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巡る想い
引っ越しはあっという間に終わった。
それから、日常を取り戻すのもすぐだった。
季節はいつの間にか移っていて、
もう、ダウンコートが手放せない季節になっていた。
駅から歩くこの道も、
懐かしいと感じなくなっていたし、
眠れない日も、なくなった。
たまに、あの、コンビニの近くの公園に、
フラッと立ち寄ってはベンチに座って、
缶ビールを飲んでから、帰った。
どうしてもヒラケイへの想いだけ、
消す事ができなくて、
だけど、思い出してはいけない、
消さなきゃいけない、と、何度もそう巡る。
長く伸びたこの髪も、
もう、そろそろ、切ろうと思いながら歩いた。
顔に受ける風が冷たくて、
マフラーに顔を埋め、遠めに公園を見ながら、
ゆっくりと歩みを進める。
「…なんで。」
どうして、なんで。
気持ちとは裏腹、気が付けば走っていた。
「何考えてんの、風邪引いたら、どうするの…」
フェンスにもたれるその姿は、
どうしても愛しくて、
溢れた涙を止める事は出来なかった。




