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夢見る天才少女と夢を知られた少年  作者: 引田 籠
第三章

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第12話 不伝の一文字

また遅くなってしまい申し訳ございません

 牧之瀬天恵(まきのせめぐみ)はカリスマ塾講師が問題の重要箇所を強調するかのようにバンバンとホワイトボードを叩きながら、「じゃあ始めるわよ!!」と会議開催の宣言した。

 まだ名前の通りなにも書かれていない真っ白な板なのに妙なテンションだった。無理やり気分を上げてるようにも感じたが、研究が進みそうなことによるものだとも思えたので、触れないように努めた。

 この中で無知さランキング暫定一位の俺が、「どうやってやるんだ?」と口を挟もうとしたとき。


 「文音さんでしたよね? あなたはテレパシーが使えるようですね。それもかなり強力な」


 委員長(仮)が手を挙げたかと思ったら、突然話と視線を振られた文音ちゃんは傍目(はため)でみたら、いつも通り平静(へいせい)を装ってみえた。天恵が自身への休憩と称してここについて休めたのが功を奏したのかもしれん。しかし、それはあくまで装いにすぎないようだ。

 文音ちゃんはクールな表情は崩さないものの、急に水を向けられたせいか冷や水を浴びせられたかのように顔が青ざめている気がする。親戚兼医者である燐のほうを見て問題ないか確認するが、呑気に手を振っている。

 ドクターストップは出てないようなので、このまま続行だ。なにかあれば、彼女を背負って病院なりなんなり連れて行こうぞ。経験済みだから迅速な搬送はちょいとばかし自信はある。

 というか急に喋らないで欲しい。


 「挙手はしてました」


 それはできてるからいい。さすが委員長の身体を使っているだけあって、教科書にお手本として記載したいくらいの見事な挙手だ。しかし、発言するタイミングが早すぎる。


 「あなたたちと通う場所だと演じるのに疲れるので、少し許容してもらえませんか?」


 「お、おう……」


 なんだか、委員長自身が言っているようなので、申し訳なくなる。からかわれながらも、念のため個人的に委員長の最近の情報を洗い、悩みなどがないか調べてみた身としてはそれらは全くなかったのだが、盗撮という闇を抱えていたのは事実だからな。

 ちなみに部屋中の写真も剥がして、データは消した。俺にも肖像権の保護権利を主張する。単なる写真なら俺も距離を置いたりなどで対処するのだが、盗撮のような写真も多かったので仕方ない。一体どうやって撮ったんだろうね。委員長(仮)のほうもよくわからないと言っていたが。撮影手段は不明だが、画像が明瞭になっていき、撮影の腕が上達していっているのが、わかる。

 普通なら人の成長を喜ぶべきなのに全く喜べないどころか恐怖を感じる。っと話がだいぶ脇道に逸れてしまった。このことは一旦脇において置こう。本筋とはあまり関係ないはずなのだから。

 ひるんでいた俺をスルーし、天恵が目を泳がせながら、「は、はい。そのようです……」

元から備えていたとはいえ、最近覚醒したばかり能力で自信がないというのもあるのかもしれないが、この場合は得体の知れない存在に接したときの恐怖からくるものだろう。まるで生まれたばかりの草食動物が、空腹時の肉食動物に睨まれたように萎縮(いしゅく)していた。


 「書いてる途中で勝手に話しを進めないでよ」


 この会議の責任者兼書記係が意義の申し立てをした。

 そして再びホワイトボードに向き直って指し、「こっちをみなさい」


 俺達は授業の板書(ばんしょ)のように凝視した。相変わらず天恵の字は汚いというか癖が強い。

 海外生活の影響のせいかもしれんが、それを考慮しても読みづらい。小学生のときのハイドの字を見ているようだ。まともな発明とモデル以外はなんでも出来ると思ったが、書道家も厳しいな。俺も褒められたもんじゃねーけどな。

 ホワイトボードには意思をもったミミズが綺麗な線を描こうと努めたかのように字で『妹』と書かれていた。

 省略し過ぎだ。

 なにを言いたいかわかるが。わかりそうでわからなかった。

次回は9月5日(土)に更新予定です。

投稿期間が空くのストックがないとかではなく色々とひどいので一度整理して

しっかりした状態にしてから投稿したいと思います。


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