始まる
その日は結局別々の部屋で寝ることにした。
先輩は一緒に寝たがっていたがひまが少し現実を受け入れる時間が欲しいとお願いしてこうなった。
時刻は6時30でご飯を作らないとなという思いで体を起こしリビングに行くと、机の上に紙が置いてあった。
その紙には{今日は朝から弓道部の練習があるので朝ごはんは自分が作りました、いってきます}と書いてある。
先輩からいって延長し始めたのに文章が冷たいなと少しだけ寂しさが心に残る。
いつもは朝は食べない派なのに先輩が作ってくれたからとせっせと机の方へ向かい。
食べ物が置いてある向きの椅子に座り,私はいただきますと言った。
学校について,自分の席に座るとお嬢が心配したような顔で話しかけてきた。
「色々どうなりましたの?不安であまり眠れませんでしたわ」
確かによく見るといつもの幼い顔にくまができている。
こっちまで心配になってくる。
心配になりながらも,昨日のことをお嬢に話した。
そうするとお嬢は少しだけ考えたそぶりをしてから口を開いた。
「それは、、よかったのですか?ひまりさん的には」
「よかったよ」
その問いに関しては即答して答えることができた。
「リボンも新調したしね!」
そう言って頭についているリボンを見せるように左を向いて,ポケットに入っている昨日までつけていたリボンを取り出した。
昨日捨てたのだが先輩が「思い出のものなんでしょ持っておきなよ。あ、でもつけるのは禁止な」といっていたのでいちよ持っておくことにしている。
「可愛いですわ」
そういって私がつけているリボンをツンツンしてくる。
こういうところが可愛いんだよね。
そんなことを考えていると一つだけ聞きたいことを思い出した。
「ねーお姉さんいるって本当?」
お嬢は手を下ろして一瞬驚いたような顔をした後にとびっきりの笑顔を作った。
「私に姉はいませんわ」
今日の朝の練習というのは嘘である。
朝、目を合わせるのが恥ずかしかく理由をつけて家を早く出るための嘘である。
変な嘘をついたせいで教室には自分しかいなくて暇だ。
「なんか買いに行くか」
誰もいない教室でそんなことを呟いて、席を立ち、ドアを開けた。
「あぁ」「わぁ」
開けるとドアの前に人が立っておりぶつかってしまった。
「ごめんなさい」
そういってぶつかった時につぶった目を開けるとぶつかった人がわかった。
「僕もごめんね、大丈夫?マイチー」
ぶつかったのはななだった。
2人でほぼ同じタイミングで立ち上がって、菜奈はすぐに机の上にバッグを置き、僕についていくように近くに寄ってきた。
「僕もついて行ってあげましょー」
「はーい」
そう返事して教室を出た。
しばらく世間話をして、ひとしきりがついたので聞きたいことを聞いてみた。
「なんでこんな朝から学校にいるの?」
「あ、えーっと走りたくて」
少しびっくりした、菜奈はあまり部活には行っていないので走るのは好きではないと思っていた。
「さっきまで走ってたの?」
「ううん、そんなことないよ」
そんな言葉を聞いて自分は咄嗟に菜奈の手を取って走った。
「はぁー、はーー」
膝に手をついて肩を上下させて呼吸をする。
「あんま走るの得意じゃないのに急に走ったらそうなるでしょ、大丈夫?」
「大っ丈夫、大丈夫だから、走ろ」
また自分は菜奈の手を取って軽く走り出す。
「どうしたの?今日はなんかあったの」
「違うよ!菜奈の表情が暗いからこんなことしてるんじゃん!」
息が切れそうになりながらも菜奈に言葉を返した。
「なんかあったんでしょ?、自分の体力が尽きるまでなら聞いてあげるよ」
よくわからないノリを仕掛けると菜奈は笑いさっきよりもいい顔で走りながら話し始めた。
「昨日ね、久しぶりに妹に連絡をとったの」
びっくりした。
「え?妹いたの?」
「うん、あんまり仲は良くないんだけどね」
少し寂しそうな顔をして話す菜奈はとても珍しい。
いつもは嘘みたいに明るい顔をしているからだ。
「それでね、今度ご飯食べませんかって送ったんだけど」
「断られたと」
菜奈は首を横に振って否定する。
「いいよって返ってきたの」
「よかったじゃん」
それもさっきと同じように首を振って否定する。
「いやー良かった事は良かったんだけど、怖んだよね」
「怖い?」
「僕ね、妹にすごく嫌われてるの」
そこでちょうど自分は息切れが起こった。




