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別れ
「ハハッ、やっと繋がった。」
開口一番、京太はそう笑った。
「マンションにも行こうかと思ったんだけど、
郁の気持ちの整理ができるまで待とうかなって。
電話だけは毎日掛けてたけど。」
京太は優しい。私にはもったいない位。
結婚するなら京太みたいな人を選ぶべきだし、
幸せになれるに違いなかった。
だけど、そんな酷い事、できるわけない。
「京太、私がこんな事言う資格ないの分かってる。
けど、私たちもう戻れないよ…
京太と結婚なんてできない、
何もなかった事にして、
これからも京太と一緒にいるなんて、
私にはできない。本当にごめんなさい。」
京太は電話口ではぁーっと、長い溜息をついた。
「そう言われるの覚悟してた。
悪い、郁。
あの日さ、2人が話してるの聞いちゃったんだよ、
玄関入ったら、慶太怒鳴ってんだもんな、
参ったよ。」
それから、京太は引き止める事も、
これからを案じる事もしなかった。
もっと、酷い事を言われたかったのは、
自分の気持ちを少しでも和らげたかっただけ。
電話を切った後、段ボールに囲まれた部屋で、
眠る事なんて出来なかった。




