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夢見る天才少女と夢を知られた少年  作者: 引田 籠
第三章

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第4話 狂った死生観、交わる視線

遅れてしまい申し訳ありません。次回からはまた週1投稿の予定です。

 委員長や周りの人間(これはもちろん俺を含む)への安全保障を条件に俺は委員長の家に向かうことになった。クリニックから、電車を乗り継いで、十分弱すると目的の駅へとたどり着く、そこからまた十分ほどの時間かけて歩くと委員長の自宅があるらしい。道中は全国の至る所でみかける閑静な住宅街が広がっていた。

 その道中で簡単ないくつかの質問を交わす。


 「お前は委員長じゃないのか?」


 「はい」


 即答だった。だが、問題はなぜ俺に相談したかということだ。


 「以前述べたとおりあなたが人とは違うからです、そしてーーわたし……いえ、彼女ですね。彼女があなたと親密な関係だからです」


 親密な関係ね。なりたいと思ってた時期はあるかもしれんが、結局実現しなかった関係だ。今後はわからんが。


 「違うってのはどう違うんだ。劣っているという意味か」


 成績はお世辞にもいいとはいえない。下を見れば地面に鼻が触れそうなくらいな低空飛行を繰り返している。例外は初等部→中等部→高等部などの進学試験のときの成績くらいだろう。


 「違います。劣っているとかそういうのでなく次元が違います。言葉で説明するのは難しいです。方法はありますが、今はその手段がないので。そうですね。言葉で表すなら、あなたは三次元と四次元の中間を彷徨っているような存在に私は感じるのです」


 「全く理解できん。なんだ? 社会の荒波に揉まれているみたいなもんか?」 


 俺の記憶だとバイトぐらいでしか社会の荒波に揉まれた経験しかないのに、気づけば漂流していたってのか。 


 「あなたも心当たりはあるでしょ?」


 このセリフに心当たりがないわけではない。ただ、完璧に当たっているわけでもない。機械を入れらても基本俺は凡人だ。文音(ふみね)ちゃんのときのような天恵(めぐみ)の手を借りれば変わるかもしれんが、あのときも結局は勝手に足が動く程度の操り人形少年を演じただけだ。

 思い当たる節がないわけではない。正直委員長(?)なら口が固そうだから言ってもいいかもしれんが逆に委員長が宇宙人だという証拠がない。


 「お前が宇宙人だという証拠を見せてくれたら考えるよ」


 落ち込んだのか、処理速度による影響か歩行速度が一時的に遅くなる。合わせるように歩幅狭めてゆっくり歩いて待つも、「言語化できません」


 「上手い言い訳だ。なら、ついてから説明してくれればいいさ。見せるのにどれくらいかかる?」 


 「すぐです。そして着きました」


 案内された場所はごくごく普通の一戸建て住宅だった。燐や文音ちゃんの家ように大きなサイズじゃなくて助かる。同じ一戸建てなのに、首が痛くなるのはごめんだからな。人をみかけだけで判断してはいけないように、敷地内でも身構えていた。


 鞄の中から鍵を探しながら委員長が、「別段変なところはありませんよ」


 「すまん。すまん。お母さんとかはどうしてるんだ?」 


 「それは私の方でしょうか? それとも委員長の方どちらの事でしょうか?」


 さきほど家に誰もいないと聞いたが、ここは両方聞いておこう。


 「両方だ」


 「委員長の母親は仕事中です。どうやら最近仕事に復帰したみたいですが、忙しいようです」


 「そうなのか」


 「私の本体のほうの話ですが、そもそも母親という概念は少し、違います」


 「そうなのか?」

 

 「はい」


 緊張のせいか単調なやりとりが続く。早く鍵を見つけてくれ。この空気はなんだかキツイ。


 「じゃあ血の繋がり……とは違うが親戚みたいなのはいないのか?」


 好奇心からくる何気ない質問だ。


 「妹がいました」


 「いました?」


 予期せぬ回答だったので心の声が口に出てしまった。


 「事故で死にました」


 宇宙ってのはやっぱり怖いもんだ。高度な科学技術を持ってても死ぬんだからな。


 「軽々しく聞いて悪かったな……ご、ご愁傷様です」


 「いえ、問題ありません。直に生き返るので」


 なんてことないという感じで言いやがった。ようやく見つけた鍵で扉を開けながら、言うところみるとホントになにげないことなんだろうなというのが伺える。

 お邪魔しますと断りを入れて、靴の向きを整え終えると、


「で。委員長が宇宙人で信じたとしてどうすればいいんだ?」


 俺に出来る事なんてあるのか?


「あります。恐らくあなたなら妹を生き返らせることができます」


 そりゃどういう意味だ。


 委員長が答えた直後――その答えはインターフォン音によってかき消された。

人がいないと聞かされていたが、来訪者が来るとは委員長が予想外だったらしく、やや不機嫌そうに「二階の奥にハート型のプレートがかけれらた部屋がありますので、その前で少し待っててください」と告げられた。

 で、扉の前で待つこと3秒。委員長がパタパタと音を立てて、二階へと上がってきた。随分早かったな。


 「あなたあの人に話しましたか?」


 「は? あの人って誰だ?」


 全く思い当たる節がない。数ナノメートルもない。


 委員長がため息交じりに、「仕方ありませんね……一緒に対応しましょう」


 なぜ客人である俺が客人の対応しなければいけないのか。普段ならこういったツッコミをいれるところだが、黙って俺は従った。もしかして仲間が到着して俺に危害を加えるなんてことも考えたが、彼女は約束を守ると言ったのだ。そこは信じよう。それに彼女ではなく、俺に関係がある人物の来訪のようだからな。

 言われるがまま階段を降りる途中、どんなやつが来たのか見ようとしたが、誰もいないように見えた。まさか目に見えないやつじゃないだろうなと心配したが、階段を降りえるとしっかりとその人物の姿を視認することができた。いや、人物なんてかしこまった言い方をする必要もないか。一瞬目を疑ったがそいつは視線を下げることで視認でき、俺の目の異常の疑いは晴れた。

 目線を下げるのは最近はいつもやってることだ。特にこいつに関しては特にだ。


 「なんでお前がここにいるんだ?」


 牧之瀬天恵(まきのせめぐみ)から返ってきたのは言葉ではなく呆れたような顔であった


次回6月21日21時投稿予定です。

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