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無口すぎる追放騎士、ドラゴンの呪われた黒剣を背負って街に現る  作者: 雑煮餅
第6章 竜と黒剣の契約

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第139話 抜くなと言われた剣

「次の器よ」


「その剣を」


「絶対に抜くな」


時を越えた声が。


記憶の闇を震わせた。


ガルドの背中で。


黒剣が跳ねる。


鞘の内側から。


何かが外へ出ようと暴れている。


ガンッ。


ガンッ。


金属が骨を打つような音。


革紐が軋む。


黒い霧が。


鍔の隙間から漏れ出した。


「ガルド!」


セリナが背後へ回り。


鞘ごと黒剣を押さえる。


だが。


触れた瞬間。


彼女の掌から白い煙が上がった。


「っ……!」


「離れろ」


ガルドが低く言う。


「でも」


「離れろ!」


いつになく強い声。


セリナの身体が。


反射的に止まる。


ガルドは片膝をつき。


胸元を押さえた。


鎧の下。


心臓の上。


レオンに浮かんだものと同じ痣が。


皮膚を焼いている。


黒い剣の形。


刃先は心臓へ向かい。


柄は喉元へ伸びていた。


ドクン。


鼓動に合わせ。


痣が赤く光る。


同時に。


背中の黒剣も脈打つ。


『抜け』


声がした。


過去の怪物とは違う。


もっと近い。


ガルド自身の頭蓋の内側で。


囁く声。


『見なければ』


『知れぬ』


『抜かなければ』


『守れぬ』


ガルドの右手が。


ゆっくりと背中へ伸びる。


自分の意志ではない。


指が。


黒剣の柄へ近づく。


「やめろ!」


ロックが飛びついた。


ガルドの腕を両手で掴む。


だが。


力が違う。


引きずられる。


靴底が。


記憶の地面を削る。


「リゼ!」


「分かってる!」


リゼが杖を構える。


淡い光の帯が。


ガルドの右腕へ絡みつく。


さらに。


胸元の痣へ。


白い光を流し込む。


黒い痣が。


じゅう、と音を立てた。


『邪魔だ』


黒剣から。


衝撃が走る。


ロックとリゼが吹き飛ばされた。


セリナは。


それでも離れなかった。


ガルドの背中へ腕を回し。


剣ごと抱き締める。


「抜かせない」


歯を食いしばる。


掌は焼け。


血が滲んでいる。


「絶対に」


ガルドの指先が。


柄へ触れた。


その瞬間。


景色が反転した。


---


白い街の地下。


過去のレオンは。


螺旋階段の途中で膝をついていた。


胸の痣。


激痛。


頭の中へ流れ込む未来。


黒い石となったグラム。


片腕を失ったアルヴェイン。


自分の胸へ。


黒剣を突き立てる自分。


そして。


自分ではない笑み。


「レオン!」


アルヴェインが肩を掴む。


「見るな!」


「目を閉じろ!」


レオンは。


荒い呼吸を繰り返す。


「見えます」


「何が」


「あなたが」


アルヴェインを見る。


「片腕を」


次に。


グラム。


「あなたは石に」


グラムが。


レオンの頬を殴った。


鈍い音。


レオンの顔が横へ向く。


「今の俺を見ろ」


グラムが怒鳴る。


「石か?」


レオンが顔を戻す。


目の前。


傷だらけだが。


確かに生きているドワーフ。


「違います」


「そっちは?」


アルヴェインを指す。


「腕は何本だ」


「二本です」


「なら」


グラムは戦槌を握る。


「見えてるもん全部」


「今じゃねぇ」


レオンは。


胸を押さえたまま。


ゆっくり立ち上がる。


「未来は」


「起こるかもしれない」


アルヴェインが言う。


「だが」


「起こると決まったわけではない」


地下の赤い目が。


細くなる。


『何度も起きた』


『七度』


『同じ終わりへ至った』


セヴェルの声が。


上から響く。


「耳を貸すな!」


大観測官は。


崩れた階段の上で杖を掲げていた。


白い術式が。


地下の壁へ広がる。


黒い腕を。


何本も縫い止める。


「未来を見せるのではない!」


「失敗した記録を流し込んでいるだけだ!」


アルヴェインが振り返る。


「違いは何だ!」


「選択が抜けている!」


セヴェルが叫ぶ。


「結果だけを見せ」


「そこへ至る道を隠している!」


レオンの目が。


僅かに変わる。


結果。


だけ。


自分が黒剣を取る。


仲間が倒れる。


世界が滅びる。


だが。


そこまでに。


何を選び。


何を失い。


誰が何をしたか。


何も見えていない。


『道など不要』


赤い目が言う。


『終点は同じだ』


地下の男が。


鎖に首を締められながら叫んだ。


「違う!」


血を吐く。


それでも。


声を止めない。


「一度だけ」


「違う道があった!」


赤い目が。


男へ向く。


黒い腕が。


さらに強く首を締め上げる。


「ぐっ……!」


レオンは階段を蹴った。


「グラム!」


「おう!」


グラムの戦槌が。


足場へ叩き込まれる。


砕けた石が。


斜面のように崩れ落ちる。


レオンはその上を滑る。


黒い腕が横から迫る。


アルヴェインの矢が。


関節を射抜く。


「右だ!」


レオンは右へ跳ぶ。


二本目。


剣の腹で受け流す。


三本目。


身を低くする。


背後から。


グラムの戦槌が叩き潰す。


三人は。


一気に最下層へ降りた。


---


地下牢。


空気は冷たい。


壁も。


床も。


天井も。


黒い文字で埋め尽くされている。


同じ文。


『黒い剣をレオンへ渡すな』


何千回。


何万回。


爪で。


石片で。


血で。


刻まれていた。


中央。


男は。


七本の鎖に繋がれている。


両手。


両足。


首。


胸。


そして。


背骨。


鎖の根元は。


背後の巨大な赤い目へ続いていた。


男が。


レオンを見る。


「来るなと」


「言っただろう」


声は弱い。


だが。


その瞳には。


強い光が残っている。


レオンは剣を構える。


「あなたを助けます」


男が。


苦しそうに笑う。


「毎回」


「同じことを言う」


レオンの動きが止まる。


「毎回?」


「七度」


男は。


赤い目を睨む。


「お前はここへ来た」


「七度?」


アルヴェインが問う。


「なら」


「お前は以前の歴史を覚えているのか」


男は頷く。


「私は」


「記録から外された」


「存在しない者は」


「世界が縫い直されても」


「元へ戻れない」


グラムが眉をひそめる。


「分かるように話せ」


男は。


ゆっくり息を吸う。


「私は」


「最初の観測者だ」


白い街。


観測者。


閉じた目の紋章。


その始まりにいた者。


「名は」


一瞬。


男の顔が歪む。


自分の名を。


思い出そうとして。


思い出せない。


壁の文字が。


僅かに蠢く。


『名など不要』


赤い目が囁く。


男は歯を食いしばる。


「……名は」


言葉が出ない。


喉が。


見えない力に締めつけられる。


レオンが一歩近づく。


「急がなくていい」


「いいや」


男は首を振る。


「名を失ったままでは」


「また喰われる」


アルヴェインが。


男の顔を見つめる。


額。


目元。


耳の形。


自分たちの里の長老と。


よく似ている。


「エルフなのか」


「かつては」


男が答える。


「里を捨てた」


「世界の終わりを」


「記録するために」


その言葉で。


アルヴェインの顔が険しくなる。


「記録するため?」


「止めるためではなく?」


男の目が伏せられる。


「最初は」


「止められないと思っていた」


「だからせめて」


「次の世界へ残そうとした」


「何が起きたかを」


「誰が戦ったかを」


「誰が死んだかを」


「だが」


男は背後の赤い目を見る。


「記録そのものが」


「こいつの餌だった」


地下全体が。


低く笑った。


壁の文字が。


一斉に震える。


『知るほど』


『繋がる』


『記すほど』


『届く』


『名を残すほど』


『喰らいやすい』


レオンの表情が変わる。


消えた村。


刻んだ名前。


精霊結晶。


繋がりを辿って侵食した力。


すべて。


同じ性質。


「記録を通じて」


レオンが言う。


「世界へ広がった」


男が頷く。


「私が」


「道を作った」


「観測者の街を作り」


「世界中の記録を集めた」


「その全てが」


「こいつの根になった」


アルヴェインが問う。


「なら」


「この街を焼けば止まるのか」


セヴェルの顔が。


上の階段で強張る。


男は。


静かに首を横へ振った。


「遅い」


「もう根は」


「人の記憶そのものへ伸びている」


「街を焼けば」


「失われるだけだ」


グラムが舌打ちする。


「何をしても罠か」


「そうだ」


男は。


レオンを見る。


「だから」


「黒い剣が必要になる」


空気が。


凍る。


先ほどまで。


絶対に渡すなと。


そう叫んでいた男が。


必要だと言った。


レオンは問い返す。


「どういうことです」


「黒い剣は」


男の声が震える。


「こいつの牙だ」


「世界を喰らうための」


「器を作る刃」


「だが同時に」


「こいつ自身へ届く」


「唯一の刃でもある」


グラムが低く唸る。


「毒で毒を殺すってか」


「それに近い」


「だからレオンは毎回剣を取る?」


アルヴェインが問う。


男は頷く。


「取らなければ」


「世界は滅びる」


「取れば」


「世界は救われる」


「ただし」


「剣を使うたび」


「レオンは少しずつ器になる」


赤い目が。


楽しげに開く。


『正しい』


『救えば救うほど』


『お前は我に近づく』


『最後には』


『扉となる』


レオンは。


胸の痣を押さえる。


「では」


「使わずに倒す方法を探せばいい」


男の目に。


一瞬だけ光が戻る。


「そうだ」


だが。


すぐに。


深い絶望が影を落とす。


「私もそう考えた」


「七度」


「七度とも」


「それを探した」


「見つからなかった」


「一度だけ違う道があったと」


レオンが言う。


男が顔を上げる。


先ほど。


確かにそう叫んだ。


一度だけ。


違う道があった。


「何が違ったのですか」


男は。


答えようとする。


その瞬間。


赤い目から。


黒い槍が伸びた。


速い。


レオンが踏み込む。


剣で弾く。


火花。


黒い槍は軌道を変え。


男の胸を貫いた。


「ぐっ……!」


血が噴き出す。


アルヴェインが矢を放つ。


赤い目へ。


だが。


黒い膜が矢を止める。


グラムが鎖へ槌を叩きつける。


一本目。


砕けない。


「硬ぇ!」


「根元だ!」


レオンが叫ぶ。


「目と繋がっている場所を!」


グラムが位置を変える。


アルヴェインは。


男の傷口へ精霊光を送る。


だが。


黒い槍は。


体内で根を広げている。


「持たない!」


男が。


血を吐きながら。


レオンの腕を掴む。


「聞け」


「時間がない」


「違う道とは」


黒い槍が。


さらに深く刺さる。


男の顔が歪む。


それでも。


言葉を続ける。


「お前が」


「剣を取らなかった道ではない」


「剣を」


「一人で取らなかった道だ」


レオンの目が見開かれる。


「一人で?」


「黒い剣は」


「一つの器を選ぶ」


「だから」


「一人で背負えば」


「必ず喰われる」


男は。


アルヴェイン。


グラムを見る。


「三人で」


「持て」


地下が。


震えた。


赤い目が。


初めて明確な怒りを見せる。


『黙れ』


黒い腕が。


四方から殺到する。


レオンが男を庇う。


アルヴェインが連射する。


グラムが鎖の根元へ槌を打ち込む。


一撃。


二撃。


亀裂。


「もう少しだ!」


男は。


レオンの胸元を掴む。


「剣は」


「持ち主だけを喰う」


「だが」


「誓いを分ければ」


「呪いも分かれる」


「どうすれば」


「血」


男が答える。


「名」


「記憶」


「三つを」


「同じ剣へ刻め」


レオンは。


言葉を一つずつ覚える。


血。


名。


記憶。


「それで」


「救えるのですか」


男は。


悲しそうに笑った。


「分からない」


「成功した世界は」


「次へ続かなかった」


アルヴェインの手が止まりかける。


「どういう意味だ」


「成功したから」


男は呟く。


「世界が縫い直されなかった」


「だから」


「私は結果を知らない」


希望。


それとも。


より深い罠。


成功した可能性だけが。


観測できていない。


世界が続いたから。


繰り返しの外へ出たから。


「その道は」


レオンが問う。


「どこで失われたのです」


男の瞳に。


涙が浮かぶ。


「お前が」


「二人を巻き込むことを拒んだ」


レオンは黙る。


あまりにも。


自分らしい。


仲間を守るため。


一人で剣を取る。


その結果。


誰よりも深く。


世界を滅ぼす器になる。


男が。


僅かに笑う。


「だから今回は」


「先に伝えたかった」


「だが」


「もう遅いかもしれない」


胸の黒い槍が脈打つ。


男の身体が。


端から薄くなる。


存在が消える。


アルヴェインが声を上げる。


「名を言え!」


「自分の名を!」


男は口を開く。


だが。


声にならない。


壁の文字が。


次々に消えていく。


このままでは。


男自身が。


最初からいなかったことになる。


レオンは。


男の手を握った。


「なら」


「私たちが名をつけます」


男が。


目を見開く。


「名は」


「自分でなければ」


「誰かから受け取ることもできます」


レオンは。


アルヴェインを見る。


グラムを見る。


「彼は」


「未来を繋ごうとした」


「失敗しても」


「七度」


「諦めなかった」


グラムが。


鎖を砕きながら言う。


「頑固だな」


アルヴェインが答える。


「お前に言われたくはないだろう」


レオンは。


男へ視線を戻す。


「なら」


「ツナグ」


一瞬。


地下が静まる。


「あなたの名は」


「ツナグです」


男の瞳から。


涙が落ちる。


「妙な」


「名だ」


「嫌でしたか」


「いや」


ツナグは。


微かに笑う。


「悪くない」


アルヴェインが言う。


「ツナグ」


グラムも続く。


「おい、ツナグ!」


二人に呼ばれるたび。


消えかけた男の輪郭が。


僅かに戻る。


赤い目が怒りに震える。


『名を与えるな』


『繋ぐな』


『それは我がものだ』


「違う!」


レオンが剣を構える。


「彼は」


「誰のものでもない!」


グラムの戦槌が。


鎖の根元を砕いた。


一本。


次に。


アルヴェインの矢が。


別の鎖へ精霊光を流す。


レオンが。


その亀裂へ剣を振り下ろす。


二本。


三本。


鎖が次々と断たれる。


ツナグの身体が。


前へ倒れる。


レオンが抱き止める。


「逃げます」


「無理だ」


ツナグは。


背骨へ繋がる最後の鎖を見る。


それだけは。


赤い目の中心へ直結していた。


「これを切れば」


「目が開く」


グラムが戦槌を止める。


「今閉じてんのか?」


巨大な赤い目。


開いているように見える。


だが。


ツナグは首を横へ振る。


「これは」


「瞼の隙間だ」


その言葉と共に。


地下の壁が。


左右へ動いた。


岩だと思っていたものが。


肉の襞だった。


白い街の地下。


さらに深く。


街全体より巨大な眼球が。


眠っている。


今見えていた赤い目は。


ほんの一部。


その中心。


黒い瞳孔に。


剣の形をした影が刺さっている。


レオンの胸の痣が。


焼ける。


『来い』


『我が牙よ』


『我が器よ』


黒い剣の影が。


瞳孔から抜け始める。


空間が裂ける。


細い刃先。


赤黒い刀身。


レオンの前に。


これまでよりも鮮明な。


黒い剣が現れる。


幻ではない。


空気を裂き。


石を腐らせ。


現実へ出ようとしている。


ツナグが叫ぶ。


「触るな!」


「それが」


「最初の黒剣だ!」


---


現在。


ガルドの指が。


ついに柄を掴んだ。


黒剣が。


歓喜する。


鞘の口から。


刃が僅かに覗く。


ほんの一寸。


それだけで。


周囲の記憶が。


崩れ始めた。


白い街の塔が歪む。


過去と現在が重なる。


レオンの目の前にある剣と。


ガルドの背中の剣。


二本が。


同じ形になる。


セリナが。


ガルドの腕へ噛みつくようにしがみつく。


「抜かないで!」


「ガルド!」


彼の耳には。


届かない。


黒剣の声だけが。


世界を満たしている。


『抜け』


『過去を知れ』


『真実を得よ』


『レオンの終わりを見よ』


ガルドの腕に。


力が入る。


刃が。


もう少しだけ抜ける。


ロックが。


背後から体当たりした。


「この馬鹿!」


ガルドの身体が揺れる。


「見るために抜くな!」


「見た後で」


「戻れなくなったらどうすんだ!」


リゼも立ち上がる。


震える杖を。


ガルドの胸へ向ける。


「ガルドさん」


「私たちは」


「答えより」


「あなたの方が大事です」


セリナは。


焼けた手のまま。


ガルドの指へ自分の指を重ねる。


一本ずつ。


柄から外そうとする。


「レオンは」


「一人で取ったから負けた」


涙を堪え。


それでも。


真っ直ぐ言う。


「だったら」


「あなたも一人で触らないで」


ガルドの目が。


僅かに動く。


過去のツナグの言葉。


一人で取るな。


血。


名。


記憶。


三つを。


同じ剣へ刻め。


ガルドの手から。


力が抜けた。


黒剣が。


怒りに震える。


『抜け』


ガルドは。


柄を握ったまま。


低く答える。


「断る」


『真実が欲しくないのか』


「欲しい」


『ならば抜け』


「一人では抜かない」


その言葉で。


黒剣の動きが止まった。


一瞬。


完全に。


沈黙する。


まるで。


最も聞きたくなかった答えを。


聞いたように。


過去の赤い目も。


同時に震える。


レオンが。


目の前の最初の黒剣を見ながら。


同じ言葉を口にした。


「一人では」


「取りません」


二つの時代。


二人の騎士。


声が重なる。


黒い剣の刃に。


初めて。


一本の白い亀裂が走った。


ツナグが。


息を呑む。


「歴史が」


「変わった」


だが。


次の瞬間。


巨大な眼球が。


完全に開いた。


白い街全体が。


激しく揺れる。


塔が崩れ。


記録院の書棚が倒れ。


黒い砂時計が割れる。


無数の黒い砂が。


空へ逆流する。


『ならば』


世界の底から。


声が響いた。


『選ばせてやろう』


黒い剣が。


レオンではなく。


アルヴェインへ向きを変える。


刃先が。


若きエルフの胸を指す。


さらに。


別の黒い影が。


グラムの背後へ現れる。


『一人で取らぬなら』


『一人ずつ』


『奪うまで』


黒い刃が。


同時に射出された。


レオンが叫ぶ。


「二人とも!」


白い街の地下を。


二つの血飛沫が染めた。


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