11.ドラゴン娘、推理する
洗い物を済ませた後は食休み。
俺はダラダラとメールチェックだのアプリゲームだので時間を潰し、ディーネはまたテレビに張り付いている。
飽きねーのか?
今度は推理物の二時間ドラマだ。
ぶっちゃけこういうのって役者の配役とか、ストーリーとか見ると推理しないでも大体犯人分かるよね。
まぁディーネはそんな定番なんか知らないから、新鮮なんだろうけど。
「コーヘー」
「どうし…」
話しかけられて顔を見れば、そこに浮かんでいるのは鋭ささえ感じさせる真剣な表情。
…何か大事な話か。
今後の事は今日の夕食の後、落ち着いてから話そうとは言ったが、別に今は駄目だという事も無い。
それとも他に何か言っておかなければならない事があるのだろうか?
「…どうした?」
「我はやはり、この被害者の秘書とか言う男が怪しいと思うのじゃが、どう思う?」
「…」
はっ倒すぞこの野郎。
もうこいつに気ぃ遣うのやめようかな。
「…序盤であからさまに怪しい奴が犯人だと、物語が膨らまないんじゃないか?」
「それもそうじゃのう。となると逆に一番怪しくない奴が怪しいのか…?」
適当な事を言ってあしらうと、ディーネはまたブツブツ言いながら画面に向き直る。
もう放っとこう。
♦ ♦ ♦ ♦ ♦
二時間後―――
「うぅむ、よもや被害者の妻と娘と愛人二人の共謀じゃとは…」
「俺もそれは予想外だわ…」
ドロドロ過ぎだし斬新過ぎだろ、てか犯人多いわ。
つーかどんだけ嫌われてんだよこの被害者。
「所で最後に態々崖の上に行った理由が分からんのじゃが」
「そこは様式美だから気にするな」
二時間ドラマのラストは高い所か人の居ない建物の中と決まっているのだ。
「それよりほら、さっきより短いけどまた推理物だぞ」
「む、良し!今度こそ先に犯人を当てるぞ!」
今度は紅茶好きな眼鏡の変人刑事と、その相棒の連ドラ(再放送)に夢中になるディーネであった―――
♦ ♦ ♦ ♦ ♦
夜―――
「夕食を作ろ「手伝うぞ」う」
速えよ、どんだけ楽しみなんだよ。
まぁ良いけどさ。
この後は俺の人生でも恐らくは最大級に難題な話し合いが待ってんだ。
せめてその前の夕食くらい美味い物を食って楽しみたい。
「で、何を作るんじゃ?」
「今日もラーメンを作る」
「昨日のあれか! 良いな!」
昨日でかなりラーメンを気に入ったのか、喜ぶディーネ。
…が、今日のラーメンは昨日のとは一味違う。
「しかし二日続けて全く同じ物、と言うのも芸がない」
「む?ならばどうするんじゃ?」
「ラーメンはラーメンでも変わり種系…“汁無し”でいく」
「“汁無し”、とな?」
ディーネは戸惑ったような様子を見せているが、無理も無い。
昨日がラーメン初体験だった彼女にとっては、ラーメン=“熱い汁に入った麺料理”なのだ。
だがラーメンはそれだけではない!
麺も具も千差万別、スープ一つとっても熱いのもあれば冷たいのもある。
当然(?)“汁有り”があれば“汁無し”もあるのだ。
「ああ、汁無しラーメン、“油そば”だ」




