16嘘(後編)
東国に配属になり、ラナはすぐに力を発揮してくれました。翌日の会食にちょっと会っただけのロドルを見て過去の夢と一致させてしまった。あの時は心が震えました。
爆発事故が事故か事故じゃないかより、ロドルがそこにいたという事実が俺たちにとってはすごい発見でした。
ロドルが誰を消そうとしていたのか、すぐに被害者名簿を確認しました。
元財務管理補佐官の名前が残っていて、おそらく狙われていたのは彼だと目星をつけました。彼の住所を調べて行くと、彼の家族が泣きながら資料を渡してきました。これをいつか公にしたい、悪い奴が悪いと思わせたい、でもどう動いていいかわからないと、託されました。
ようやく、ずっと欲しかった証拠を、ラナの一言で手に入れられたんです。
今は、その証拠を持って、…ロドルと話をしようと思っています。
「…話はおおよそ、わかりました」
静かに全て聞いていたラナが、言葉を発した。
「聞いてくれてありがとうございます」
「じゃあ、次は私の番ですね。私が今朝見た夢をお話しします」
ラナは姿勢を正して四人の方を向いた。
「イリューがファタを庇って死ぬってこと?」
「おそらく話をする時だと思います。後ろから急に…多分女の人だと思います。丸みのある体つきでした」
「メトじゃないかなぁ、いつもそばにいる」
「どういう状況で襲われるのかがわかっていれば対処できる。ありがとうラナちゃん」
「この後、読み方に話してどう対応するか話しますが、気をつけてください」
「じゃあ、僕らは王邸に戻るけど、イリューはどうすんの。何か伝えることあるでしょ」
ラナはイリューが何を言ってくれるか期待した。
利用しただけではない何か別の気持ちがあったと言ってほしかった。
「何もないです」
体に冷たいものがスッと流れて、心が凍る。
何も、なかったの?
何も、なかったんだ…
何かを期待していたのは、私だけだったみたい。
シアとイリューが何か言いながら部屋を出て行く。ファタとターヴァは、丁寧に一礼して退出して行った。
***
「ばかイリューお前、何言ってんだ、ばか!」
「もう、これ以上ラナを危ない目に遭わせるわけにはいかない」
「だってお前、ラナちゃんのこと好きじゃん!それとこれは別だろ!?」
「これでいいんだ」
「ばか、ばかイリュー!もう知らん!」
シアはどかどかと大股で行ってしまった。
「子どもみたいなこと言って…」
「伝えるべきでした」
ファタはそれだけ言うとイリューを抜かしてシアを追いかける。
「俺は、別にどっちがいいとかはないけど、ダメだダメだって思えば思うほど好きな気持ちって大きくなるよね」
ターヴァはイリューの肩を軽く叩いて先に行ってしまった。
イリューは一人廊下に立ち止まり、しばらく動けなかった。




