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百花征く剣 ~ 殺して奪うか、“えっち”して複製するか ~  作者: 凪山キコ
第四章 モノ・インフィニティ編

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189 支配の刻印と屈しない誇り

 ――十分後。

 クラウディアを奴隷化することに成功した。

 〈服従契約サブミッションコントラクト〉も〈隷属刻印(スレイブマーク)〉も施した、完全な奴隷である。


 俺はクラウディアに命じた。


「ミノタウロスのオーブを外に出せ」


 ところが――


「ぐあぁぁぁっ!」


 クラウディアは、主人である俺の命に逆らった代償として襲いかかる激痛に耐え、オーブを渡さなかった。


「嘘だろ……ここまでできる人は初めて見たぞ」


 しばらくして激痛が収まると、クラウディアは荒い息を繰り返しながら言った。


「私は決して屈したりしない」


 俺は、これは時間がかかりそうだと頭を抱えた。

 ただ、これでここにいる全員が俺の奴隷になった以上、巨人エリアへ移動すること自体は可能だ。


 俺は一度屋敷を出て、ラグナとベルガがいる家に入ると、これから巨人エリアへ移動することを伝えた。

 家も屋敷も俺一人で運べるため、ラグナとベルガにはそのまま家の中にいてもらう。

 俺は家と屋敷を〈念動(サイコキネシス)〉で浮かばせ、巨人エリア最奥の集落へ向けて飛んだ。


 ◇


 一時間ほどで、巨人エリアの王の手前――俺が城壁で囲んでいる集落に到着した。

 浮かせていた屋敷と家を設置したあと、ひとまず悪魔のオーブを、保管している建物へ収納する。


「あとはクラウディアからミノタウロスのオーブを貰って、巨人の王を倒すだけだな」


 ――そのクラウディアからオーブを貰うのが、一番大変なのだが。


 ただ、奴隷化の際に気づいたことがある。

 クラウディアはイレーヌ並みに弱い。そして、同じように弱かった人物をもう一人知っている。

 戦乙女(ヴァルキュリア)騎士団の副団長エリスだ。彼女は痛みを伴う拷問には耐えられたが、性的な拷問には三日と耐えられなかった。

 そのことを考えれば、クラウディアにも同じ方法が有効なはずだ。


「あまり気が進まないが、殺さずにオーブを手に入れるなら、これしかないか」


 ――むしろ、ひと思いに殺すほうが彼女のためなのだろうか。

 一瞬そんな考えがよぎったが、やはり生きていてこそだと俺は思う。

 だから、この方法でやることにした。



 軽く昼食をとったあと、俺は再び屋敷の主寝室へ向かった。

 気配で俺の接近を察したクラウディアが口を開く。


「何度命じても同じことだ。私は絶対にオーブを渡さない」


 ――まあ、そうだろう。


 俺は事前に警告しておくことにした。


「クラウディア。奴隷化したときに、お前の弱点はわかった。これから食事と俺の用事以外の時間は、すべてお前への性的な拷問に充てる」


「な!?」


 おそらく、クラウディア自身も自覚している弱点なのだろう。


 彼女の持つ称号《無欲の剣》を最初に奪取すれば楽ではある。

 だが、俺はそれをするつもりはなかった。この称号は、《勇者》と《魔法殺し(スペルキラー)》を持つ俺には無意味であること、そして〈強制終了フォースドターミネーション〉を使わないほうが、より拷問として効果的だからだ。


 それに、《無欲の剣》では防げないものがある。

 ――スキル複製時の快楽倍率だ。

 これは〈催淫〉のような状態異常でも、魔法でもない。《無欲の剣》では防げないはずだ。


「ではまず、〈絶倫〉の複製で快楽倍率二倍から。ギブアップのときは、オーブを出すように」


 レベル2を二回複製して〈絶倫〉をレベル3にする。

 次に、快楽倍率八倍のレベル3を二回複製し、レベル4へ上げる。

 さらに、快楽倍率十二倍のレベル4を三回複製してレベル5へ――と、段階的に倍率を上げていく。


 レベル7の複製でレベル8まで到達したら、今度は別のスキルを最初からレベル7複製で進める。

 〈脳状態復元(ブレインリストア)〉を使えばレベル8複製も可能だが、記憶を消してしまうため拷問の意味がなくなる。


 ――レベル7までで、クラウディアを落とす。


 エリスが受けた拷問では、倍率を上げたりしていなかったはずだ。

 ならば、クラウディアはエリスよりも早く落ちる可能性が高い。


 三日もかからないだろう――そう思っていたが。


 クラウディアはイレーヌやエリス並みに弱い。

 〈強制終了フォースドターミネーション〉を使わなくても、休憩を挟みつつ一時間で十回以上の複製が可能だった。


 〈絶倫〉をレベル8まで複製しても、クラウディアは耐えた。

 続いて〈美容〉をレベル8まで複製――それでも耐えた。

 さらに〈料理〉をレベル8にした、そのとき――


 クラウディアの傍らに、ミノタウロスのオーブが現れた。


 一瞬、殺してしまったのかと焦る。

 だが、どうやらクラウディアが無意識に取り出しただけらしい。

 精神ではなく、肉体の限界により、奴隷契約が自動実行したのだろう。


 ――半日もかからずに終わった。


 俺はミノタウロスのオーブを亜空間に収納し、クラウディアに〈洗浄(クリーン)〉をかける。

 そして直接触れ、〈熟睡(ディープスリープ)〉で深い眠りに落とした。


「さて……クラウディアを含めて、騎士団の連中はどう扱うべきか」


 今解放すれば、面倒なことになるのは目に見えている。

 解放するなら、ダンジョンをクリアする直前だろう。


 ひとまず〈多重禁能呪マルチカースバンスキル〉でクラウディアのスキルをすべて封印し、視界を遮っていた〈空間規制スペースレギュレイション〉と拘束していた〈部分収納(パーシャルストレージ)〉を解除する。


「武具は没収だな」


 クラウディアの鎧と剣を没収し、身に着けていた下着は新品に修復した。

 そして、サイズが合いそうなターリア製の服と靴を、ベッド脇に揃えて置いておく。


 念のため、この部屋だけを〈空架障壁(スペースシールド)〉で囲い、クラウディアが主寝室から出られないようにしておく。

 主人の命に対し、激痛を伴いながらも逆らえる人物だ。ここまで無力化しても、警戒は必要だろう。

 ただ、これだと可哀想なので、主寝室内にトイレの部屋を増設しておいた。



 ちょうど夕食の時間だったため、屋敷を出てラグナとベルガのいる家へ向かう。

 二人に、無事ミノタウロスのオーブを手に入れたことを報告した。


 ラグナが言う。


「じゃあ、明日巨人の王のオーブを手に入れたら、このダンジョンもクリアなのね!」


 それに対し、俺は答えた。


「いや、石板にオーブを嵌めたあと、何が起きるかわからない。だから断言はできない。それと、このあとのケンイチの奴隷だった女性たちとの話し合いや、定期連絡の内容次第では、巨人の王への挑戦は数日遅れるかもしれない」


 今回は単に奴隷を地上へ送り出すだけではない。

 騎士団の扱い、そしてレオニアのドラゴンの問題もある。

 一日で終わるとは思えなかった。


 夕食を終えたあと、定期連絡の際にまた来ると二人に伝え、俺は屋敷へ戻った。

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