1話 委員長への対処療法
以前俺は生徒会をやったことがあると語ったが、そのときに会長を務めた人物がなんというか、まぁみなが想像するような生徒会長のイメージとは真逆の人物だった。最初は色香に惑わされたり(人質をとった脅迫)話に乗ったことを後悔もした。
特に始めの頃なんかは俺個人だけの問題ではなく、学校が世紀末のようになるかもしれないとも危惧したが、実際は全く違った効果を表す。
見違えるほど校内環境がよくなったのだ。
それはありふれた河川に一滴の聖水を垂らすと四万十川のように綺麗になった。まるで魔法のような出来事といえた。(むろん校内が荒れていたわけではないが)
今の俺の地位があるのも会長のおかげであり、楽しく充実したものでもあったのだが、天恵との騒動よりも体力を消耗したので、二度とごめんなのだが結構勉強にもなることが多かったので感謝はしている。
特に変に真面目一辺倒の優等生だとこの学校を上手く治めるのは結構難しかったかもしれない。
我が校は不良こそいないけれど、面倒な連中が多いからだ。
それに教師陣も色々忙しく、重大な校則違反レベルじゃないと動いてくれないこともある。
普段なら生徒それぞれの問題になるのだろうが、行事などが絡むと生徒会としてはそうはいかない。特に部の数がそれなりにあるので体育祭、文化祭さらには外部関係者をも巻き込むこともある行事なんかで厄介事があってはたまったもんではない。
特にうちはエスカレーター式で受験をしたくないやつらが多く集まっている学園と言える。三年の我慢ですまない場合があるので、揉め事は避けたい。なのでこの学校で上に立つというのはたとえ委員会でも面倒くさい。
端的にいえばこの学校の生徒会なんてやるもんじゃないと思う。怒られるのはいつも上の人間なのだから。
その生徒会長はもうこの学園にはいないのでやる気はさらさらないが。
冒頭から長々と語ってしまって申し訳ない。個人的な話で関係脱線もしたが、今回の件と全く関係ない話をしていたわけではない。
むしろ、重要なことだ。
だから、俺はまず最初に彼女に言いたい言葉がある。
「休め」
相談相手の女子の肩を優しくも力強く両手で叩いてそう励ます。
張り詰めた空気を纏った受験生徒の緊張を解かす面接官のように促した。
「よく言ってる意味がわかりません」
相変わらずクラスが違い、疎遠がちになったとはいえ、同級生とは思えないほどやけに肩苦しい挨拶をする。まるで委員長のようだ。と思ったが彼女は委員長だった。
それもドが一つくらいじゃ足りないほどの真面目過ぎる委員長だ。
なので前述したとおり精神をやられてしまったのかもしれない
病名はつけられずとも医学的知識が足りない俺にでもわかる。
これは異常な状態だ。
だから、ここに呼び出した。
現在俺の知りうる限り、情報流出を守れる最大の場所はここだと言っても過言ではない。
第三図書室だ。この場所は最近になって強力だった情報漏洩に関する防衛力が天恵の協力によりさらに強化された場所らしい。といっても国家機密的な情報を話すわけではないので気にし過ぎかもしれないが。彼女に変な噂が立つのは避けたいんでな。
「まずは病院でも行ったらどうだ?」
そこなら俺のような資格がないやつの対処療法ではなく、資格ある人物が根治療法を施してくれるだろう。
「病院に行ってどうなるというのですか? 私は嘘は言ってないし、病気でもないです。信じてなていませんね?」
酔っ払いが酔っ払ってないとい言ってるようなもんだ。あまり関わりたくないが、燐でも呼べばよかったかな。
「ともかくだ」
俺は貯め込めるだけ肺に息を吸い込み、言葉と一緒に吸い込んだ空気を吐き出す。
「お前が宇宙人なわけないだろ。」
このやりとりはするのここに来て何回目だろうか。




