↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ドラゴン娘とラノベ作家の現代生活  作者: 福耳 田助
1章:ドラゴン娘と同居する
PR
13/37

13.ドラゴン娘はちょっと抜けてる


 夕食から食休みを挟んで一時間後、コーヒーカップを置いたテーブルでディーネと向かい合う。


「では、今後の事を話そうか」

「うむ、よろしくお願いする」

「まず現状分かっている事を纏めよう」


 1.ディーネは異世界からこの世界へ転移してきた。

 2.1の原因は不明。

 3.ディーネの元居た世界にはこの世界から勇者が召喚された事がある。

 4.勇者が最後どうなったかは不明。

 5.よってディーネが帰れるかどうかも不明


「こんな所か?」

「実質何も分かってないようなもんじゃのう…」

「情報が何にも無いからなぁ…」


 せめて転移の原因だけでも分かれば良いんだけど…。


「んー、こういう時は直前の状況を考えるとか…」

「と言うと?」

「野営して気付いたらこの家だったって言ってたよな?」

「うむ、食料が尽きてすきっ腹がつらくてのう…。とっとと寝て、直ぐに次の村を目指そうと思っておったのじゃ。それが気が付けばこの場所で寝かされておったという訳じゃな」

「周囲に人の気配とかは?」

「無いな。そもそも我が野営したのはかなりの山奥じゃ。昼間ならともかく、夜に好き好んで野営しようという奴なぞおらん」

「…じゃあ何でお前はそんな所で野営したんだよ?」

「その辺の獣や魔獣何ぞ、竜の気配を察したら絶対に近付いて来んからの。人がおらんのなら我には却って安全なんじゃ」


 成程、近付いて来るのは危機察知能力の低い人間だけって訳か。


「うーん、じゃあその場所に何か変な物があったとかは?」

「変な物、というか変な場所じゃったのう。何しろ遺跡じゃったからの」


 ん?


「遺跡?」

「山越えをしておったんじゃが、途中道を間違えた所為で、山頂の手前あたりで日が落ちてしまっての。野営に丁度良さそうな洞窟があったので入ってみたのじゃ」

「…」

「そうしたら奥に遺跡があっての。罠らしいものも見当たらんかったし、中々頑丈そうじゃったからそこで休む事にしたのじゃ」

「…因みにどんな感じの遺跡だったんだ?」

「台形の祭壇みたいな感じじゃったの。一番上には何やら儀式の跡と思しき随分古い魔法陣があったわ」

「…その山の辺りでさ、何か異世界が絡んでくるような伝承とかってない?」

「伝承?…そういえば勇者召喚を行った神殿が山のどこかにあ、る、と…」


 そこまで言ってようやく思い至ったのか、言葉が止まる。

 マジで今の今まで思い付かなかったのか?


「それ、どう考えてもさ…」

「い、いや待て。仮にそうじゃとしても、あの陣は完全に死んでおった。あちこち崩れて欠けておったし、何より魔力も全く通っていなかった。でなければ幾ら我でもそんな陣のある所で休もうとは思わん!」

「あ、そうなの?」

「そうじゃ。ああいった魔法陣というものは、一度使うごとに魔力を籠める必要があるし、魔力が通っていない限りは落書きと変わらん。外から魔力を籠めてやれば別じゃが…あ」


 何だ、「あ」って。

 不安しか感じないんですけど。


「おい…」

「その、我等竜族は生まれつき持っている魔力が多くての、無意識に放出して周囲に影響を与えてしまうのじゃ。じゃから余り一ヶ所に固まらない様に、長老たちや子育て中の者以外はあちこち旅しておるのじゃが…」

「周囲に、放出…」

「…魔法陣が、我の放っていた魔力を勝手に吸収して、作動してしまったのかもしれん」

「魔法陣が勝手に吸収、っていうのはある事なのか?」

「技術としては有る、が普通は人が管理している、大規模な魔法装置に付ける物じゃ。人の見ていない所で勝手に作動したり、魔力過剰で暴走しようものなら大変な事になるからの。まして勇者召喚の魔法陣になど…」


 そりゃそうだ。

 もし誰もいないときに勝手に勇者が召喚されたりしたら、間違いなく大変な事になる。

 まして何かの不具合で、勇者以外の“何か”が召喚されたりしたら…。

 成程、だからそんな山奥の遺跡の魔法陣に、そんな機能が付いているとは始めから考えなかったのか。

 けど…。


「もしこの仮定が全部正しいとしても、“勇者召喚”の魔法陣だろ?何で勇者が呼ばれずに、ディーネがこっちへ来てるんだ?」

「魔法陣自体が欠けたり崩れたりで劣化しておったからの、不具合が生じたのかもしれん」

「つまり“異世界から勇者になる存在を呼び出す魔法”が、“陣の周囲の存在を異世界に送る魔法”に変質してしまった、と?」

「恐らく…」


 聞けば聞くほどそれしかない気がしてくる。

 と言うかそれなら言葉に関する事も説明がつく。

 気にはなっていたのだが、ディーネは普通に日本語を喋っている。

 口の動きからしてもそれは間違いない。

 恐らくだが、勇者召喚の魔法には現地の言葉を刷り込んだり、環境に適応させる効果もある筈だ。

 でないと会話もままならないし、大気組成が同じだとも限らない。

 菌やウイルスに対する抗体の問題もある。

 最悪呼び出した瞬間に即死、という可能性すらあるのだ。


 …気になる点は多いが、検証のしようもない以上これ以上の考察は無意味だな。

 今はそれよりも、ディーネの身の振り方を考えるべきだろう。

 帰還の方法を探すにせよ直ぐに見つかるとも思えないし、当面はこっちで生活する必要があるんだから。

 ただその前に一言言っておきたい事がある。


「正体も良く分からん魔法陣の上で寝るんじゃありません」

「面目ない…」


 しょんぼりするディーネ。

 この子はちょっとアホなのかもしれない―――





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。