閑話2.異界の男の第一印象
「う…ん…?」
何じゃ…?
暖かい?
それに、床が…柔らかい?
我は洞窟で寝たはず…。
「むぅ…?」
違和感を感じ身を起こすが、まだ目が明かぬ。
我は朝は苦手なんじゃ。
目元を擦り、それでもまだ空き切らない目で周囲に目を向ければ…。
―――何じゃ、ここは。
そこは見覚えの無い室内であった。
見た事も無い、我の感性からすれば奇妙極まりない内装。
手に触れる床に敷かれた絨毯は柔らかく、上質の作りをしておる。
部屋のあちこちに置かれた、魔導具と思しきアイテムの数々。
そしてこれまた見た事の無い、彫りの浅い顔立ちをした黒髪の男。
着ている服装は見た事の無い造りじゃが、かなり仕立ては良さそうに見える。
地味で飾り気は一切ないが、この生地の質と仕立ての出来ならば、それなりの身分の人間が身に着けても可笑しくあるまいな。
「…ここは何処じゃ?そなたは誰じゃ?」
この男が我を拐かしたのかと思ったが、どうもそんな感じではない。
むしろ我と距離を取り、警戒の籠った目線を向けてくる。
なのでここは真っ向から聞いてみたのだが…。
「!!」
何故か驚愕に目を見開いた後、感動に打ち震えるかのような様子で固まってしまった。
何じゃこいつ。
「おい、どうしたのじゃ?」
「!(ごほんっ)…俺は大原公平、ここは俺の家だよ。外で凄い音がしたから見てみたら君が倒れてたんで、家に運んだんだ」
もう一度声を掛ければハッとした様子で頭を振り、居住まいを正して説明してくる。
…さっきの事は聞かんでおこう、その方が良い気がする。




