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夢見る天才少女と夢を知られた少年  作者: 引田 籠
第三章

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第5話 テイカン

短いのに遅れてすいません。


 「なんでここにいるんだ?」 


 まさか尾行(びこう)してたわけじゃあるまいな。


 来訪者の牧之瀬天恵(まきのせめぐみ)は呆れながら、「あとをつけてなんかいないわよ」


 そりゃよかった。


 「逆にこっちが質問を返したいくらいよ。なんでここにあんたが……ううん。私があいつに聞いたほうが早いかもね」


 「だろうな。なんならあとお若い二人でゆっくり話し合ってくれ。俺はもう疲れた」


 「いいえ、あなたは帰ってはダメです」


 「なんでだ? 俺の知り合いでお前の悩みを解決してくれそうな人材は俺のそこそこ広い交友関係(こうゆうかんけい)の中でも四、五人くらいしか思い浮かばんぞ」


 「その人物がどんな人物かわかりませんが、恐らく一番の重要人物はあなただと思います」


 「こいつは何番目だ?」


 「三番目くらいだと思います」


 「ふふっ……」


 「なに笑ってるのよ!?」 


 「だって俺以外にも負けてるんだぜ。ダッサ。ザッコ」


 いつものことなのだが、煽るのはこれくらいにしよう。委員長がお怒りでらっしゃる。

よくよく考えれば妹が死んで(生き返るらしいが)見知らぬ土地どころか見知らぬ惑星にいるのだ。そんな状況の中ふざけてたら、怒られるに決まっている。


 「玄関で立ち話もなんですので私の部屋に行きましょう」


 「わかった」


 「ちょっと。ちょっと。なんで? ここでいいじゃない!」 


 なぜか天恵が必死に引き留める。いやいや。なんでお前が止める。家主でもないお前が。立ち話は構わないが、万が一委員長の両親が帰宅するなんてことになってみろ。面倒だろう。


 「だってだって」


 俺に対して妙に煮え切らない態度をとる天恵。


 「じゃあせめてあんたの部屋に貼ってあるものを剥がしてからにしなさい」


 「なぜあなたが私の部屋を把握してるのかはさておき剥がすのは時間かかり過ぎます」


 うぬぬと唸り始める天恵。ボッチで転校数か月の天恵は委員長とは面識がないはずだ。


 「じゃあほんの少しだけ源太郎と話す時間をちょうだい。いい?」


 「わかりました。しかし、手短にお願いいたします」


 蚊帳の外(かやのそと)だったのが急に押し込められた。仲間から勝手に省いたり、入れたり忙しいやつらだこと。


 「いい?」


 「へいへい」


 「もうこうなったら仕方ないわ。あんた覚悟を決めなさい。ともかく驚かないこと。あとは他言無用(たごんむよう)よ」


 心配すんなって。燐の部屋に入ったときにヤバイもんいっぱい見てるんだ。それに現在含め、中二のころから、それなりに色んな体験してるから慌てふためいたりなんかよっぽどのことがない限りねーよ。


 「見慣れてないものじゃない。むしろあんたなら特に見慣れてるものよ」


 じゃあいい弊害ねーじゃねーかよ。


 前情報なしで彼女の部屋にいったら衝撃的だから。言ったの。


 「はい。そこまで。時間がもったいないです。行きましょう」


 委員長(仮)に促されて彼女の部屋へと向かうことにした。

 天恵は面倒になったというか諦観したかのように俺たちのあとをついてきた。

来週は6月28日21時に投稿予定です。

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