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Laughrain Circus  作者: 鬱乃みや


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4/8

異端

「えっと…それって」

何を意味しているのか聞こうとした、その瞬間だった。奥のほうから乾いた音が響いた。

—コツ。

規則的で、迷いのない靴音。

「……あ」

少女が小さく声を漏らす。その視線の先、暗がりの奥から誰かがこちらへと歩いてくる。コツ、コツ、と近づくにつれて、空気が張り詰めていく。

やがて姿が見えた。その人は、少女の隣でようやく足を止めた。

「お前、何してんの」

問いかけているのに、答えを期待していないような響き。少女は少しだけ笑顔を強める。

「新入りみたい!チケットも持ってるし、こっち側!」

そう言って、手元の紙を軽く振る。

その瞬間、鋭い視線がこちらに向いた。見られている、というより…測られている。

「…それで」

ゆっくりと、こちらへ一歩近づく。

「何の役?」

答えられるはずがない。知らない。

「……分からない」

絞り出すように言う。

「は?」

明らかないら立ちが混じる。少女が慌てたように口を挟む。

「あのね、書いてないの!」

くすくすと笑いながら、でもどこか焦ったように。

「演目がないの!初めて見た!」

その言葉に、もう一人の視線がチケットへわずかに動く。

「……ありえない」

その声は低く、はっきりと拒絶の色を帯びていた。

「役割のないやつが、ここに立ってる?…おかしいでしょ」

少女が楽しそうに笑う。

「ね?面白いよね!」

同意を求める声。けれど、返ってきたのは沈黙だった。

もう一人は、何も言わず、こちらをまっすぐに睨んでいた。

その視線の意味を、理解したくなかった。でも、理解してしまう。

ここにいること自体が、普通じゃない。そして、普通じゃないものがどう扱われるのか。

その答えを、まだ知らないはずなのに、知っている気がした。


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