12報告
「情報共有お願い致します」
ニアがイリューに一礼する。
「どうぞ」
「入浴時報告一、ラナ様は入浴時お風呂の中を自由に泳ぎました。報告ニ、ラナ様の長いお髪は本日はマール様が洗髪しており、その様子を新しく配属されたリズ様とアルマ様が学ばれていました。報告三、…」
「ちょっと待った。入浴時の報告はちょっと、照れるから、もういいよ」
「照れる?護ならばいかなる感情も消さなくてはいけません。消していただけますか、続けさせてもらいます」
「あの二人、何話してるのかな」
「さぁ、引き継ぎ?とかですかね」
珍しくイリューが、挙動不審になっていて、心なしか耳が赤い気がする。
「あれ、ニアが来た」
「ラナ様、報告完了致しました。私は隣の部屋に控えております。よろしくお願い致します」
ニアは深々と礼をして素早い動きで隣の部屋へ行ってしまった。
遅れてイリューがやって来る。
「何話してたんですか?報告?ですか」
「はい、…報告です」
やっぱりちょっと様子がいつもと違う。なんか変な報告されるようなこと、したかな。
「さ、夜も遅いですし、そろそろ寝ますよ。リズ、アルマ、寝室にお香の用意を」
「はい!!」
リズもアルマもとても素直で働き者だ。
東国の人には、自分は好かれてはいないことを実感しただけに、ラナはそばにいる人がやさしい人で嬉しい。
「ラナ様、大変申し訳ないのですが、今日はイリュー様と就寝なさってください、よろしいでしょうか」
寝室に入った途端、マールが申し訳なさそうに話した。マールの後ろにリズとアルマが同じく申し訳ない顔をして立っていたので何か仕事があるのだろう。
「わかったよ、大丈夫」
「ありがとうございます」
マールが頭を下げると、リズとアルマはもっと深く頭を下げていた。
その後すぐに退出していく三人を、ちょっとした覚悟を持って見送った。
「本当にいいんですか」
ソファベッドに腰掛けていたイリューが心配そうに尋ねる。
「大丈夫です。護ってください」
「承知しました」
細い煙がゆらゆらと登って消えていくのを、ラナはただぼんやり見ていた。
首のあたりまであるふかふかな布団が、心地よい。深く呼吸をして香りを感じる。
「今日のお香は薫衣草ね、いい香り」
「夢見は寝る前にお香を焚くのが日常なのですか?」
「うん。香りは自由なのだけど、毎晩炊いてると思います。眠りやすかったり、深い眠りが得られたり、心が安定したり、癒されたり、いろいろ効能があります…」
「眠そうですね」
「今日は、ありがとう…」
「ん?何ですか」
「今日、イリューがそばにいてくれて、本当に、よかった…」
ラナは眠気と葛藤しながら続ける。
「もっと嫌な気持ちになったり、すると思ってたけど…イリューと一緒で、楽しかったんです」
「そうでしたか、よかったです」
「これからも、よろしくお願いします…」
ラナは瞼を閉じて、眠りに入った。
「おそばにおります。安心してお眠りください」
イリューは、ラナの寝顔を見つめながら静かに言った。




