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第九話 番傘妖怪♥️
主婦友らと、自宅近くのファミレスでランチをしていた。
「うちの旦那、パチンコで三万使って平気な顔してたのよ」
「最悪だねー。うちなんか毎晩飲んで、主婦は家に居るだけで良いよなって言うんだよ?」
主婦友たちは、旦那への不満を撒き散らしながらストレス発散している。
ギャンブル。
酒癖。
浮気。
皆、それぞれ我慢しながら夫婦生活をしているらしい。
私は相槌を打ちながら思う。
うちの妖怪は、誰にも迷惑かけないだけまだマシな方かもしれない……。
気づけば十八時半を過ぎていた。
私は子どもたちへ、
『夕飯遅くなるね』
とメールする。
話し込んでいるうちに、外はすっかり暗くなっていた。
十九時。
慌てて皆でファミレスを出る。
雨だった。
「うわっ、降ってる!」
主婦友たちが慌てる中、入口に立つ人影が見えた。
……ん?
灰色の部屋着。
うちの妖怪だった。
「迎えに来てくれたの?」
「ん。」
夫は無言で、私へ傘を差し出す。
「あ、ありがと……。」
少し照れ臭い。
「えー! 出てくるまで待っててくれてたの? 優しい!」
「迎えに来てくれる旦那さん良いなぁ」
主婦友たちと別れ、私は妖怪……いや、旦那と一つの傘へ入った。
結婚三十年。
見た目は妖怪。
でも、こういう所は昔のまま。




