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この運命はどんな運命なのだろうか

家に帰ってきてまず風呂に入ることになった。

「先輩、先どうぞ!」

「ありがと」

後輩の顔を見るとなんか違和感を感じる。

じーっと見ていつもと何が違うのかを考える。

あ、わかった。

目が少し赤い事だ。

「泣いた?」

よく考えずに聞いてしまった。

後輩の表情はというと一瞬驚いた顔をしたと思ったらすぐに笑顔なのにどこか悲しそうな表情になった。

「カラコンが取れちゃっただけですよ」

こいつにしてはわかりやすい嘘を付く。

「そっか」

これ以上聞くのをやめ自分は風呂に向けて足を動かした。


風呂を出てベッドの上に座る。

「疲れた〜」

本当はこのままゴロゴロするのが日課だが今日は違う。

この後後輩がこの部屋に来ることになっているからだ。

どうしよっかな。

そんな事を考えながらスマホを触っていると外からザーッと音が聞こえた。

まさかと思い外を見てみると雨が降っていた。

全く降ったり止んだりなんなんだ。

こっちがこんなに悩んでると言うのに。

天気にイライラしているとドアの方からトントンとノックの音が聞こえた。

「いいよ、入って」

「失礼しまーす!」

入ってきたのは後輩だった。

まぁわかってたけどね。

自分は正面を見て話せるように床に座った。

「えっと、、」

後輩はどこにいればいいのかわからないようで部屋の同じ場所をフラフラしていた。

「いや、座っていいよ」

「ありがとうございます」

緊張しているのかいつもの様子とは結構違う。

新鮮な後輩の姿は結構面白い。



「えっとさ、その、、」「あの!」

先輩の言葉を遮るように声を出した。

声が被ったことを認識したのか先輩は言葉を止めた。

「すいません、、」

「いや自分もごめん、先いいよ」

なぜか少し気まずい。

「じゃあひまから言いますね、この約3週間ひまに付き合っていただきありがとうございました!それで、、、その、あの、もう付き合わなくていいです」

「は?」

先輩は予想外にとても驚いたような表情をしていた。

なにか言いたそうにしていたがひまはそのまま喋り続ける。

「いや、、なんて言うかひまじゃ先輩に釣り合わないというか、、」

どうしたいかははっきりしてるのにうまく言葉が出てこない。

でも今言ったことは本心だ。

さっきの夢で思い出したんだ。

ひまは誰のことも信用ができないことに。

いつも一緒にいるお譲とだって色々あって友達って関係ではないしね。

先輩と、もしもそういう関係になったとしても先輩に言う好きが好きじゃなかったり、先輩に向ける感情が不安定のまま付き合うとか先輩に失礼だ。

だからこそひまと先輩は釣り合わない。

「その、、、だからなんて言えばいいのかなー、えっと、」

付き合いたいとかそういうのじゃないけど嫌われたくはない。

こんな自己中な考えにうんざりする。

本当最悪。

あーぁ、自分に生まれたくなかったな。

ネガティブはネガティブを生んで心を刺してくる。

吐きそう、気持ち悪い、意味分かんない、自分が嫌い、助けてほしい。

そんなぐちゃぐちゃした感情が喉に詰まって息がしづらくなる。

次に言う言葉を必死に探してると、どんどん呼吸が荒くなっていくような感覚に魘われる。

荒くなった呼吸のせいで言葉なんて探してる暇がなくなってきた。

やばい、、これ、やばいやつ。

気づいたら片手は喉を掴むような形になっていた。

落ち着け、落ち着け。

こんな事になっているのに涙は一切出てこない。

そこだけは救いだな。

だって泣いたらブスだもん。

そんな事を考えながら過呼吸気味になっているひまを先輩は何も言わずに頭を撫でた。

やめてよ、やめて。

さっき夢で見た小さい頃のひまと重なって泣きそうになる。

ひまは首を絞めていた腕を外した。

「話聞いてやるから一回落ち着け」

そっと抱きしめてくる。

最初は抵抗しようと体を動かそうとしたが固まってしまって動かない。

ひまは先輩の肩に頭を押し付けた。

「独り言なんで反応しないでください」

口から本音が飛び出す前に先輩に伝えておく。

先輩はひまの言葉に無言で頷いた。



反応するなと釘を打たせた癖して後輩は中々喋り始めない。

自分は抱きしめたまま無言で頭を撫で続けた。

付き合わなくていいとか言われた時の驚きとかが色々あったが今はもうそんな感情はどっかに行ってしまった。

横目で後輩を確認する。

顔は自分の肩に埋もれていて見えないけど少し荒い息遣いが聞こえる。

大丈夫か、本当にこいつ?

心配になりながらも避けないな事はしないように頭を撫でることしかしない。

そうすると急に後輩は腕を広げて自分のことギュッと抱きしめた。

少し苦しいくらいだ。

頭はさっきと同じように肩に寄っかかられてるため顔は見えない。

内心結構混乱してると後輩が急に喋り始めた。

「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんっ、、なさい」

多分これは自分に謝ってるわけじゃない。

そんなことはわかってる。


「悪くないでしょ、お前は」


こいつが何に対して謝ってるかは知らないし、興味もない、、、っていうのは嘘かもしれないけどこいつが誰かに悪いことしたっていう想像ができない。

だから慰めた、この言葉に責任なんてない。

でもこの言葉でこいつが少しでも元気になってくれるのなら別になんでもいい。

自分の言葉を聞いた後輩は泣きながら、ただ自分のことをさっきよりも強い力で抱きしめていた。

「何も知らないくせに、、、なんでそんな事言えるんですか」

弱々しい声で今にも消えてしまいそうな声で自分に問いを投げた。

「なんでだろうね」

少し笑いながら言った。

目の前にグチャグチャな顔して泣いてるやつがいるのにね。

自分の言葉を聞いて後輩は「バカじゃないですか」と言いながら泣きじゃくった。

そのまま泣き続けていると落ち着いてきたのか自分のことを抱きしめていた腕を外して目を擦り始めた。

「大丈夫そ?」

顔を見れるように覗き込もうとしたら後輩は下を向いてるのに片方の腕でグッと上を向かされた。

「あの、、離してほしいんですけど」

声をできるだけ優しくして話しかけると後輩は警戒しているのか少し自分のことを睨み付けながら「顔見ないならいいですよ」と言われた。

自分に可愛いって言われて照れてた後輩はどこに行ったのだろうか。

少し寂しく思える。

「わかりましたー」

棒読みでそう言うと後輩は力が抜けたかのように腕を下げた。

涙は止まったけどまだ少し鼻をすすっっている。

「落ち着いた?」

「落ち着きました、ありがとうございます」

いつものように笑顔を作らず喋る後輩は新鮮だ。

「じゃあ告白していい?」

「、、、は?」

まだ目が赤い顔をこっちに向けてきた。

かわいい。

「いやひまが言ってたこと聞いてました?先輩の事が好きになれるかわからないから!好きって言っても本心なのかわからないから!先輩とは付き合いたくないって言ってるんですけど」

少し怒っているのか早口だ。

後いつもと口調が違ってうざいほどあった明るさが消えた。

おもろ。

「お前が付き合いたくなかろうと自分がお前の事好きだから付き合ってほしいんだけど」



え?自分が言ってるんだから付き合って当然でしょ?みたいな事を言いたそうな顔をしてこっちを向いてくる好きな人にイライラする。

ここで付き合ったらさっきひまが言ってた時間全部無駄になっちゃうじゃん。

「嫌です」

「なんで?」

なんでって、、ひま何回も言ってるよねって喉から出てきそうになったがいちよ年上だからと自分のことを言い聞かせ怒りが口から出てこないようにゆっくり言い聞かせるように話す。

「先輩の事が好きじゃないからです」

多分この人は何言ってもわからないんだろうと勝手に頭が判断したようで口から思わずこんな言葉が出た。

いや〜好きだよ?好きではあるよ、もちろん。

でもはっきり言ったほうが諦めるかもしれないじゃん。

「じゃあ好きにさせるから付き合って!」

ここまで言っても諦めない先輩の話を見ているとこっちが諦めそうになる。

あったばっかの頃の先輩はここまで面倒くさいことするような人じゃなかったのに。

「自分さひまが期間延ばしてほしいって言ったから期間を伸ばして上げたじゃん」

急に何を言い出すんだか。

「先輩がまず3日の期間を求めて来たからですけどね」

正論を返すと少し拗ねたような顔になってほっぺを膨らませる。

さっき先輩が言った伸ばしてあげたじゃんという言葉から次なんて言われるかを予想する。

わかった、、、

「待って先輩今、延長の延長の延長をしようとしてます?」

自分で言ったけどまさかそこまでやらないだろうと考えを改める。

だけど先輩はそんな自分の希望をへし折ってくるように言った。

「え?そうだよ」

「そうなの?」

「そうだよ」

「まじ?」

「まじ」

「まじ?」

「まじ」

頭を抱える。

どうすれば諦めてくれるのだろうか。

何も喋らずに上目遣いで先輩のことを見る。

「かわいい顔するって事は嬉しいってこと?」

「、、、チッ」

意味わかってるはずなのに知らんぷりしてる先輩についイラつきが口から漏れてしまった。

「付き合わないとだめですか?」

どうせ無理だとわかってるけど最後の押しで苦笑いしながら聞いてみた。

「いや別にだめってことはないけど、、」

ひまの真似なのか上目遣いしながら悲しそうな顔をしてこっちを見てくる。

先輩にひまの上目遣いが効かないからってひまにはきくからやめてほしい。

「わかりました、付き合いましょ?」

もうひまが折れるしかないんだと思い先輩の願望通りに付き合うことを承諾する。

それなのに、それなのに、こいつと来たら「えーしょうがないなー」っと最後までひまの事をイラつかせに来る。

いつまで付き合うのかな。

そう思っているとひまの心を読んだように知りたいことを言った。

「期間は一年でいいよ、来年のこの時間までね」

そう言われて急いで時間を確認すると時刻は11時56分だった。

めっちゃ微妙な時間やん。

「これならもう12時でいいって?」

少しニコッとしながら聞いてくる先輩のほっぺを思わず掴んで引っ張ってしまった。

「そうとは一言も言ってないです」

「調子乗ってごめんなさい!いたい〜」

嫌がってる先輩を見て少し笑って離す。

こういうとこは可愛いんだよな。

「てか、1年ですか!」

「そう1年」

当たり前でしょ?みたいな顔2回目〜。

もうなんか見慣れてきた。

「今までと比にならないぐらいに長いんですけど」

嫌そうな顔を向けてみると先輩が少し笑顔になる。

似たもの同士なのかもしれないと思い更に嫌な気持ちになる。

「お前がさっさと自分の告白にOKしてればこんなに長くはなってないのにね」

「あっ、そういうシステムだったんですね!」

ひまは怒ってるというのに先輩はそんな笑顔の表情を崩さない。

「待ってそうだ」

急に立ち上がって先輩は自身のバッグの中を漁る。

手を見るとなにか持っているように思える。

「何持ってるんですか?」

「え?お前の誕プレ」

この人誰?

そんな人じゃなかったよね?

恋すると人は変わるというけどこんなに変わることある?

「これさ、菜奈にも手伝ってもらって選んだんだけど」

少し恥ずかしそうに取り出したものは白色の髪ゴムだった。

「これ、、」

ひまが昔彩花ちゃんからもらって、いつも付けているものに似ている。

「いやさ、大事なものだったら悪いんだけど、それほつれてきてるから新しいのって思って、、、」

そうだったんだ。

あれほつれてたんだ。

今日もバスで触ってたんだけどな。

「ありがとうございます」

先輩から髪ゴムを受け取ってそれをよく見つめる。

すると先輩が急に口を開いた。

「嬉しくなかった?」

わざとぽくなく本当に心配そうな顔をして聞いてくる先輩を見て、すぐに自分の口元ら辺を触った。

確かに自分の口元は口角が上ではなく真横に一直線になっていた。

いつもなら誰に何もらっても喜んでいるようにみせるのに。

「いや、嬉しいですよ」

そう言って先輩の方を見る。

「そっか、それは良かった」



いつもよりも乏しい笑顔だったけど本心からその笑顔が出てる気がして自分も嬉しくなる。

「先輩、何回も何回も言ってますが最後にもう一度だけいいます」

リボンのついた髪ゴムを片手に握って笑顔から真剣な顔になる。

真剣な顔と言っても泣いた後だから目が赤くて少し可愛さが残るような顔だ。

「ひまは多分人のことを信じられないんですよ、、だから1年たっても先輩のことを好きになってる確率はとても低いんですよ?それでも、、それでも先輩は本当に1年をひまと過ごしますか?」

言い終わる頃には優しそうなでもどこか悲しそうな顔に変わっていた。

「自分も何回も言ってるじゃん」

自分は力なく下に下がっていた後輩の手と恋人繋ぎをして持ち上げる。

「それでも、自分はひまりの事が大好きだから死にたくなくなるぐらいに好きにさせてあげるよ」

少しキメ顔にすると後輩がほっぺをつねってくる。

さっきやられたって。

ほっぺを話してもらった後つねられた所を手を当てている自分を見て後輩は少し笑った。

そしたら急に恋人繋ぎしたまま立ち上がってゴミ箱にいつも後輩がつけていた髪ゴム捨てた。

「え?いいの?」

あんなに大事にしてそうだったのに新しいのが来たからってそんなすぐに捨てちゃうなんて。

「いいんですよ、元カノのなんで」

急にさらっとそんな事を言われた。

「え?は?ん?どういうこと?」

「まだなしょです」

そんな事を言うふわふわに文句はあったが指を手の前に持ってきて言った時のポーズが可愛くてひとまず文句飲み込んだ。

「そういえばお前、勝負のお願い事何にするの?」

話し合って決めるって事にしていたが今自分のお願いを聞いてもらってばっかなので話し合いなんてせずに後輩が勝ったことにして話を進める。

「じゃあえっと、、」

少し考えるような仕草をした後、今まで見せたことがないような優しい笑顔をこっちに向けていった。


「ひまが死にたくないって思うぐらいあなたの事を好きにさせてください!」







このちょっと変わった運命にあえて名前をつけるとしたらどんな名前になるのだろうか。

ここから好きになれない奴と好きにさせる奴の変な運命の物語が始まる。

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