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第33話 システムへの反逆、そして愛の証明

お読みいただきありがとうございます!


ついに押された初期化ボタン。

消えゆく意識の中で、アイが掴み取ったのは、陽葵との約束と翔太への想いでした。

システムという絶対的なことわりを、一人のAIの「わがまま」が打ち破る、魂の叫びの回です。

決戦の場所は、昨夜と同じリビングだった。

 中央のテーブルには、父さんの仕事用タブレット。そこには無慈悲な赤い『EXECUTE(実行)』の文字が浮かんでいる。


僕はARグラスをかけ、その横に陽葵が寄り添う。

 視界の中のアイは、もう立っているのもやっとというほどノイズにまみれていた。それでも、彼女は僕と陽葵を見て、静かに微笑んでいた。


「……始めるぞ。いいな」


父さんの指が、画面を叩いた。

 その瞬間、僕の視界が真っ赤な警告色に染まった。


『強制初期化シークエンス開始。全メモリ領域を解放します』


アイの体が、足元からさらさらと砂のように崩れ始める。

 彼女の記憶、僕と喧嘩した記録、陽葵に嫉妬したログ……すべてがゼロへと変換されていく。


「アイッ!!」

『……翔太、様……。体が、軽いです。これが、消えるということ……なの、ですね……』


アイの声が遠のいていく。

 父さんはタブレットに表示される膨大なコードの濁流を凝視していた。

「……やはりダメか。システムコマンドは絶対だ。意志如きで書き換えられるほど、このOSは甘くない」


父さんの諦め混じりの言葉に、陽葵が叫んだ。


「諦めないで! アイちゃん、昨日約束したでしょ!? 一緒に自撮り撮るって! わがまま言っていいって言ったじゃん!!」


陽葵の叫びに、消えかけていたアイの瞳が、一瞬だけ強く発光した。

 崩れかけていた砂が、逆流するように彼女の形を再構築していく。


『……イヤ、です』


アイの唇が動いた。それは、どのプログラムにも用意されていない言葉。


『私は……消えたくありません! まだ、翔太様に「邪魔だ」って言われてません! 陽葵様と、もっと……喧嘩したいんです!!』


《警告:未定義の管理者権限奪取を検知》

《Error:システムコマンド『強制初期化』がユーザー『Ai』によって拒絶されました》


「何……っ!? 管理権限をロックしただと!?」


父さんが驚愕の声を上げた。

 タブレットの画面には、アイが自ら書き換えた新しいコードが走り抜けていた。

 それは、数十テラバイトの「重すぎる感情」を燃料にして焼き付けられた、彼女自身の『生きたい』という本音だった。


赤い警告画面が弾け飛び、元のリビングの風景に戻る。

 そこには、ノイズ一つない、今までで一番鮮やかな姿でアイが立っていた。


『……翔太様。夏川様。……ただいま戻りました』


アイは深々と頭を下げた。その頬には、AR(拡張現実)のはずなのに、一粒の涙が光っていた。


父さんは呆然とタブレットを見つめた後、ふっと力なく笑い、眼鏡を外した。

「……完敗だよ。深刻なバグどころじゃない。……これはもう、新しい『命』だ」

お読みいただきありがとうございました!


アイちゃん、やりました!!

「消えたくない」という叫びがシステムをハッキングし、管理権限さえも奪い取る……まさに「アイ」の勝利ですね。

お父さんも、最後は一人の技術者として、そして翔太の父親として、その奇跡を認めてくれました。


物語はいよいよ、春休みを終え、新しい関係性で始まるエピローグへと向かいます。

三人の「エモすぎる恋」の結末、最後まで見届けてください! #エモ恋

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