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Laughrain Circus  作者: 鬱乃みや


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3/8

空白

「こっちだよ!」

舞台脇にある幕をくぐると、さっきまでの明るい舞台が嘘みたいに、薄暗い通路が続いていた。少女は迷いなく進んでいく。足音がやけに響く。

「舞台裏、思ったより広いでしょ?」

振り返った少女は、相変わらず明るく笑っている。でも、その声はさっきより少しだけ低く聞こえた。

「えっと…舞台裏…?」

少女に問われてようやく気付く。通路はどこまでも続いてるように見える。テントの大きさとは明らかに合ってない。

「…広すぎる」

思わず呟くと、少女は嬉しそうに、より一層笑顔で頷いた。

「うん!いっぱい使うからね!」

何に、と聞こうとした瞬間、奥のほうから、かすかに音が聞こえた。何かが擦れるような音。それから、押し殺したような声。

「気にしなくていいよ!」

すぐに少女が言う。明るい声で、少し、早口に。

「みんな準備中なんだ」

少しトーンの低い声で言う少女に、何も聞く気にはならなかった。重くなった空気の中、少女がふと立ち止まり、くるりと回りこちらを向く。

「チケット、見せて?」

その言葉に小さく心臓が跳ねる。理由は分からないが、見せてはいけない気がした。でも、拒むことはできなかった。チケットをゆっくりと差し出すと、少女はそれを受け取って、何の躊躇もなく裏返した。

「…あれ?」

ほんの一瞬、笑顔が歪んだ。すぐに笑顔は戻る。でも確かに空気が変わっていた。

「おかしいなあ…役割がないなんて」

役割。その言葉に、背筋がわずかに冷えるのを感じた。


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