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第二話 冷蔵庫を漁る夜行性妖怪

朝、台所へ入った瞬間、私は静かに目を閉じた。

シンクには茶碗と箸。 食べ終えた形跡のある皿。 中途半端に残されたおかず。


昨夜も出たのだ…。


深夜になると活動を始める妖怪がいる。

奴は夕食を終えるとソファーへ横になる。 そのまま寝息を立て、朝まで動かない時もある。

だが時々、夜中に目を覚ます。

そして、冷蔵庫を漁るのだ。

夕飯の残り、 冷やご飯、 翌日のために置いていたおかず…。


容赦なく食べ尽くす。


翌朝には綺麗に消えている。

若い頃はあんなに細かったのに、今では会社の健康診断で高メタボ判定。

部屋着の上着からは腹が収まりきらず、ぼよんと垂れ下がっている。

なのに腹立たしいことに、肌だけは昔のままだ。

剥き卵みたいにつるつるで、変に白い。

歳を取った私より、無駄に綺麗な肌をしている。


神様は配分を間違えたと思う。


「おはよー」

声をかけると、


「おう」

短い返事。

そして次の瞬間。



ブゥゥゥ~~~……。



やたら長い放屁が響く。この妖怪は屁で会話も可能。


私は黙って夫を見る。

夫は何事もなかったようにテレビのリモコンを探していた。


結婚三十年。


努力もしない白肌の妖怪が憎たらしい。


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