チョコミントゼリー4
「なんだよ!心臓に悪いだろ!」
「おいしいです、これちゃんとおいしいですよ」
晴人が笑顔を見せた。へなへなと全身の力が抜け、心臓の音が遠ざかる。
「まさかおいしいとは思わなくて、思わず『うわっ』て言いました」
「お前、天然で失礼なときあるよな」
「チョコミントって基本ミント優勢だから僕は好みじゃないんですけど、これはひとくち目からチョコが強くておいしいですよ。そういう人、けっこういるんじゃないですか」
「そういう人?」
「『チョコ強めなら、チョコミント食べたい』っていうお客さんですよ」
そんな風に考えたことがないので驚いた。いつも俺が食べたい味を作るのに必死で、食べる人がなにを欲しいのか想像したことがなかったのかもしれない。
とにもかくにも、第一段階は乗り越えたらしい。ここで脱落しないで本当によかった。
「なんかいける気がしてきた。晴人、ありがとうまじで」
「どーいたです。これ、盛りつけはどうするんです?」
「みんなそれ言うよな。これじゃだめか?」
「一発合格するって言ってたくせに、急になに言ってんですか」
晴人があきれた顔をする。
確かに、俺が盛りつけを考えないということは、先輩が考えるということだ。つまり先輩の仕事は減らせていない。
サバオはこの方面では役立たずだろうし、どうしたものか。清風亭らしさがあって、先輩が好きそうなものにするのがいいのだろうか。
「......清風亭っぽいってなんだ?」
「僕に聞かないでくださいよ」
歴史、格、横浜、伝統と新しさ.......。
いろんなものが思い浮かんだが、盛りつけに活かせる気がしない。
ホールの椅子で、ぼーっと天井をみあげてみる。ゲストからすれば、清風亭といえばこのホールかもしれないな。
和洋折衷、写真でもよく紹介されてるし。横浜の海を描いたステンドグラスも......。
「あ!」
「なんですか?」
「エクスプレッション...なんとかかも」
「急に横文字?」
横浜の海、ゼリー、清風亭。点と点がつながっていく。
できるかはわからなかったが、先輩に見て欲しい盛りつけが頭のなかに浮かんできた。




