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元管理職、経済力で異世界を支配する  作者: わた
二章

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第四十二話 治療

最近遅れが続いてすみません。


「布を」


置いてある清潔な布を渡すと、老人は傷口に当てた。


「そのまま圧迫固定だ。緩めるな」


言われるままに、ぐるぐると胴に巻きつける。

さっきよりも、しっかりと。


「……呼吸は?」


思わず聞いてしまう。かなり血は出ていた。輸血などはしなくていいのだろうか。


老人がソラの顔を覗き込む。


「浅いが、ある。だがこのままでは時間の問題だな。血が足りていない。典型的な出血性ショックだ」


老人は無駄なく続けてしゃべっている。


「今は応急処置に過ぎん。本格的に助けるには、回復結晶が必要だ」


回復結晶?初めて聞く名前だ。


「それはどこにあるんですか?」

「市場にはまず出回らん。出ても、そうだな」


 老人は一瞬だけ考え、


「クレドで言えば、200万クレドは下らん。それでも手に入れば運がいい方だ」


かなりレアということだろう。それだけの値段だからな。


「そしてもう一つ、治療費だが、」

「……いくらですか?」

「100万クレドだな。」


そのくらいなら余裕で払うことができる。


「払えんのだろう」


遮るように言われる。


「いや、べつに、」


「長く見て、一日だな。その間に金を作れるのなら治療してやる。」


「だから、」


「回復結晶をこの街で持っている可能性があるのは、数人だ。どれも金で動く連中ではあるが、」


 そこで言葉を切り、こちらを見る。


「お前に払えるとは思えんな」


話を聞けよ!払えるって言おうとしてんだろ!


「おい!人の話を聞かんか!」


おじいちゃんが急に割り込んできた。

老人の目がわずかに細められる。


「こいつは今!1000万クレドを持っておるんじゃぞ。払えんわけあるか!」


俺の気持ちを全部代弁してくれた。


「は?1000万クレド?」

「さっき2000万クレドを稼いだばかりじゃぞ!」

「にせんまんくれど?」


繰り返しボットになってしまった。というか、おじいちゃん俺の個人情報めっちゃ漏らすじゃん。


たしかに俺はそんなに裕福には見えないかもしれないけれど。

人は見た目で決めつけちゃだめだね。眼の前に反面教師がいるからよくわかる。


「あと、何が200万クレドだ!回復結晶はどこの病院でもあるじゃろ。患者に買わせるとは何事じゃ!」


え?詐欺られていたということ?

本当は払わなくてもいいお金を払いそうだったということか。


「しかも、治療費100万クレドとは何事か!10万クレドの間違いじゃろう。」


10万クレドだったの?100万でもいちおう払うことはできるけど、かなり詐欺られているじゃないか。


「あと、お主も。なんでヒールドラゴンがいるのに、そいつに回復魔法を使わせんのか。」


こっちにも飛び火が来た。

でも、ヒールドラゴンって微熱を治す程度の能力だと思っていた。そんなに強いのか。


「小さく見えるかもしれんが、そいつは立派な成獣じゃ。」


お、大人だったの?トカゲサイズなのに。

ただの爬虫類じゃないのか。


「で!いくらで治療するのかのう?」


おじいちゃんからのものすごい圧力を感じる。

厳密には感じているのは俺ではないけど。


「じ、10万クレドで、」

「ほう?あんな詐欺をしたのに反省しとらんのかのう?今からでもギルドを読んでこようか?」

「ご、5万クレドで!」


当初の半額どころか、1/20になるなんて。

おじいちゃんに感謝しなければ。


「ありがとうございます。本当に助かりました!」

「いやいや、これから共に旅する仲間の危機は救わんとのう。」


ソラとも旅するつもりかよ。

これが終わったらリムベルクに帰るけどね?


老人からは最初の威厳を全く感じない。


「はやく回復結晶を取ってこい!」


と、おじいちゃんから怒鳴られて奥の部屋に行ってすぐに戻ってきた。手のひらほどの石を持っている。


「ドラゴンとか変な見たこともない魔物を連れている時点で気がつけばよかった。」


とか、言っているのが聞こえた。相手が悪かったね。


おそらく持ってきたものが回復結晶なのだろう。

これが医療に使われると考えると、200万クレドの価値があるのは事実なのかもしれない。


だけど、ベッドにいるソラに回復結晶をどうやって使うのだろうか。押し当てるとかじゃないだろう。


そう思っていると、老人は魔法のようなものを唱えだした。

性格が腐っても、医者なのだろう。回復結晶の使い方はわかるようだ。


回復結晶が消えていくのと同時に、ソラの傷口がみるみる癒えていくのがわかる。


全て回復結晶を使い終わると、傷口は完全に癒えていた。


「すごい…」


しっかりとした魔法を見たのは自分で唱えたものを除けば初めてだったからな。


でも、まだソラの意識は戻らない。

すこし心配だ。


「数時間は安静にしておくべきだろう。」


おじいちゃんが言うなら問題はない。

詐欺医者なら問題しかないけど。


あとは、願うのみである。

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