狐と尻尾6 狂喜乱狐
やはり、筆子の方が女狐で鎮夫の方が妹の雉鶏精だった。
「雉鶏精は我輩が抑えてるので然さんは狐を追ってください!」
不言にそう言われる前から己は四脚のまま走った。
しばらくは水跡を追っていたが、対象が近づいた時、己は墨夫の笑い声で正確な位置を把握した。墨夫は半分狐の姿では妹の首を絞めていた。
「あははははははは」
ここで死なれたらまずい。筆子の体から出た魂は何処へいく?少年の体の己では掴むことどころか見ることも出来ないのだ。
まだ生きてるのか、もう死んだのかもわからないまま兄妹の所へ人の姿に戻りながら駆け寄った。
「辞めるんだ、墨夫!」
死んだ筆子から墨夫にでも移り変えたのか?それなら貴羅に見てもらったら一目で判る。
「ははは、止めるなよ。やっと開放されるんだからさ。」
開放「された」ではなく開放「される」と言ったのでまだ筆子の息があると思ったがもう遅かった。
女狐の魂は近くにいるのか、それとも何処かへ行ってしまったのか…。これではまた振り出しだ。
「クソっ!!」
感情のままに墨夫の横腹を蹴った。彼は体を倒しながらも笑っていた。
「あ"ーもうっ!!」
墨夫の笑い声が癇に障る。
とりあえず、雉鶏精が、残っていたので兄妹をそのままにして戻ることにした。




