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横浜中華街

「でさ!『おもしろいですね』って言ったんだよ!七星さんが!」




横浜名物、中華街。エッグタルト屋の前で、俺は寒さも気にせずサバオ相手にしゃべり散らかしていた。




サバオは、普段の着物ではなく、俺の手持ちのなかで一番ださい黄色のダウンとサングラスを身につけている。そのおかげか、今回は変に注目を集めずにすんでいた。




「さっきも聞いたぞ。何回その話をするんじゃ」


「何回でも聞け。そのためにエッグタルトおごってるんだぞ」


「タルトひとつにつき一回じゃ。三つしかないのに、もう五回は聞かされておる」


「あ!お前三つ全部食べたのか!?」




先輩に認められて相当機嫌がよかった俺は、今回の裏事情を知るただひとりの相手であるサバオを中華街に呼び出した。




お礼におごってやろうと思ったのと、ここなら高いものをおごらずにすむと思ったからだ。




「次は何を作ろうかなあ」




かき氷屋のテラスで、ケーキとマシュマロとスイカを載せたキングサイズかき氷を食べるサバオ相手にぼやく。




「また新作をつくるのか?サバチョコレートの方はどうした」


「わかってねーな。新作はサバチョコレートのための修行なんだよ」




褒めてもらえたとはいえども、できたものはまだ一品。


実力的にも経験的にも、まだサバに手をつけるには早すぎるだろう。




「ふむ。して、ぬしは最近あまり食べておらぬようじゃが、それも修行の一環なのか?」




味覚を失ってから、食欲はずっと低空飛行だ。ここしばらくは嫌な感じで体重が減り、むりしてでも食べるべきかとは思っていた。




「違うけど。単純に食べる気がしないんだよ」


「このかき氷はうまいぞ。サバの味でもいけるじゃろ」




かき氷を差し出される。チョコレートソースがかかった氷はみずみずしく、食べれば口の中ですぐに溶けて......。




「いい。想像したら食欲が失せた」


「また修行か。わしの分が増えるのはありがたいがの」


「あ!それよりさ!」




ふと思いついて身を乗り出す。




「次はかき氷でどうだ?夏っぽいし、チョコ味でも売れるだろ」


「わしは菓子ならなんでもよい」


「清風亭っぽいラグジュアリーなかき氷。これにしよう!」

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