12月4日(2) ドラゴン娘お出かけ計画
4月14日 2/3
「で、相談とは何じゃ?」
皿の上のクッキー半分をあっという間に食いつくし、二杯目のココアを飲みながら訪ねてくる。
「その前に幾つか確認したいんだが」
「確認?」
「ディーネは魔法を使って今の姿になってるんだよな?」
「そうじゃ。 我の本来の姿は先日其方に見せてもらった、あの“いらすと”とかいう絵と同じような物じゃな。 大きさも、胴体だけでこの家ぐらいはあるぞ」
ディーネがドラゴンと言っても、俺の知識の、というよりこの世界の伝承で言う所の“ドラゴン”と全く同じとは限らないので、その辺りは確認済みだ。
聞く限りでは俺の知る所謂ドラゴン、西洋タイプの竜と余り差は無い様だ。
幾つかのイラストを見せた所、ディーネの本来の姿は某国民的RPGに出てくる、天空のお城に住むドラゴンの主が一番近いとの事。
因みに東洋タイプの“龍”はいないらしい。
本人は『我の方が遥かに優美で威厳に溢れておるがの!』と言っていた。
最も今目の前で空になった皿を悲しげに見つめる彼女からは、威厳も優美さも全く感じられないが。
クッキーの残りを皿に出してやると大喜びである。
…ディーネの威厳は休暇中なんだろう。
「なら今とは違う姿、具体的にはその角やら尻尾やらを消して、完全に“人間”の姿になることは出来るか?」
「…やったことは無いのう。 なぜそのような事を?」
「実は食料がもう無くなりそうでな、買い出しに行かないといけない」
「それは、つまり」
「ディーネも一緒に出掛けられないか、と」
「良いのか?」
「ああ。 と言うより、当面ここで過ごす以上、ずっと閉じ籠りっぱなしって訳にはいかないだろ?」
「…そうじゃのう。 余り我が儘は言いたくないが、確かにそれは嫌じゃ」
「問題はやっぱり角と翼、尻尾だ。 ただ尻尾はロングスカートを履いて、背中に鞄でも背負えば隠せると思う。 角も、多少は不自然になるかもしれないが、帽子やフードで誤魔化せるだろう。 問題は翼だな」
「流石に服の下には隠せんな」
「逆に翼さえ何とかできれば、後は問題ない。 顔立ちや髪色はこっちでも似た人種がいるし、眼は、まぁあんまり直視されなければ大丈夫だろう」
ディーネの眼は瞳が真っ赤な上に、瞳孔が爬虫類の様に縦長になっている。
色は兎も角瞳孔はな…いざとなったらそういうカラコンだと言おう。
後問題と言えば、こんな地方都市に外国人、それも若くて美人の女の子とくれば相当目立つという事であろうが、それはどうしようもない。
「で、どうだ、出来そうか?」
「ちょっと待て…」
ディーネは両手の拳を握り、むむむ、と力んでいる。
ちょっと可愛い。
「お?」
角が、翼も、ちょっとずつ縮んでいる。
正面からだと見えないが、尻尾も縮んでるのか?
そのままある程度小さくなると、そこで変化が止まる。
最初の、三分の二ぐらいの大きさか?
「ふう…」
「難しいか?」
「いや、いきなり完全に消すとなれば難しいが、少しずつ縮めるようにしていけば大丈夫じゃろう。 無論練習は必要じゃが、それでも三日は掛からんと思う」
「ふむ」
長くて二日か、なら…。
「じゃあ明日一日を練習に当てよう。 それで出来れば一緒に買い出し、出来なければ残念だが留守番だな」
「食料は間に合うのか?」
真っ先にそこか。
「明日一日分ぐらいは十分あるよ。 インスタント…保存食の類もあるし」
「ならば良し。 では初めての外出の為にも、明日は頑張るとしよう」
「ああ、頑張れ」
ディーネの服も買わなきゃいけないんだから、俺としても来てくれた方が助かる。
服はまだしも下着とかは流石に勘弁してほしい。




