第10話 奇異邂逅
また遅れてすいません。来月には改善します。
朝のホームルームが終わると林檎が話しかけてきた。「ハイド知らない? 借りてた。漫画返そうと思ったんだけど」
珍しくいないな。いつものこの時間なら俺か雪平なんかと談笑しているんだが。
「そっかぁ……別に急ぎじゃないからそっちは後でいっか」
(よし、解放されたか?)
と思いきや、近所の悪い噂話をするときの主婦のように周りを見渡したあと、林檎が手招きしてきた。
「なんだ愛の告白か?」
「んなわけないでしょ」と林檎に軽く流され、「牧之瀬さんと夏南が一緒に朝練やってたけどなんか知ってる?」
知らん。初耳過ぎる。俺は天恵を横目で盗み見る。いつものような寝たふりじゃなくてガチ目に寝てやがる。その原因は我が校のサッカー女子同好会責任者である豊田夏南の朝練に付き合ったせいだったのか。
「遠目からみた感じだと、結構キツそうな練習だったと思うけど、ついていけたのかな?」
「普段から色々と鍛えてるから、平気だろ」
まともな発明以外はなんでも出来る女だと俺が太鼓判を押す。いや待てよ。サッカーは団体競技だ。こいつが一番苦手とする。コミュニケーションに関することで精神的疲労はかなりのものだったのかもしれない。
体力や技術的な問題は余裕でクリアしているだろう。男子世代別代表のエース格とたまに練習している俺が言うんだから間違いない。なによりも夏南が無理をさせるようなヘマはしないだろうから平気だろうさ。
「もしもキツそうだったらメンドイが誘うのをやめてもらうさ」
「ならいいけど……でも、あの子目を星みたいに輝かせてたから……」
こいつ上手いからな。時折サッカーを興奮気味に語るハイドがなぜか語らないのが不思議なくらい逸材だ。
「まぁいい。いい。気になったのはそんだけ。わかってると思ってるけど、牧之瀬さんのことしっかり頼んだよ」
あんま頼まれんで欲しい。今は彼女がいないからいいが、出来た時に色々厄介そうだからな。まぁそれまでは世話するつもりさ。郁美さんにも頼まれてることだしな。
ちゃんと分かってるんかね? という呆れ顔をしながら林檎は俺の席から離れて雪平の席へ行った。さてと、俺も他の席に用事がある。
「おい。なんで朝逃げた」
くだらない談笑をしていると始業となった。なんてことない日常だ。
次話は8月1日(土)21時ごろ投稿予定です。




