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夢見る天才少女と夢を知られた少年  作者: 引田 籠
第三章

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第11話 役者は揃った?

前話別のデータ貼り付けてたので、修正しました。すいませんでした。

 委員長(仮)が(りん)と文音ちゃんに初めて会うこととなった放課後(燐は正確には軽く顔を合わせてはいたが省略)。

   

 「なんという非日常感……」


 文音(ふみね)ちゃんが天恵(めぐみ)の部屋に入る前からそんな悲痛な心境を訴えていた。委員長(仮)と接触して五日後ようやく行動するための会議を開始できるようになったらしい。

 だが、俺には全く共感できなかった。俺はほぼ一般人だ。超能力もなんもない。勝手に受送信役や交渉役はやってるが、あまり実感できる場面に遭遇してないからだ。

 なにか垂れ流していたようだが、そちらも大分改善されたらしいので一般人だと言っていいだろう。

宇宙人にもそう太鼓判(たいこばん)を押された。


 「異常なこの気配を感じ取れないんですか……?」


 リアルガチで辛そうなやつだ。ある程度覚悟はしていたが、ここまでとは。こりゃ延期にするほうが無難か。


 「いいえ。慣れれば問題ないと思います。それに早かれ遅かれ、追い出さなきゃいけないので」


 まるで悪霊みたいな言い草だ。


 「なによりも天恵さんに協力すると約束したので」


 義理堅い娘だな。なんにせよ入らなきゃ始まらない。


 覚悟が決まったようなので、俺は扉を開ける。

 扉を開けてリビングに入ると、当たり前なのだが、委員長(仮)はいた。燐もいる。しかし、天恵は不在だった。


 「あいつはどうした?」 


 ホワイトボードが出されていないので、主語を省略しながら、用意する。


 「天恵? ちょっと大家さんに呼ばれてる。すぐ戻るってさ」


 「そーかい」


 俺は生返事(なまへんじ)もほどほどに慣れたように話し合いの準備をする。

 女子高生らしくテーブルで携帯をイジる燐の姿はなんとも新鮮に映った。と同時に安心した。こいつも年相応の女子らしさを見れたからな。 

 あと必要なのは飲食類か……高いものを適当に並べりゃいいか。最近は文音ちゃんが出入りするようになってから高い物を購入しても怒らなくなったからな。おかげで怒られずに俺も美味いものをたくさん食えてありがたい限りだ。とはいえ、燐みたいにバクバク食うと流石に叱られるが、俺は燐ほどは食わないのでそこまで気に掛ける必要はないけどな。

 もてなす準備をしようとキッチンへ移動しようとしたときーーシャツの裾をがっしりと掴まれた。掴んでいるのは文音ちゃんだった。なんだかデジャヴな気がすると思ったが、この前の燐のときみたいだからだ。違うのは屋内外なのと必死さの度合いくらいなもんだろう。一瞬どうしようかと悩んで、「一緒にお茶入れるの手伝ってくれないか?」と手伝いを頼む。彼女は無言でコクコクと頷いた。


「燐はなににする? 紅茶かコーヒーか緑茶ならあるぞ」


「全部!!」 


 なんつう業突(ごうつ)()りだ。用意する身にもなれ。とはいえ俺は言われるがままに、用意をする。そうすれば、非難の的は燐に行きやすくなるだろうからな。


 俺が「委員長は?」と尋ねる。 


 相変わらずの機械音声のように、「水で構いません」


 俺は下の棚を開き、出勤初日でバイト未経験の新人カフェバイトに教えるように、「文音ちゃんは好きなのとってくれ。ここにあるものは自分で飲める量ならいくらとってもいいから」


 「は、はい」


 優しく言ったつもりが、かなり緊張している。委員長(仮)との距離はかなり離れて緊迫感のようなものは薄れてるようだったのに、キッチンに来てからは違った意味で緊張感を出している。あーそうか。彼女はこういった経験少なそうだもんな。同性相手でも無さそうだ。   

 

 年相応に不貞腐れたようにエスパー少女は、「こういった経験くらい自分にもありますよ」

 まだ機械は調整不足なのか。それともついに恐れていた機械の暴走か。

 

 「違います。顔に出てました」


 そりゃよかった。あいつに無実の罪を着せてそれがあとで証明されるとウザいことこの上ないからな。


 「自分にだって友達くらいはいますよ。少な……で……すけ……ど」 


 言葉の語尾は小さくてよく聞き取れなかったが、少ないということらしい。別に友達の多い少ないで、どうこういうわけないので、安心してほしい。大事なのは質だ。まぁ俺は自慢じゃないが友人の質も量も多いほうかもしれないけどな。

 といってもこれは俺の能力云々じゃなくて、運的なもんだと思う。たまたま周りにいい奴が多く波長があっただけだ。


 「お菓子は適当にクッキーでいいか……」と独り言のように、文音ちゃんと自分に確認するように呟くとーー


 勢いよく扉が開いた。強盗か? という考えが一瞬だけチラついたがそれはないだろう。セキュリティーに関してはかなりレベルが高いと家主とオーナーが豪語していたはずだからな。

付け加えるなら、個人的にボディーガードもいるのだ。仮になにかあっても助かる可能性は高いだろう。

 入ってきたのは家主である牧之瀬天恵だった。

 不機嫌なような戸惑いのような表情をしていた。

まぁ赤の他人から見たらただ単に怒っているようにみえるかもしれないがな。

 燐はそれに気づいているようだ。

 文音ちゃんはーー。委員長(仮)の水を熱くて濃い渋めのお茶を飲むかのように啜っていた。

熱くもないし、毒も入ってないから普通に飲んでほしい。


 「お疲れ様。なんだ大家さんに怒られてきたのか?」


 「そんなじゃないわよ……」


 言い返されるかと思いきや元気がない。


「五分だけ休ませて、そしたら、用意して始めるから」と言って部屋に入っていた。


入る前に、「文音ちゃん待たせて悪かったわね」と謝罪して部屋に入っていった。


俺を含む三人への詫びの言葉はなしかよ。とツッコミたかったが、それらを憚るほど、異様な空気だった。

 家族関係の問題かもしれんから、深入りできんが、なにかあったら、相談に乗ってやろう。

 かくして役者は揃ったのだった。あとは開演を待つのみといえよう。

次回は8月8日(土)21時ごろ投稿予定です。

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