
もう呆れたと言うか陸らしいと言うか…。
祢呼と話す貴羅は心做しか嬉しそうで少年を五体満足のまま彼女に返せて良かったと思った。
放課後に貴羅と別れた後に、祢呼が神妙な顔をして話しだした。
「今日のキラさ、精神的にまいって気持ちが高ぶっちゃっておかしくなってたのかな?今は住んでないとはいえ、ふつう自分が住んでた家が燃えたら動揺するよね。なんか嬉しそうな感じになってるんだけど…」
途中、己が笑ってしまったので祢呼に怒られたが事情を話すとなぜ貴羅がそう見えたのか理解したようで彼女も嬉しそうな顔をした。




