遥か未来の少年少女
【エピローグ】
「おい。サッサとしろ」
「もう、待ってよ、お兄ちゃん」
制服姿の俺は玄関の前で鞄を持ち、双子の妹の夏海を待つ。少しすると支度ができたようで、妹も制服姿で現れた
「ね?ね?似合う?」
今日から俺も妹も高校1年。めでたく(?)俺と一緒の学校に合格した夏海は毎日のようにそう聞いてくるので、正直、もう見飽きた。だから、そのまま直接言った。
「ひどぉい!私、こんなにもスタイルいいのに!いくら見ても飽きないほどなのに!」
そう言う俺の妹(慎重は150cmでスリーサイズは上から69・51・72らしい)
「はいはい。スタイルいいです。似合ってます」
俺は棒読みし、サッサと歩き出す。
「あ!待ってよぉ!」
夏海は情けない声を出しながら靴を完全には履かないまま、半履き状態でパタパタ音をたてながら追いかけてくる
「はぁ……。待ってやるからその情けない声と靴をなんとかしろ」
俺は立ち止まり、ため息を付きながらそう言った
「は~い。……あ、でも、男の人の中には情けない声出す娘が好きって人もいるよね。なんだか『頼られてる』感とかそんな感じで」
「少なくとも俺はそういう男性ではない」
「と。言いつつ、私がそう言う声を出したら待ってくれるよね」
夏海は靴を履き終え、ニヤニヤした顔で見てくる。それを俺は特に気にせず、歩き出す
「あ!逃げた!」
「お前のせいで時間がないんだよ」
あと30分ほど。本当ならもう少し早く行って、緊張に慣れておきたかったのに……。これじゃあギリギリだ。
「……あと、情けない声だして待つのはお前だけだよ」
「え!?」
俺はそう言い、追いついた夏海の頭を撫でてやる。すると、夏海は恥ずかしいのか、一気に真っ赤になり俺を叩いてくる。まあ、痛くないけど
「もう!変なこと言わない!」
「まあ、その分しごきもするがな」
「いたたたたた!」
俺は撫でていた手で頭を絞める。背が小さい分、頭も小さいので問題なく絞められる。
「ほら。行くぞ」
俺は最後にもう一度頭を撫でてやり、歩くスピードを上げる。夏海も頭を抑えながら、それでも笑顔で付いてきた