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ドラゴン娘とラノベ作家の現代生活  作者: 福耳 田助
2章:ドラゴン娘は現代生活を学ぶ
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12月5日(8) ドラゴン娘の特訓結果発表

5月27日 2/2


 夕食後、いよいよディーネの特訓の成果をお披露目する時が来た。


「見ているがいいコーヘーよ。 我が渾身の変身、今ここに披露しよう!」


 テンション高いなぁ。

 漸く(一日だけど)成果発表出来るのが嬉しいのか、それとも明日出掛けられるからか。

 或いは夕食(コロッケ)が気に入ったからご機嫌なのか。

 …最後のな気がするな。


「フフフ、今日一日掛け、充分に満足のいく出来に仕上がったぞ。 これならば“ひーろー”たる彼らにも決して見劣りすまい」


 いやだから特訓してたのは“変身”だよね?

 “変身ポーズ”じゃないよね?

 本当に大丈夫だろうか。


「では行くぞ!」


 シュバッ バッ ババッ!


 堂々たる仁王立ちで構えを取るディーネ。

 その構えから始まり、どこかのヒーローの如き華麗かつ力強い動きを見せる。

 つーか動きがキレッキレですね。

 それホントに必要なのか?


「変身!」


 ディーネの体が「カッ」と光を放つ。

 何故に。

 今までそんなの無かっただろ。

 わざわざ付けたのか?

 そのセリフも絶対いらないよね?

 ひょっとして思った以上にドハマりしてる?

 …その内飽きると思っておこう。

 後おもちゃ屋の類には絶対近寄らない様にしよう。



 閑話休題



 謎の発光現象が収まった後、そこにいたのは…。


「ふ、どうじゃ?」

「…おお(パチパチパチ)」


 思わず拍手。

 そこにあったのは、角も、翼も、尻尾も消えた、完璧に“人間”そのものになったディーネの姿だった。

 パーツが減っただけで大まかには変わってないのだが、一番目立つ部分が無くなったことで変化がとても大きく感じる。

 よく見れば瞳の色も、真っ赤だったのが茶色に変わっている

 …そう言えばまともに魔法を見るのはこれが初めてだな。


「凄いな、完璧だ」

「ふ、そうじゃろうそうじゃろう」

「たった一日でよく出来たな。 正直駄目なら駄目で仕方ないと思ってたんだけど」

「うむ、中々に難儀したわ。 しかしその分良い出来に仕上がったと自負しておる」

「ああ、確かに格好良かったよ。 初めて魔法を…」

「そうじゃろう! こう、ここの手の角度が拘った所でのう」

「そっち!?」


 やっぱりポーズの方が重要なのかよ!

 実は途中から何となくそんな気はしてたけども!


「?どうしたのじゃ」

「…何でもない。 それより、よく見たら目の色も変わってないか?」

「うむ。 向こうでもそうじゃが、こちらでも瞳が紅い人間は居らんのじゃろう? 色を変えるぐらいなら簡単じゃからの、ついでに付けておいた」


 成程、よく見れば色だけで爬虫類みたいな瞳孔の形はそのままか。

 まぁパッと見は普通だから、正面から凝視されたりしない限りは大丈夫だろう。


「…うん、これなら明日出掛けても問題なさそうだな」

「そうか!」


 嬉しそうだな。

 良かった主旨を忘れてなくて。


「取り敢えず明日着ていく服は俺ので間に合わせよう。 流石にそのジャージだとあれだから、ジーンズと、上はトレーナーで良いか。 明日買う服はどうするか…」

「その辺りは任せる。 我にはこちらの服飾の事など分からぬからの。 …元々余り興味もないが」


 頼りない。

 それで良いのか年頃女子(ドラゴンだけど)。

 俺だって女物の服の事なんて分かんねーよ。

 明日は店員任せにするしかないな。

 …それはさておき、男一人で女物の服と下着を買い漁る羽目にならなくて、本当に良かった。

 サイズも分からんし。

 一応いきなり服や下着を纏めて買い込む事についての良い訳も考えてあるが、男の俺一人で買うんじゃあ、店員がそれをそのまま受け取ってくれるかは分からない。

 この片田舎でどんな風に噂が巡るかと思うと、それは避けたい。

 田舎の情報拡散速度はCIAもびっくりなのだ。

 まぁ外国人の、それも見た事も無いような美人を連れているのも十分噂のネタになるだろうが、男一人で女物の衣服を買い漁るよりはましであろう。


「異界の街か、楽しみじゃの!」

「…ま、何はともあれ、全ては明日だ。 夜更かししないで、風呂入って早く寝ろよ」

「分かっておる、子供扱いするでないわ。 其方こそ、寝坊するでないぞ?」

「言ってろ」


 軽口を叩き合いながら、俺は仕事部屋に、ディーネはタオルをもって風呂に、それぞれ向かう。

 明日はいよいよ、ディーネの異世界デビューである―――




 おまけ①


 その後のリビングにて―――


「尾も翼もないと落ち着かんのう…」

「家の中で迄引っ込めとく必要ないだろ。 普段は出しとけばいいじゃないか」

「そうじゃの、そうするか」


 立ち上がったディーネは「よっ」と軽い調子で体を元に戻す。

 あ、戻るときは変身ポーズしないのね。


「ふう、やはりこのほうが落ち着く…」

「…そうか」

「どうかしたか?」

「いや、何でもない」


 これあれだな、元に戻るときの方が変身っぽいな。



 おまけ②


 カタカタ カタタ―――


「零時半、か。 そろそろ切り上げて俺も寝るか」


 寝る前に何か飲もう。


「あれ?」


 リビングに戻ると、何故か先に寝た筈のディーネが所在無さげに佇んでいた。


「何やってんだ?」

「コーヘー…。 いやその…」

「?」

「な、何やら落ち着かなくて、寝付けなくての…」

「…」


 子供か!


「…ホットミルク飲む? 寝る前に飲むと寝入りが良くなるぞ」

「…頂こう」


 こういう時はやはりホットミルク。

 蜂蜜も入れて甘くしてな。


 その後蜂蜜入りホットミルクを二杯飲んだディーネはようやく寝付けたようであった。




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