↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/19

最悪な夢

帰りもバスに揺られて帰ることになった。

後輩は疲れたのか自分より先に寝てしまった。

自分も終電まで暇だったので目をつぶって寝ようとしたら、ちょっと前に菜奈とピアスを買いに行った時のことを思い出した。

占い師は言っていた。

あなたに対してその人は不安な気持ちを感じていると言っていた。

不安な気持ち?

だから運命は嫌いだ。

他人で頭が一杯になってそれで悩んだり、泣いたり、気持ちがグチャグチャになる。

頭が、心が、気持ち悪いけど考えないとこいけない。

これからどうするかを。



目を開けると小さい頃の私が砂場で遊んでいた。

何回も、何回も光景を見たことがある。

あぁなんだ、またこの夢か。

人は小さい頃の記憶をどんどん忘れてくる。

それは私も例外ではない。

だけど私は忘れたくても忘れられないそんな出来事がある。

「「ひまりちゃーん!何作ってるの?」」

ほら来た。

小さい私は下を見ていた目線を名前を読んだやつに向ける。

「「お城だよ!一緒に作ろ!」」

小さい私に声をかけてきたのはこの時に一番仲の良かった1つ年上の彩花ちゃんって子。

サラサラロングヘアでとっても可愛い。

彩花ちゃんと私は親友でいつも一緒だった。

仲良くなったきっかけはいじめられている所を助けてくれたからだ。

彩花はいい奴でいい子で一緒にいて楽しいやつだった。

何かあったら助けてくれる。

そんな彩花を私は大好きだった。


そんなある日のことだった。

小さい私と彩花はいつもどおり一緒にいた。

「「あっひまりちゃん、彩花忘れ物しちゃったから取りに行ってくる!先行ってて!」」

「「わかった!ひま、先に行ってるから早く来てねー」」

小さい私はこの時の彩花の言葉に素直に従って先に移動した。

「「おいお前!ちょっとこっちついてこい」」

クラスのガキ大将みたいなやつが話しかけてきた。

ガキ大将の周りには2人ぐらいの取り巻きを引き連れていた。

小さい私はそいつらにビビってついて行った。

何回目か覚えてないけど前に、止めようと小さい私の腕をつかもうとしたことがある。

ただ体がすり抜けて触れない。

聞こえない。

だから私は今から起こることを見てることしかできない。

小さい私がそのままガキ大将についていくと体育館についた。

もう展開はわかっている。

だから見たくない。

傷つきたくない。

だけど目を潰ることができない。

まぁもう慣れっ子になっちゃったけど。

「「おい、お前最近調子乗ってるよな」」

そう言ってガキ大将は小さい私の事を押して転ばせた。

そうそうこれで小さい私が持ってた粘土セットとかが地面に散らかってそれを拾い出すんだよね。

この時の私、いや〜今もか。

心が弱くて転ばされただけで泣いちゃうんだよね。

「「お前なんてあいつがいないと何もできないから調子乗るんじゃねぇよ」」

ガキ大将がこれで調子付いて彩花からもらった髪ゴム取るんだよね。

私が思った通りガキ大将は小さい私がつけていた髪ゴムを取って、髪ゴムについていたプラスチックの宝石をはずした。

あーぁ、もっと泣き出した。

私はしゃがんで小さい私の涙をすくうように目元に手を当てた。

まぁわかってはいたけど小さい私の涙は私の手に当たらずそのまま下に落ちていく。

散らかった粘土セットを拾ってあげることも、ガキ大将を殴ることも何もできない。

「「ほら、泣き止みな。これよりの絶望がもう一回来るからこんな所で泣いてたらダメだよ」」

そう言って私は触れられないとわかりながら小さい私背中を撫でる。

そんな事をしていると体育館に彩花が来た。

来ちゃった。

「「おいこんな事で泣いてるぜ、彩花も見てみろよ、こいつすごいブスだからよぉ」」

彩花ちゃんが来たと希望を持って小さい私は上を向く。

彩花はこっちを向いて今まで見たことないような、幼稚園児ができないような邪悪な表情を作って言った。


「「本当だ、すっごいブス」」


私は横目で小さい私を見た。

そうなぜかここで涙出なくなっちゃうんだよね。

本当になんでだろうね。

「「え?」」

聞き返しちゃうの。

希望をもう少し信じていたくて聞き間違いだと思いたくて。

本当、バカだよね。

「「だからブスって言ったの」」

そう言って彩花ちゃんは床に落ちている飾りがはずされた髪ゴムを見る。

「「へー、こんなのまだ持ってたんだw」」

髪ゴムを持ち上げて両手で持つ。

「「やめっ」」

髪ゴムをブチッと2つに分けたというより壊した。

完全に壊れた髪ゴムを床に捨て、ガキ大将達と体育館を出ていった。

小さい私は髪ゴムを拾って泣いた。

さっきよりも比にならないくらいに泣いた。

「「うああああぁぁぁ」」

泣いても誰も来ないのに。

「「なんでっ、なんで、、なんでこんな事するの」」

涙で髪飾りが濡れる。

「「ひまの、、何がだめだったの、」」

そんな事を言いながら更に涙が込み上げてくる。

「「うあっあぁ、、、、」」

「泣いてもしょうがないよ、誰も来ないし助けてもくれない」

小さい私にネガティブな言葉をかける。

どうせ聞こえないのになんでこんな事してるんだろ。

次は無言で頭を撫でる。

触れられないのにね。

「お願いだからさ、そんな惨めに泣かないでよ、、ひままで泣きそうになるじゃん」

何回も何回も見ている光景なのに惨めなひまを見てるとこっちまで泣きそうになる。

この事が人に泣いてるところを見せるのは嫌いになった。

やっと終わるわ、この夢。

何回も見たことあるのにいつもここで吐きそうになる。

気持ち悪い。

でももうそろそろ時間だ。

毎回小さい私が泣いた所で起きる。

と、思ったが体育館から自宅に光景が変わった。

「、、、」

たまにある。

この夢を見るときは毎回泣くとこまでは絶対に続く、その後は終わったり、続いたりランダムだ。

今回はあるのか、、、

普通に心が傷つくから早く終わりたいんだけどな。

そう思いながら周りを見渡す。

私が小さい頃育ったハウスにそっくりだ。

特にするとこもないためリビングの椅子に座った。

どうせ見えないしいいでしょ。

少しの間待っていると小さい私がリビングのドアを開けた。

そうするとキッチンからマスターというかお母さんが出てきた。

気づかなかった。

小さい私はお母さんに近づいて話し始めた。

「「あのさお母さん、髪ゴム壊しちゃって、、、直してほしいなって」」

この時の事を思い出した。

そうだった、自分が壊した事にして直してもらおうと大事に持って帰ってきたんだった。

「「は?ちょっと見せて」」

お母さんはそう言って小さい私が大事に握っていた髪飾りを勢いよく取った。

「「あっ、、ぁ」」

小さい私は取り上げられた髪ゴムを更に壊されないか心配そうに見ていた。

私を育ててくれたのはお母さんは機嫌によって対応が大きく変わる人だった。

殴られた事もあったのによく話しかけたよね。

「「いいよ、直してやるよ」」

そう言ってお母さんは小さい私の頭を少し強い力で撫でて直すために上の階に行った。

キッチンに立っている小さい私を見ると涙目になっていた。

そうだった。

撫でてもらった時に友達に裏切られたこととか、髪飾り壊されたこととか、お母さんの機嫌が悪かったらどうしようとか、そういう蓋してたグチャグチャした感情が溢れ出ちゃったんだよね。

小さい私は更に泣きそうになったが唇を噛みしめてうまく泣けない。

あーぁ、思い出しちゃったんだ。

一番仲良かった親友にブスって言われたことを。

泣いてお母さんに殴られたことを。

「最悪、、」

そう言って必死に涙を腕で拭っている。

不安定な呼吸をして必死に泣かないようにしている小さい私を見ていると段々と視界が曇ってきた。

やっと時間だ。

もう見たくない、もう来たくないと何度願ったことだろう。

どうせまた見るんだけどね。



夢から飛び切るとまだバスの中だった。

バスの中は暑くないのに額に汗をかいていて呼吸が荒い。

「今までで一番最悪な夢」

一人そう呟いてバッグの中に入れていたハンカチで汗をぬぐう。

夢から覚めてから時間が経ったがまだ落ち着かない。

スマホでXを開いてはタイムラインをずっとスクロールしている。

結局スマホを閉じて深呼吸をする。

しんどいって、本当に。

何回か深呼吸を繰り返しているとやっと呼吸が落ち着いてきた。

ふと、先輩の方を見た。

「、、っまた寝てるんですか?w」

先輩はバスの背もたれにしっかり寄りかかって寝ている。

体が小さいからか座席とサイズが合っていなくて可愛い。

「先輩もいつかひまの事、裏切ったりしますか?」

聞こえてないってわかってるのに声や手が震えていた。

バカバカしい。

夢を見て小さい頃を思い出したからか一人称がひまになっていた。

自分の髪をハーフアップしている髪飾りを取る。

これは彩花からもらった髪ゴムだ。

そうあの時壊された髪ゴム。

手の震えが少し強くなった。

「本当さいあく」

何度も何度も捨てようとしたのに捨てられないし手放せもしなかった。

これを触っていると彩花ちゃんとの思い出を否定しなくてもいい気がして、あの時のひまを否定しなくていいような気がしてずっと捨てられなかった。

別に物に罪はない、だからこそあまり気にしてはいなかった。

そろそろ潮時だよね。

「先輩、ひまとの遊びに付きあってくれてありがとうございます」

少しの間だったけどこんなひまに付き合ってくれてありがとう。

「大好きですよ」

そんな言葉を呟いて先輩の頭を撫でた。

やっぱりこの人は最強に可愛い、ひまの大好きな人だ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。