↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/19

キャンセル

朝、雨の音に被せてピピピッと頭らへんでアラームが鳴った。

いつもならもう少し鳴らしてから止めるが今日は隣で寝てるやつがいるから鳴ってからすぐに止めた。

鳴らしたままにする理由は二度寝をしないためだ。

ある程度、頭の意識がはっきりしてから止めることにしてる。

「ねむい、、、」

今にも目をつぶってしまいそうで、眠くてつらい。

とにかく目をつぶって二度寝してしまうことだけは避けようと思い、目を擦る。

目がよく見えるようになってきたと思い、目をパッチリ開けると後輩が自分の腕の中で寝ていた。

とっさに自分は腕を離して、体を起こし「は?」と声を出した。

驚いたせいか目がはっきり覚めて思考を動かす。

「抱き枕は?」

辺りを見渡すと足の方に転がっていた。

多分昨日の夜こいつが寝るからってどかしたんだろう。

「はぁー」

重めのため息をして、リビングに移動した。

机の上に充電してあるスマホの電源を入れて、天気予想を開く。

「ん?豪雨」

自分の地域の天気を調べるとそう記されてあった。

まぁ室内だから関係ないか。

そう思っていると顧問からスマホに着信があった。

「はい、菊池です。今日どこ集合ですか?」

「いや、、えっと、あのな」

淡々と話す自分と違って歯切れが悪いような感じを醸し出しいていた。

「どうしたんですか?」

「いや、今日ー、雨降ってんやん」

「そうですね」

「それが結構すごいらしくて、洪水警報が出たんよ」

嫌な予感がしてきた。

「今日の大会にうちの学校は出てないことになりました」

「は?」

今日でこの反応したの2回目だ。

色々感情が動いて先生に対してキレそうになったがキレてもしょうがないかと思い、不満を飲み込む。

「なんか校長が洪水警報が出たのに連れて行ってもしも何かあったときに学校側が責任取れないからダメらしい」

飲み込んだ不満が口から出てきそうになったがそれをこらえて言葉を返す。

「、、っわかりました」

「それでその話優衣にも伝えてほしいんだよね」

「はーい、じゃあまた学校でー」

最後は先生に対して少し冷たく返して電話を切る。

「まじかー」

椅子に座って机にもたれかかる。

そしたら雨の音がよく聞こえてきて二度寝してしまいそうになる。

本当に寝てしまおうかと思ったがその前にお嬢様には連絡しないとと想い、重い体を起こす。

メッセージを送ろうと思ったが寝ぼけてるのか、電話かけてしまった。

それに気づいて急いで切ろうと思ったが切るボタンを押す瞬間にお嬢様が電話に出てしまった。

「舞さん!今日髪型何にすればいいと思います?」

電話に出てくれた瞬間そんな音声が聞こえてきた。

こんな元気なやつに伝えるのか。

自分とは違い今日の大会にやる気マシマシのやつに現実を突き付ける?みたいな真似はあまりしたくない。

「やるしかないのか、、、」

寝起きって言うのといちよショックっていうのが相まって声に出てしまった。

顔からスマホを離してたから聞こえてはいないだろう。

「えっとさっき顧問から連絡があったんだけど、今日の大会、うちの学校行けなくなったらしい」

「なんでですか?!」

「言葉、普通になってるぞー」

「なんでですの?」

わざわざ直してもう一回反応を取ってくれた事にに少し可愛さを感じる。

「なんか雨がやばくて、もし会場まで連れて行く時に何かあった時責任が取れないとか、、」

「は?」

お嬢様でもそんな反応するんだ。

「えっそれ本当に行けないのしょうか」

少し考えてるように間をおき答える。

「本当に行けないんだと思うよ。うちの顧問、嗚呼見えて責任感はあるタイプじゃん。だから最善を尽くしてのこの結果なんだろうねー」

「確かにそうですわね」

そういった時のお嬢様の声は不満混じりだったけど全部が不満ってわけじゃなくて、自分の言葉に納得してくれたのか自分が先生に返事したときよりも怒ってはいなさそう。

もしろ少し笑っているような。

「舞さんは顧問のこと嫌いだと思っていましたわ」

「変な勘違いするんじゃねえ、嫌いだからな!」

「わかってますわw」

絶対わかってない。

先生の次はお嬢様に不満を感じてきた。

なんだこいつ。

「そういえば、勝負はどうするんですの?」

確かに。

あいつは5位、自分は不戦敗っていう扱いになるのかな?

これってどっちが上になるんだろ。

でもまぁ多分、、

「自分の負けじゃ、、」「そこは2人で話し合おっかなって」

机にスピーカーにして置きながら話しているスマホを上に持ち上げられた。

持ち上げられたスマホをそのまま目で追ってみてると後ろに後輩が立っていた。

スマホを持ち上げたのも後輩だったらしい。

返してほしくて、力の入ってない手を軽くスマホの方に伸ばすと後輩がその手さっととって、恋人繋ぎをしてきた。

すかさず睨むが後輩はニヤニヤして少し掴む力を強くする。

離してくれないかな。

「いやいや、部活の恋愛であっても!朝先輩と話すのは一番がいいの!」

後輩はスピーカーをオフにしたようでお嬢様の声は全く聞こえない。

「いや、嫌われてないし!」

お嬢様と楽しそうに話す後輩を見てると少しイラッとする。

そんな自分に対してもイライラする。

情緒が、、自分でもわかるぐらいに情緒がおかしい。

2度寝してないからかな。

朝から頭を使って思考を動かしたからかすごい疲れが出てきて机にもたれかかる。

「えー、うん!OKじゃあまた学校で!はーい」

そう言って後輩は電話を切って自分に渡してきた。

「それで、、どうします?」

後輩は後ろにいたことや電話を奪ったことを何もなかったように話を始めようとしたがそうはいかない。

「いつからいたの?」

机にもたれかかって入るが首を後輩の方に向ける。

そんな自分の事を後輩は撫でながら応える。

「先輩と先輩の顧問が電話してるところらへんから?ですかね」

結構最初からじゃんっと言いたくなったが眠気があり口があまり動かない。

「あっそ」

動かないあまりそっけない返事になってしまったがそれでも後輩は気にしていないのか笑顔で頭を撫で続けている。

どうしよっかな。

大会もなくなったしもう一回寝よっかな。

そう思ったら眠気がいっそう強くなった。

撫でている手を、頭を起こして犬みたいに頭をブンブン左右に振って、振りほどいた。

その後、椅子から立ち上がって自分の部屋に入って布団に寝転んだ。

やっぱりやると決めた事の行動力は半端ない。

雨の音がよく聞こえて居心地がいい。

この調子だと起きるのは昼頃になるだろう。

大会のために起きてから髪も巻いてないし、カラコンや化粧もしてない、もちろんパジャマのままだ。

寝ても大丈夫なこと頭で理解した瞬間、自分は意識を落とした。



先輩の頭を撫でていたら、眠かったのか部屋に戻ってしまった。

撫でてる時も眠そうだったから起きるのはだいぶ後になるだろうな。

朝ご飯作ってもいいけど、先輩、今いないしな。

私は朝は食べないタイプだ。

一人暮らしのときは作るのは夜ご飯、時間がある日はお弁当って感じだったんだけど、先輩と同棲してからは食べないと先輩が怒るからいつも少しの量でも食べることにしてる。

でもやっぱり朝食べたくないのは変わりない。

先輩、いないし食べなくていっか。

「ゲームするか」

私は自分の部屋に行ってデスクの上にあるパソコンの電源をつけた。

「お嬢暇かな?」

お嬢にゲームの誘いのメッセージを送ってみたが返信はない。

「大会なくなったからといって暇ではないか」

一人でやってもいいがせっかくなら人とやりたい。

メッセージの友達の一覧をスライドしていると一人、ある人に目が止まった。

まぁこの人でも、、。

メッセージを送るぐらいなら電話したほうが早いかなと思い、前触れせずに電話をかける。

「なんだよ」

「菜奈せんぱーい!お疲れ様です!いきなりなんでけど私とゲームしませんか?」

そう電話をかけたのは菜奈先輩だ。

菜奈先輩とは昨日の会話から連絡していない。

「昨日家から飛び出しておいて、よくもまぁ何もなかったように電話かけてくるな」

「えへへ、へへ、じゃあゲームしましょ」

「ちゃんと聞けよ、、、何すんの?」

「あれしましょ、銃で人撃つゲーム」

「疲れてんの?」

「最近流行ってるんです!」

そう言いながら菜奈先輩の方からビッと電源を入れる音がなったから多分ゲームはやってくれるんだろう。

「やっぱり優しいっすね」

「だ!ま!れ!」

菜奈先輩とのゲームが始まった。

弱いんだろうなって思ってたけど結構強い。

まぁ私よりは弱いけどね。

「先輩!カーバして!」

「こっちも敵の相手してんだよ!」

手に汗を握りながらコントローラーを持ち、モニターを見ていると画面上にDownと表示された。

「せんぱーい、生き返らしてくださーい」

「多分っこれ、やっば」

Downと表示されている画面はLoseに変わっていた。

「せんぱいー、そこは勝ってくださいよ!」

「は?うるさ、もう一戦行くぞ!」

「はーいw」

ふと、時間を確認すると12時前だった。

そろそろ先輩が起きてくるなー。

「菜奈先輩ー、昼ご飯作らないといけないのでこれで最後かもっす!」

声を出しすぎて喉が痛い。

都合良く水が手元にあったでそれを飲む。

「あー、マイチーの分?」

そう言われた時、私は勢いよく水を吹き出した。

「ゴホッ、ゴホッ」

「大丈夫そ?」

「なんでっ知ってるん、ですっか?」

まだ水が喉に詰まって喋りにくい。

「お前が言ったやん、先輩と同棲してるんですけどーって」

そうだったけ?

えっ絶対言ってないって。

もしかして今私ハメられた。

どうしよー。

「ちょっあの、先輩の話が聞きたいです!」

「今、露骨に話をそらしたよね?」

「まぁまぁ、何かないすか?ここだけの話しみたいな」

この話を広げるのは本当にまずい。

私の思いを読み取ってくれたのか菜奈先輩は自身の話を始めた。

「えーっと、妹がいる事、、、とか?」

「え?妹なんていたんすか?」

「いや、もちろん血は繋がってないけどね」

それはそうなのだが、妹がいるのは結構珍しい。

そもそも人間の数が少ないので仕事が少なく、お金があまり稼げないし、国からお金がもらえるといってもそんなに多く貰えるわけではない。

一人育てるだけでも生活的には厳しいのに2人も同時に育てるのは至難の技だ。

「妹さんはどんな方だったんですか?」

「お前と同い年だったはずだし、学校一緒だよ」

「私知ってます?」

「お前が一番知ってるよ」

そう言われてまさかとは思った。

だって今思い浮かんでる人とは6.7年の関係だがそんな話一回も聞いたことがない。

「一番、ですか?」

「だってあいつが一番一緒にいるところ見たことあるのお前ぐらいだよ」

そう言われてもう一回考えてみてもやっぱり一人しか出てこない。

もうそろ名前を教えてほしい。

「誰ですか!名前ください!」

会話に集中しすぎてさっきからまともに敵を撃てやしない。

教えてくれない先輩にも全然当たらない自分のエイムにもイライラする。

短気になったかもと心配になる。

「じゃあこの試合で1位取れたらいいよ」

軽い口でそんなことをいうが残り30人まだまだいる。

武器もあまりいいものじゃないし、撃っても当たらないため逃げてばっかりで体力も減っている。

勝てそうになくても勝てば言ってくれるチャンスならば、そのチャンスにしがみついていく。

私はそんな性格だ。

「言いましたからね!」

「はいはい」

気合を入れ、コントローラーをさっきよりも強く握る。

殺意マシマシで撃ちまくっていたら、あっという間に5人のところまで来ていた。

「いいんですか?先輩、勝っちゃいますよw」

少し余裕が出てきたのでその分先輩を煽りに行く。

「いや〜、まずいねw」

先輩の声はいつものお手本通りの焦りではなく、ガチの焦りが声に現れている。

やっぱり先輩は面白い。

「ラスト!」

最後の一人になった。

いつもならこんなに気合いは入れていない。

すっごく教えてもらいたいっていうのと、今更だが昨日ころんだ楓ちゃんに対してのイライラが今込み上げてきた。

「しねーーーー!!!!!!!!!!」

漫画の主人公か敵役みたいなセリフを最後に吐いてZRボタンを押すと敵にキレイに当たり、画面にデカデカと1st placeと表示された。

「勝ちましたよー!!」

「勝っちゃったね、、、」

勝ったというのに嬉しそうじゃない先輩の声を聞いて、勝った瞬間よりも気分が上がる。

「じゃあ、教えてください!」

「、、、っ」

言いたくなさそうだ。

「別にー、電話じゃなくてあった時に話してくれてもいいですけど」

「そっちの方がいやだわ」

わかってて言ってます!

顔見て言いたくないことを言うっていうのはすごく嫌なことだ。

「じゃあ、お願いします!」

「優衣、、だよ」

優衣っていうのはお嬢様のことだ。

本当に?

でも優衣っていう名前の人は私はお嬢様しか知らない。

「優衣っていうのはお嬢のことですか?」

「あいつ、まだ、そんなキャラ付けやってんの?」

なんだ悪口か?

舞先輩の時とは違ってガチで思ってそうだ。

「なんすか?いくら姉でもお嬢の悪口言うのは許しませんよ」

先輩そこにいるかのように先輩との通話画面を睨むように見た。

「別にそういうわけじゃないけど、、さ」

「それならいいです!」

別に先輩と言い合いをしたいわけじゃない。

それと先輩の口調や、お嬢から姉の存在の話を聞いたことがないこと、それらのことを考えるとバカな女子が言うような何も内容がない悪口ではないのだろう。

自分の中でそうやってまとめ、先輩との通話を終わろうとすると舞先輩の部屋からゴンッと音がなった。

「大丈夫そう?そっち」

菜奈先輩にも聞こえるぐらい大きい音だったらしい。

「すいません、舞先輩の様子見てくるんで、そろそろ」

「ん、またな」

電話を切るボタンに手をかけて、最後にこれだけは言わないとと手を止める。

「部活、、来てくださいね」

相手が話す暇もないぐらいすぐに通話を切る。

先輩の「考えとく」と送られてきているスマホの電源を切り、部屋を出て先輩の部屋の方に行く。



「いった〜」

床に仰向けの状態で片腕を目の上に置く。

どうやら自分はベットから机まですこし距離があるのに、寝ぼけていたのかベットから手を伸ばして机の上に置いてある物を取ろうとして、ベットから落ちたようだ。

我ながら間抜けすぎる。

落ちたせいで身体全体が痛いというデメリットとそのおかげで一瞬で目がメリットが出てきて、冷静になりすぐに次どう動けばいいのかを考える。

考えた結果早くベットの上に戻らないともしもあいつがドアを開けた場合こんな間抜けな姿を見せることになると考えがまとまった。

それなら早く体を動かそうとした所でガチャっと扉が開く音がした。

目の上の腕を外して、上を向くと逆さの後輩の顔と目があった。

「大丈夫ですか?」

少し頭を傾けて心配した顔で見てくる。

「うざい」

無意識に言葉が口から出てきた。

「どうしたんですか?」

表情を変えずに後輩はしゃがんだ。

「机の上の物、、取りたかった」

ここで変に嘘をついて偽るより、本当の事言った方が逆に恥ずかしくない気がする。

「それでベットから落ちたんですか?w」

自分の言葉を聞いて笑いながら立ち上がり、机の方へ向かう。

「うるさい」

「、、、っw」

自分の言葉を聞いてまた少し笑った。

後輩は机の上にある数枚のプリントを手に取りながら「どれですか?」と質問する。

少し体を動かせるようになったので体を仰向けから横向きにする。

体制を変えたからかさっきよりも痛くなくなってきた。

「花火のやつ」

「、、、っこれですか?」

後輩がこっちに向けてきたチラシには「年1回!冬の花火大会」と書かれていた。

まさに自分がベットから落ちた原因のチラシだ。

「それいっしょに行くぞ」

体を起こして、足を前に投げ出しながら開いて座り後輩の方をまっすぐ見ながら言った。

元々いつも一緒にいるメンバーで行こうと思っていたけど、自分自体がその日に大会に出ることになったから諦めていた。

断られたって他に誘う人は何人もいる。

それでも断られたらって心臓がドキドキしてうるさい。

前はそんな事なかったのに。

後輩は自分の不安を感じ取ったのか、もう一回しゃがんでキラキラした目で「行きたいです!」と自分の不安を埋めるように答えた。

「じゃあ先に昼ご飯食べてからな」

嬉しさを隠すように目線をそらして前髪をかきあげた。



家を出る時間にはすっかり雨も止んで洪水警報が出ていたと思えないぐらいにキレイな空をしていた。

「浴衣姿の先輩も可愛いですよー!」

隣で歩く可愛らしい先輩にデレデレを隠せない。

だって可愛いんだもん。

「はーい、ありがとう」

いつも通り先輩は塩対応だ。

でも先輩が歩く時に髪が揺れて一瞬だったが耳が見えた。

「照れますか?w」

だって耳が赤かったんだもん。

「、、っるさい」

やっぱりめっちゃ可愛いんだけど。

「しょうがないですね〜、ノーカンにしてあげますよ」

「だまれ」

私の言葉に被せるように先輩は言った。

照れ隠しって奴?可愛すぎるんだけど。

そんな事を歩きながらずっと思っていたら、先輩が急に止まった。

「へ?」

「いや、バス」

先輩が指した方を見ると茜坂行きと書かれたバスが停まってた。

「あ〜、なるほど?」

バスに乗ったついでに時間を確認すると18時くらいだった。

終電までだと1時間ぐらいかかるらしい。

茜坂は田舎だからはバスに乗ってる人は私達以外に人が一人もいなかった。

先輩と私はバスの2人席のところに座った。

私が窓側で先輩が通路側だ。

バスが出発して少し経って私は先輩にある提案をした。

「先輩、愛してるゲームしませんか?」

人がいたら静かに過ごしていたが運転手しかいないなら少し喋るぐらいなら迷惑にならないだろ。

先輩は一瞬嫌そうな目をしたがため息を付いて「いいよ」っと言ってくれた。

「じゃあ、私からいきますね!」

深呼吸をして、思考を回す。

私が頑張れば何回か続けられると思うから最初はいつもしてるような顔で言った。

「愛してますよ、先輩!」

まぁこれじゃあ照れないだろうな。

予想どおり先輩は微塵も照れはせずに下を向いた。

そうすると私側の髪を耳にかけて「僕も」と言った。

浴衣だったからかそれだけでも破壊力がすごく目を奪われてしまった。

先輩はそんな私の頬に手を添え笑いながら「赤w」と言われた。

頬添えられてる手に自分の手を重ねて、先輩の手を下ろし「私の負けていいです」と先輩に伝えた。

「勝った〜、じゃあ肩貸して」

先輩に愛してるって言ってもらってないんだけどと不満はあったが言われた通り肩を貸すと先輩は肩によっかかって目を閉じた。

「また寝るんすか?」

だってこの人多分今日だけで10時間以上寝てるよ。

「自分はロングスリーパーなの、ついたら起こして」

そう言って先輩はすぐに意識を手放した。

ふいに私は窓の外を見た。

今日は先輩と今後の関係を決める日だったことを思い出した。

不安はない、というば嘘になる。

けど前よりは落ち着いている。

なんでだろう、先輩の事好きじゃなくなっちゃのかな?

まぁー、それはない、、よね。

考えても落ち着いている理由がわからなくなってきたのでバスの背もたれに体を預ける。

「先輩、、好きですよ」

そう言って私も意識を手放した。



ガタッと体が揺れる感覚がして目がさめた。

いつもどおり意識がはっきりしないのかと思いきや、今日一日寝すぎたのか目が一発でぱっちり覚めた。

横を見ると後輩が寝ていた。

チラッと見える寝顔が可愛く見えてしまう。

まぁ自分のほうが可愛いけどね。

「こいつと付き合う?」

想像できない。

というか自分が人と付き合ってる姿が想像できないんだ。

こいつの性格なら好きになってくれる人がいっぱいいるんじゃないか。

てか、死にたいなら利害が一致するやつと死ねば良い。

そんな中に顔がいいやつもいるだろ。

死ねば良いとか我ながら酷いこと考えるなと思う。

「好きだよ」

この言葉は嘘?本当?

多分嘘。

でもたまに照れて目を合わせらんなくなるのは本当。

かわいいって思うのも本当。

なんでお前は自分を選ぶの?

わからないことだらけ。

思考を回すと関係ないことが頭によぎった。

まぁ関係ないってこともないけど。

まっすぐ寝てる後輩を見る。

後でちゃんと言うけどリハーサルってことで今言わしてほしい。

今なら照れずに言えるから。

バッグの中に入っているプレゼントの事考えながら「誕生日おめでとう」とバスの中で呟いた。

今日でこの関係は終わりにしないといけない。

外はクリスマスというのに雪降る気配は少しもない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。