クソ先輩
「マイチー!デートどうだった?」
朝だからか自分以外に誰もいない教室の自分の椅子に座って外を眺めていると後ろから突然首を絞められた。
「答えるから話せ、、」
絞めている腕を軽く叩くと放してくれた。
後ろをむこうとする前にわざわざ自分の眼の前に来てくれたのはこの学校のモテ女、菜奈だ。
「僕のオススメだからね、さぞ喜んでくれたかなって思って」
自信満々なのが声で表されている。
「その説はどうもありがとう」
軽く流すと自分の机をバンっと手を置いた。
「どこまでいったの?」
圧的に多分これ逃げれないやつなんだろうなって思う。
「わかった、わかったので、落ち着いてください」
そういうと自分の手を引いて学校の隅にある空き教室に入った。
「どうしたん?」と聞こうとするとそのまま壁ドンされた。
「何何々?」
「いや〜、マイチーのこういう話珍しいからちゃんと話してくれるまで絶対に逃さないようにしようと思って、、」
申し訳ないですとでも言いたげに目をウルッとさせたが結局圧が怖いため何も効果はない。
怖いよ〜。
「それで結局どこまでいったの?」
すぐに申し訳ないような目がキラキラした目に変わったのでやっぱり演技だったんだろう。
「、、、、」
「どこまでいったの!」
黙っていたがもう一段回強く質問されたのでさっさと回答して逃げようと思った。
「おでこにキスされた、、、」
体がゾワってなる感覚が走ったということは顔が赤くなっているということだ。
気づいたら自分は菜奈から目を逸らしていた。
「え?ホント?」
菜奈は壁ドンをやめ近くにある机に腰掛けて座った。
やめてくれてよかった。
この人たまに圧強くなるんだもん。
怖いよー。
「ホント、、、」
学校一番のモテ女からなんて言われるかわからなくて内心少しビクビクしてる。
朝からなんかいつもと違うし、、。
「え!よかったじゃん!」
この笑顔は本物だ。
瞬時にそう思った。
「えー、でもついにマイチーもリア充になっちゃったか、、、」
笑顔のまま平然と会話を続ける。
「相手はどんな人?マイチー全然教えてくれないじゃん!」
たまに菜奈は表情を作っていると感じることがある。
それは多分お互い様で自分が作ってるのも菜奈にはバレているんだと思う。
でも踏み込まない。
それが自分と菜奈の関係性だ。
言葉を返そうとしているとキーンコーンカーンコーンとチャイムがなった。
「ハイ終わり、教室もどろ」
自分の前でパンっと手を叩き空気を締める。
「えー、まだ時間あるってここにいようよ!」
少しぐずるような口調で言った菜奈を絶対にここで話を終わらせてやると強く思い、ドアをバンっと開ける。
「じゃあな!」
そう叫んで廊下を走り出す。
そうすると「まっt」と聞こえかけたが気にせずそのまま走り続ける。
でも追いつかれてしまったようで、気づいたら隣りにいた。
花の高校生が二人で廊下を走っているだけなのにそれが妙に楽しかった。
その後先生に見つかって説教をくらったのは言うまでもない。
今日は陸上部の大会の日。
まぁ24日だ。
世間ではクリスマスイブと言って盛り上がっている。
「勝てるといいなー」
駅のホームで白い息を出しながら電車を待っている。
ひまが出る競技は4×100mリレーの最終走者だ。
リレーは部活の中で一番早い人が走るって思う人もいると思う。
でもこの部活は1年生にも出番を与えてあげようみたいなそういう考えのもとでこうなっている。
まぁ私が一年生の中で一番早いのは変わらないけどねー。
時間どうりに来た電車に乗り込んで一つ空いている席を見つけた。
周りに老人や妊婦がいないことをいちよ確認して座る。
いても多分座るけどね。
「先輩が来てくれるんだもん、頑張らないと」
決意を固めるかのように自分にしか聞こえないぐらいの小さな声で呟く。
ふいにスマホからピコンっと音がなる。
なんだろうと開くと先輩からだった。
{ちゃんと見に行ってやるから、頑張れよ}
ビックリマークも使っていない見た目的には冷たいメッセージだったがこの文章だけでニヤけてしまう。
「明日大会なのに練習しなくていいんですか?」とニヤけてる事を連想させないように、気持ちを抑えてメッセージを送る。
{大丈夫だよ、だって勝てるもん}
すぐにそう帰ってきた。
本当にこの人は、、、。
さっきのニヤけがニヤニヤになっていく。
私、キモいって。
自信が溢れている文書にどう返すか悩んだがあえて何も考えずにあえてこう送った。
「自信満々な先輩も可愛いです!」
「ひまちゃんー!めっちゃ緊張してるんだけどー、大丈夫かなー?」
一緒にリレーを走る内の一人、高いポニーテールの楓ちゃんが話しかけてきた。
the陽キャみたいな見た目しているくせにメンタルが人より弱い。
「大丈夫だよ、だって楓ちゃんはっやいもーん」
「ひまちゃんのほうが早いから!」
本当に不安そうな顔をして言ってくるため場を和ませようと冗談を言ったらすぐにツッコミを返してくれる。
今のはツッコミと言うか事実だけど。
「でも、早いのは本当だから頑張ろ!」
そう言って少し強く背中を叩く。
「そうだね、、、頑張ってみる!」
二人で決意を固め、グランドに移動する。
足を引っ張らなければ何でもいいなんて思っていることは口が避けても言えない。
笛の合図とともに一気に走り出す。
高校生だからといって迫力がないわけではない。
そもそもこの大会は少し強い学校が参加するものだから迫力がある。
今のうちの高校の順位は2位、1位とは僅差だ。
やっぱり早いなー、楓ちゃん。
ベンチに座って仲間を見てると急に楓ちゃんが視界から消えた。
「え、、、」
思わず声に出た。
楓ちゃんが転んでしまった。
この場合選手はすぐに立ち上がるが変な転び方をしたみたいで立ち上がりが遅い。
そうしている間に他の学校は第2走者にバトンが変わってく。
やばい、やばい、やばい、やばい。
「負けちゃう」
楓ちゃんが第2走者にバトンを渡したときにはもう他は第3走者に変わっていた。
一周差、第4走者で僕よりタイムがとても遅い人なんていない。
勝てないか、、、
そう思いながらうちの学校の第2走者を見ていると楓ちゃんが左足首を抑えながらベンチに来た。
「本当に、、ごめん、なさい」
泣きながら謝ってきた。
「大丈夫だよ」
湿布を片手に歩み寄った。
「でも、、、」
しゃがんで足首に湿布を貼って、立ち上がってグラウンドに向かい、ある程度歩いた所で振り返って、片手にグッドを作りながら言った。
「任して、勝ってくるから!」
今作っている笑顔は完全に人工ものだ。
「はい」
そう言われてバトンパスをされる。
そのまま全速力で走るが追いつけるわけがない。
だってもう、大体の学校はゴールしている。
もう無理だよ、、、そう心の中で呟いた。
ほんの少しだけスピードを落とし見た目だけは頑張って走ってるように見せる。
やっぱり私はさいあくだ。
そんな風に走っていると私の学校を除くまだゴールしてない学校の内1つがゴールした。
もう一校残ってはいるが絶対に追いつけない。
「おわり」
小声でそう言いながらさっきよりも下を向いて走る。
もうどうでもいい。
いつも作っている笑顔が消えそうになった時、声が聞こえた。
「頑張れよ、バカ」
目を見開いて、スピードを上げる。
そうじゃん、先輩と勝負してたじゃん。
でもどうせ負けだしと頭ではわかっていても足がさらに前へと走る。
あーあ、負けたくなかったな。
「本当に、、、負けたくない!、、、」
目から涙が出てる、ビジュが悪い、そんな事どうでもいい。
だから!あの一校、あの一校だけには追いつかしてください。
必死に止めようとしていた涙が溢れ出す。
私ってそんなキャラじゃないじゃん。
本当に、さいあく。
腕を大きく振ってもっともっと早く走れるようにする。
そうするとどんどん距離が縮まっていった。
勝てる、勝てる!そんな事を胸に抱きながらほぼ同時で空想のゴールテープを切る。
走り終わって息が落ち着いていない、でもさっきと同じくらいの速さでVTRが見れる場所に向かう。
VTRの前まで来てテレビの上端を両手で持つ、食い気味で画面にめいっぱい近づきVTRを見た。
胸がドキドキして手に汗を握っている。
「あ、、、負けた」
一人でテレビの前で呟いた。
今顔ひどいだろうな。
私はそのままチームメンバーに会いたくなかったため観客席の方のトイレに向かっていった。
「さいあく」
自分の顔を確認するために鏡を見ようとトイレに行こうとしていたが一向に見つからない。
気づいたらもう観客席の方まで来ていた。
私は観客席の隅の方でしゃがみこんだ。
「もう足が限界だって、、、」
リレーで走ってから、座ったりしていない。
もう足に痛みさえ感じる。
顔確認しないと、誰にも会えないって。
いつもどうりの完璧な顔をするためには元々のビジュアルがとても大事だ。
かがみ、かがみ、、、。
ズボンと上着のポケットを確認する。
「なーい」
まぁ走る時に鏡なんて持ってたら危ないもんな、、。
「かがみ、ほしい」
下を向きながら一人、そんな事を呟くと頭になにかポンッと当てられた。
少しだけ顔を上げると小さい鏡を誰かがこっちに差し出してくれていた。
「かがみ!」
そう言って鏡を奪い取り、ビジュを確認する。
やっぱり悪い。
目の周りが赤くなっていて、汗で前髪がグチャグチャになっている。
「本当にさいあく」
ビジュアルをしっかりと確認できた所で立ち上がって、「これありがとうございます」と言いかけて言葉が止まった。
まさかの鏡を渡してくれなのは同じ部活の先輩だった。
あんまり部活に来ていなかった人だから名前を思い出すのに少し時間がかかる。
でも確か、この先輩は舞先輩と仲良かったはず。
思い出せ、先輩が電話してる時になんて読んでたっけ?
というか私この人苦手なタイプなんだよな。
でも鏡を返さないといけないので手で前髪部分を軽く隠してビジュは終わっているがいつもどうりの部活の先輩に媚びうるような顔をした。
名前、、、は、
「ありがとうございます!菜奈先輩?」
多分あってるはず。
先輩は急に私の顔をじっと見た。
「顔ひどw」
私が差し出していた鏡をさっと受け取って、その場からいなくなった。
そんな反応されると思っていなくてびっくりしていたがだんだんイライラしてきた。
「は?」
顔をある程度メイクなどで直してから観客席に座った。
あの先輩が向かった方向的に多分走るんだろうと思う。
どこにいるんだろうとグランドを強く観察しているとちょうどクランチングスタートのポーズをしている菜奈先輩を見つけた。
「これって一番早い人が走る試合じゃね?」
バンっと音がなり一気に走り出す。
その中でも例の先輩は目立っていた。
圧倒的な速さもあったし、ツインテールが揺れていて先輩の周りだけキラキラしたフェルターがかかっているように見える。
先輩をじっと見ているとすぐにゴールした。
パンっと音がなってゴールしたことに気づくくらい先輩に見入っていた。
ゴールした先輩は笑顔で周りの人と喋ったりしていた。
「うその笑顔」
フェンス越しに先輩に向けて小さな声で言った後、観客席から立ち去った。
「はー、、、」
でっかいため息が出る。
先輩の走りを見た後、更衣室に戻ると楓ちゃんから謝られた。
試合が終わって、私がいなくなったのでさっきから探していたそう。
確かに一言なにかガツンとなにか言ってやりたい気持ちはあった。
それでも本音は言わず、「いや〜、惜しかったねー」と明るく返す。
それから適当に話を返して更衣室を出た。
本当は部活仲間とはもうここで解散のはずだったが楓ちゃんが「駅まで送るよ」と言ってきた。
罪悪感を潰すために言ってるんだろうな。
「ごめん!私、お使いして帰んないと行けないから、ホントごめん!」
「そっか、、、じゃあまた部活で」
「うん、バイバイ!」
そう言って私は駅とは違う方向に進む。
てか足ひねってんだから早く帰れよ。
時間はある程度時間がかかるけど歩いて帰れない距離ではない。
足が痛いから電車で帰りたかったんだけどね。
そういえば先輩から連絡をチラチラ確認してるけど走り終わってから一回も連絡が来てない。
でもさっき菜奈先輩が一人で帰っていたので多分舞先輩はもう一人で帰ったんだろう。
だってまだいたら一緒に帰ってると思うもん。
そんな憶測を頭の隅に置きながら家に帰る。
途中でノート買って帰ろうとコンビニによることにした。
中に入ろうと近寄るとコンビニの隅で何か言い合いをしている人達がいた。
関わりたくないなー。
そう思ってもう少し先のコンビニに行こうとスルーして通り過ぎようとすると喧嘩している一人に見覚えがあった。
やっぱりそのまま通り過ぎてもよかったがなかなか面白そうだったのでそっから視覚になるところに隠れて見ることにした。
あれは、、やっぱり菜奈先輩かな。
何話してるんだ。
先輩たちの方に耳を傾ける。
「菜奈さー、最近調子乗ってない?w」
「わかる〜!今日だって何あれ?あんな走りしてさ私達3年生に悪いと思わないの?w」
「勝って何が悪いんですか?」
今日私を煽ってきた時の菜奈先輩とは違いか細い声をしていた。
「だから!そういう態度が調子乗ってるって言ってんの!」
先輩のことを攻めている内の一人がさっきよりもイライラしているんが目に取れる。
「なんですか、先輩より菜奈の方がタイムが遅いからそんな事言ってるんですか?w」
なんであのバカ先輩は逆効果のことをする?意味がわからない。
相手はもっと怒り出すかなと思っていたがさっきよりも冷静になっている。
本当になんで?
「いいんだね?そんな態度取ってお前の友達にお前が悪口言ってること言うよw」
菜奈先輩の友達、、、
「は?」
急に怒りが湧き上がってきてとっさに口から不満が出てしまった。
すぐに菜奈先輩の方を確認したが気づかれてはいない、と思う。
てか、あのクソ先輩、3年の方が言ってることが正しかった場合、舞先輩の悪口も言ってるってことだよな。
イライラしすぎて頭痛くなってきた。
「でも、先輩の方が周りからそういうので嫌われてますよねw」
そんな事言っても怒らせるだけなのに、本当ににバカ。
でももう菜奈先輩がどうなろうともうどうでもいい。
一回頭冷やそうと、その場を離れようとするとバシッと殴るような音が聞こえた。
「いや、暴力はダメだろ」
コンビニに背を向けていたがもう一度コンビニの方を見る。
「だからお前のその態度まじでイラつく、二度と陸上部に顔出せないようにしてやる」
3年の先輩が腕を振り上げた瞬間、とっさに菜奈先輩を庇うように体が動いだ。
「バシッ」
ほっぺか、、、。
殴られた頬を片手で触り、傷を確認する。
痣にならなければいいけど。
「先輩!菜奈先輩は私がやるので先輩は手出さなくてもいいですよ!」
片方の頬が持ち上がらなくて、いつもより笑顔が不器用になる。
「なんでここに日葵がいんの、、、」
私の事を怯えたような目で見る。
多分今までの話聞いちゃいけないやつだったんだろうな。
なんて言おうか迷っていると取り巻きみたいな先輩が口を開いた。
「まぁまぁ光、日葵だって言ってやりたいことがあるんでしょ、じゃあもう任せようよ」
「そうだね、、、」
その言葉を聞いて光?先輩と取り巻き先輩はコンビニから立ち去っていった。
立ち去る時に「日葵、今日聞いたことは誰にも言うなよ」って言ってたことはもう無視でいいよね。
自分の頬を抑えながら立ち上がる。
「痛いよ、、、」
先輩の方を向いて手を差し伸べる。
「大丈夫ですか?」
多分今、菜奈先輩に向けている顔は人に向けるような顔じゃない素の部分だ。
先輩は私がせっかく差し出した手を振り払って言った。
「やっぱり顔ひどw」
「は?」




