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無口すぎる追放騎士、ドラゴンの呪われた黒剣を背負って街に現る  作者: 雑煮餅
第3章 観測領域

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第41話 測定

光が弾ける。


魔法陣が、起動する。


空間が一気に歪む。


「――来る!」


ロックが叫ぶ。


同時に、床から光が走る。


線ではない。


面だ。


逃げ場を塞ぐように、広がる。


セリナが即座に跳ぶ。


「上!」


矢を放つ。


光の起点へ。


だが――


消える。


当たる直前に。


「……は?」


ロックが目を見開く。


次の瞬間。


別の位置から、同じ光が発生する。


「チッ……!」


剣で受ける。


だが、重くない。


弾く感触も薄い。


ただ――


“通り抜けてくる”。


「なんだこれ……!」


セリナが地面に着地する。


「実体がない……!」


だが、当たれば終わる。


直感で分かる。


触れてはいけない“何か”。


カイナは動かない。


その場から。


ただ、見ている。


三人の動きを。


「反応速度、良好」


淡々と。


記録するように。


ロックが顔をしかめる。


「……あいつ、やっぱおかしいぞ」


セリナも同意する。


「ええ……」


違う。


これは戦闘ではない。


――試されている。


光が、さらに増える。


数が増す。


角度が変わる。


タイミングがずれる。


「……くそっ」


ロックが歯を食いしばる。


「完全に読まれてる」


回避先に、次が来る。


誘導されている。


セリナが矢を連続で放つ。


だが、やはり消える。


「……意味がない」


呟く。


その瞬間。


光が、セリナの足元に集まる。


「……っ!」


跳ぶ。


だが、遅い。


避けきれない。


その時――


空間が、裂ける。


黒い線が、一閃。


光が、消える。


完全に。


セリナが着地する。


すぐに振り向く。


ガルド。


黒剣を振り抜いた姿勢のまま。


ロックが目を見開く。


「……今の、斬ったのか?」


セリナも理解する。


「……違う」


短く。


「消した」


カイナの目が、わずかに変わる。


「……なるほど」


初めて。


明確な反応。


興味。


「魔力ではない」


「現象そのものへの干渉」


ガルドは答えない。


ただ、立つ。


黒剣を持ったまま。


光が、再び集まる。


だが今度は。


ガルドへ向かう。


一直線に。


ロックが叫ぶ。


「ダンナ!」


動かない。


避けない。


そのまま。


振る。


黒剣を。


音はない。


だが。


光が、消える。


触れた瞬間に。


跡形もなく。


沈黙。


ロックが息を吐く。


「……なんだよそれ」


セリナも、言葉を失う。


カイナが、一歩動く。


初めて。


距離を詰める。


「……いい」


小さく。


だが、はっきりと。


「予想以上だ」


その視線は、完全にガルドへ。


「安定化の要因」


「観測完了」


ロックが眉をひそめる。


「……は?」


カイナは、もう興味を隠さない。


「被検体との相互作用」


「極めて特異」


セリナの表情が変わる。


「……リゼに何をしたの」


カイナは答えない。


その問い自体に価値がないように。


代わりに、ガルドを見る。


「お前だ」


断定。


「原因は」


空気が張り詰める。


ロックが剣を構え直す。


「……だったらどうする」


カイナは、少しだけ考える。


ほんの一瞬。


そして。


「……回収する」


静かに。


だが、その言葉には重みがあった。


セリナが一歩前に出る。


「させない」


即答。


迷いはない。


カイナは、その反応すら観察する。


「感情の強度……良」


記録するように。


そして。


手を下ろす。


魔法陣の光が、静かに消えていく。


ロックが目を細める。


「……終わりか?」


カイナは答える。


「十分だ」


その一言で。


すべてが止まる。


光も。


圧も。


気配も。


「現段階では、これ以上の測定は不要」


完全に。


“終わらせた”。


戦闘ではなく。


実験として。


ロックが呆れたように笑う。


「……はぁ?」


「ふざけてんのか」


カイナは無視する。


視線は最後まで、ガルドへ。


「次は」


わずかに間。


「直接、見る」


その意味は明確だった。


リゼ。


そこへ繋がる。


セリナの目が鋭くなる。


「……待ちなさい」


だが。


カイナの姿が、揺らぐ。


光でも、闇でもない。


“消える”。


その直前。


最後に一言。


「壊すなよ」


誰に向けたものかは、分からない。


だが――


意味だけは残る。


そして。


消えた。


完全に。


静寂。


ロックが大きく息を吐く。


「……なんだよあいつ」


セリナは、前を見たまま。


「……行くわよ」


短く。


だが、強い。


ロックが頷く。


「ああ」


ガルドは何も言わない。


だが。


黒剣を握る手は、わずかに強くなっていた。


三人は進む。


次は――


リゼだ。

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