12月5日(6) ドラゴン娘、文明の利器に感動する
五月九日 2/2
ごーるでんうぃーく…遠い昔にどこかで聞いたような…。
え? 五連休? 最大九連休?
またまた御冗談を。
自分は普通に仕事(接客サービス業)してましたよ?
九連休とか、そんなもの学生の夏休み以外で存在する訳無いじゃないですか。
ハハハハハハハハハh…。
居間に顔を出してみると…
「はぁっ!」
まだやってた。
つーかすげーキレのある動きだな。
「おお、コーヘー。 仕事は終わったのか?」
「ああ、一段落したから夕食にしようと思ってな」
「ふむ、そういえばもうそんな時間か」
「ディーネのほうはどうだったんだ? ちゃんと仕上がったのか?」
「うむ、中々に満足のいく形になった。 ふふふ、夕食後に披露してやろう」
今じゃないんだ。
え? 食事が先?
さいですか。
まぁ良いけど。
ていうか形になったって魔法の事だよな?
変身ポーズの事じゃないよな?
「どうした? 食事を作るんじゃろ?」
「ああ、うん」
…考えないでおこう。
♦ ♦ ♦ ♦ ♦
「本日の夕食はコロッケを作る」
「ころっけ?」
「蒸かした芋を潰して衣を着けて揚げたモノだ」
「ほう、揚げ物か」
「向こうにもあったか?」
「あったぞ。 ただかなりの油を使うからの、庶民の口には入らん高級料理じゃ」
「こっちじゃそんな事は無いから安心しろ」
「うむ! 我も揚げ料理は数えるほどしか食ったことが無いからの、楽しみじゃ!」
では調理開始、と言ってもコロッケは後衣を着けて揚げるだけ。
先に味噌汁と付け合わせの用意だ。
「俺は味噌汁の方をやるから、ディーネは付け合わせのキャベツを頼む」
「これか、どうすれば良いのじゃ?」
「こうやってな、キャベツをこの刃に当てて…」
「おおっ」
シュッ シュッ
スライサーの使い方をディーネに実演して見せる。
…なんかえらく目をキラキラさせてるな。
「成程! 鉋のような刃で横から削る事で簡単に葉野菜を刻める訳か! 良く出来ておるの!」
俺からキャベツとスライサーを受け取ると、実に楽しそうにキャベツを刻み始める。
初めてお手伝いする子供か。
「それが半分ぐらいになるまで切ってくれ。 手切らない様に気を付けろよ」
「うむ!(シュッシュッシュッ)」
夢中か。
ほんと手ぇ切んなよ?
「取り敢えず俺も味噌汁作るか」
小鍋を取り出し、普段から作り置きしている冷凍出汁を入れる。
出汁を取るときに大量に作って、残りを冷凍にしておくと便利だ。
量が多ければ空いた牛乳パック、少なければ製氷皿を使うと良い。
ペットボトルだと保存はしやすいが、溶かしてからじゃないと取り出せないから、いざと言う時にパッと使いづらい。
出汁を沸騰する直前まで熱し、一度火を止めてから濾し器で味噌を濾し入れる。
味噌を熱し過ぎると風味が飛んでしまうのだ。
味噌汁の常識である。
俺は面倒だから火を点けたままやる方が多いけど。
最後に軽く混ぜた納豆を投入して、よくかき混ぜたら出来上がり。
これが所謂郷土料理の“納豆汁”ならもう少し手を掛けるのだが、これはあくまで“納豆の味噌汁”なのでお手軽である。
「コーヘー、刻めたぞ」
味噌汁をレンジから降ろしたタイミングで、丁度ディーネの方も終わったようだ。
…半分と言ったはずのキャベツが残り四分の一くらいになってるのは、まぁ目を瞑ろう。
「ああ、じゃあ一度水に潜らせてからそっちの笊に空けてくれ。 あんまり水にさらすと味が抜けて不味くなるから、あくまでサッと潜らす程度な」
「承知した」
さぁ、サイドの用意が出来た所で、いよいよメインに取り掛かろうか!




