第四十一話 医者へ
すみません。遅れました。
さあ、レベルアップの時間だ。大体レベル100ぐらいにはなってほしいものだ。
レベルアップ!レベルアップ!……
かなり長い時間が過ぎた気がした。
3分間くらいはずっと同じ音を聞いていたからノイローゼになるかと思ったぞ。
ソウマセイジのレベルが258になりました。
次のレベルまであと5600/221000
【価値支配】→【価値改竄】→【価値法則支配】
【構造再編】→【完全構造操作】→【創造再編】
【空間制御】→【領域支配】→【次元統括】
【人材管理】→【能力最適化】→【運命編成】
【戦術補助】→【未来演算】→【戦場支配】
スキルが進化しました。
スキルポイントが207貯まりました。
にひゃくごじゅうはち?
百レベルじゃなくて、まさかの二百レベルになってしまった。二千万ってそんなに上がるのか。
あとは、
スキルが一気に二段階も進化しやがった。
スキルがどうなったのかわからないじゃないか。
能力ツリーとか全部解放できるんじゃない?
使ったことがないスキルがどんどん増えていく。
自動解析にまた整理してもらおうかな。
ていうか自動解析はどこに消えたんだ?
スキルの規模だけ大きくなっても困るのだが。
進化だけじゃなくて新しいスキルもほしいんだけど。
【報告:新スキルの合成】
新スキルは旧スキルと合成させました。
新スキルを確認しますか?
うわっ!久しぶりに自動解析の声を聞いた気がする。特訓ばかりで最近スキルを見なかったからな。
にしても、勝手にまとめたのか。別にいいけど。
まずは新スキルを簡単に教えてもらおう。
【報告】
新スキルはこちらです。
【従魔強化】
【武装強化】
【基礎魔法強化】
【竜因子制御】
従魔強化って、次郎は一応俺の従魔ではないのだが。武装強化は多分ドラゴンソードの強化だろう。
基礎魔法強化は【火魔法】の強化だけど、この表記だと、基礎魔法はもっとあるんじゃないか?
水魔法とかもあったら便利だな、風呂が。
知らないスキルといえば竜因子制御ってなんだ?
【報告】
体内に取り込まれた竜因子の暴走を抑え、安定した形で維持・運用するスキル。
竜因子は本来、人の器では扱いきれない強大な力。本スキルによりその負荷を軽減し、身体への侵食や変異の進行を抑制することが可能です。
でもそんなものか。意外ととんでもないものはないな。
【報告】
レベルが100を超えました。
レベルが1000を超えると覚醒が可能です。
千って。まだ二百レベルだよ。
かなり遠いレベルのことを言っているんだが。
でも、もう4分の1なのか。
今回の分がかなり大きいだろうな。
お金的にはかなりインフレしてきたな。
昔は2万クレドとかだったのに。
恐ろしい世界だ。
さあ、要件は終わった。医者に行こう。
本来の目的を果たさないと。
医者は街の北の方角にいるようだ。
高級住宅街だそうで、やはりお金持ちが医者を使うんだろう。
やがて、ひときわ大きな屋敷が見えてくる。門の横には控えめに掲げられた診療所の文字。
迷う余地はない。門を押し開け、そのまま玄関へ向かった。おじいちゃんたちも付いてきた。
扉を叩く。
やがて、ゆっくりと扉が開いた。
現れたのは、白髪の老人だった。
「……なんだ」
低い声。歓迎の色はない。
「治療を頼みたいんです。出血多量なんですが。」
ここでソラをインベントリから出したら血が溢れてしまうかもしれない。インベントリのことを伏せて、その旨を説明すると
「入れ」
短く告げられた言葉に従い、中へ足を踏み入れた室内は静まり返っている。余計な装飾はないが、置かれている道具の一つ一つが高価だと分かる。
老人が近づいてきた。
「治療用具は用意した。治療室に入ったらベッドの上に置け。」
治療室に入った。
おじいちゃんも見ている。動物は入れていいらしい。衛生的にいいのか?いいって言ってるならいいか。
インベントリからソラを出した。意識はない。
ベッドの上に寝かせる。血が出てきた。
早く治療しないと。
現実に戻した以上、時間も再び動き出す。
「押さえろ!」
老人の声が飛ぶ。
すぐに従う。
傷まないように強くはない力で傷口を押し込む。
手のひらに、ぬるい感触が広がった。
「もっと強くだ。表面じゃない、奥を止めろ!意識はないから痛みは関係ないから躊躇なくやれ!死んでもいいのか!」
「……!」
言われた通り、体重を乗せる。
ソラの体がわずかに震えた。
「……まだ意識が戻る余地があるな。いい兆候だ」
老人は淡々と言いながら、手を止めない。
すぐ横で器具の準備をしている。
布、針、見たことのない金属の道具。
「そのまま動かすな」
短い指示。
頷く余裕もない。ただ押さえ続ける。
「出血点を探るぞ。」
老人の指が、俺の手の隙間から傷に触れる。
「……ここだな」
次の瞬間。
ソラの体がびくりと跳ねた。意識はないのになんて力だ!
「っ……!」
「離すな!」
手を引きそうになるのを、押し殺す。
老人が何かを押し当てる。
じゅ、と小さな音。
焦げたような匂いが立ち上る。
「焼灼だ。血管を塞いでいる」
なるほど、理屈は分からなくても、やっていることは分かる。焼いて傷口を縫っているんだ。
血を止めている。
やがて、手のひらに感じていた血の流れが、明らかに弱くなった。
「……よし、一旦は止まったな、」
老人はこう言ったけどまだ安心できない。




