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16 聖女になるために

申し訳ありません。

前話(第15話)投稿したものが、昨夜眠りながらなんか違うとモヤモヤしてしまいまして、本日大幅改稿して再投稿させていただきました。

(ランスロットが毒を受けて死にそうなのは変わりません)

改稿版を読まずともお話は繋がりますが、今後のお話は改稿版の方で進めさせていただきたいと思います。

私が納得できないという理由で大幅にお話を変えて、改稿前のお話をお読みくださった読者の皆さまには大変申し訳ないのですが、ご理解いただけますと幸いです。

 クリスティーナは大切なものをどこまで奪われるのか。



 ──俺がいる! 俺があんたの力になるから……!


 「俺を使え」と言っていたのに、ランスロットはクリスティーナを置いて逝ってしまうのか。


 クリスティーナは小一時間ほどランスロットのそばで涙を流した。



 ランスロットを失いたくない。

 クリスティーナは決意する。



「アレク……いいかしら? お願いがあるの」


 クリスティーナはアレクシスの天幕へと入る。


「どうした? ランスロットのそばについていなくて良いのか?」

「ランスを助けるために……聖女の力を使いたいの……!」

「っ! やはり……お前っ!」


 アレクシスの目がカッと見開く。


「いえ、私は聖女ではないわ……今はまだ……」

「今はまだ、ということはクリスティーナ。お前が聖女になる可能性を秘めていると……?」

「ええ」


 ルーナ王国の王族には王女にだけ受け継がれる伝承がある。

 はるか昔、ルーナ王国の王は聖女と恋に落ち聖女を妃と迎えた。だが王は自分の妻が他国から狙われることを恐れ、髪の色を変えさせ聖女であることを隠した。

 それから王家に生まれる女子は紫の瞳に銀色の髪をして、聖女の力を持って産まれるようになった。

 だがそれはいきなり使える力ではない。


「聖女の力を解放する条件は……男性に愛されることが条件……」

「愛されることってなんだ? 御伽噺のように熱烈な口づけでもすれば良いのか?」

「違うわ……もっと肉体的に……」

「はっ、抱けばいいのか!」


 そう言われ、クリスティーナは苦痛そうに顔を歪める。


「はぁ」


 アレクシスは片手で髪をくしゃくしゃとしてため息を吐く。


「そんな嫌そうな顔をするな。ランスロットを助けたいってことは、私に抱いてもらいたくてここに来たんだろう? 私だって嫌がる女を抱くのは趣味ではない」

「ごめんなさい……」


 今はアレクシスを頼る他手段はない。


「本当に、良いのか?」

「どういう意味?」

「ランスロットのことが好きなんだろ? 男として……」

「っ!」


 クリスティーナは一瞬だけ目を見開き、キュッと唇を噛み締める。

 それはクリスティーナが気付かないようにしていた心の内。

 本当はずっとランスロットのことが気になっていた。


「好きでもないような男に身を捧げるようなことをして良いのか?」


 クリスティーナは俯いて拳をギュッと握りしめ小刻みに震えた。


「だったら……なんだって言うのよ……」


 クリスティーナが小さく声を発する。

 そして前を向いてキッときつくアレクシスを睨みつける。


「そうよ! ランスが好きよ! 誰よりも私のことを大切にしてくれるランスが好きだって思ったわ! できることならこの身は彼に捧げたい!! でも……」

「好きな男の命を守るために、好きでもない男に抱かれるのか。皮肉なものだな……」


 クリスティーナは下を向く。


「まあ、いい。私としては聖女の力に興味があるし、もともとお前が欲しいと思っていた」


 アレクシスはクリスティーナに近づき、顎を掴んでクイッと顔を上に向ける。


「抱けば良いのだろう? ランスロットが死にそうなときにこんなことをするのは卑怯な気もするが、めいっぱい甘く抱いて、愛してやろう。ランスロットなんて忘れるほどに……! そして、私に堕ちて、私のことを愛していると言わせてやるさ」


 クリスティーナは再びアレクシスを睨みつける。


「そんなこと死んでも言わないわ」

「ははっ! 面白い。そういうところも嫌いじゃない。少し待っていろ」


 アレクシスはクリスティーナの顎から手を離し、天幕から出ていった。

 そして少ししてから戻ってくる。


「?」

「今夜はここに誰も近づけないようにとヴィクターに指示を出してきた。あと、これを……」


 アレクシスは液体の入った小瓶をクリスティーナに渡す。


「これは何?」

「媚薬だ。痛いのは嫌だろう?」


 クリスティーナは顔を顰めた。


「いらないわ。痛くてもいい」


 これはランスロットを助けるためだけの行為だ。ランスロットの苦しみを思えば、痛いくらいなんてことない。

 この胸の痛みが誤魔化されるくらい痛くされた方がちょうどいい。


 クリスティーナは小瓶をアレクシスに突き返すとアレクシスはそれを一気に煽って口に含む。


「んっ……!」


 そしてすぐに口付けてきて、それがクリスティーナの口の中に流れ込む。

 飲み込まなければ口から垂れてしまう。仕方なくクリスティーナはそれを飲み込む。

 そしてゆっくりとアレクシスの唇が離れていって、アレクシスの胸を押して突き飛ばす。


「なにするのよ!?」

「媚薬は避妊効果もあるんだ。好きでもない男の子どもを孕むのは嫌だろう」

「……」


 わざわざ口移しで飲ませなくとも、それならそうと言ってくれれば良い。恨めしい気持ちでアレクシスを見る。


「ははっ、そういう顔もかわいいな。こちらへ来い」


 アレクシスはクリスティーナの手を引いて簡易的に用意された寝台へ向かう。

 悔しいが今日はクリスティーナも抵抗はしない。


 これから彼と身体を重ねるのかと考え心臓がばくばくとうるさく鳴る。

 覚悟をしてここまで来たが、緊張もある。


 すぐにアレクシスに寝台へ押し倒される。


「そう硬くなるな……」


 アレクシスはクリスティーナに口付ける。

 だが、クリスティーナは首を振って唇を離す。


「そういうのはいらないわ……」


 本当に愛し合う必要はない。

 聖女の力を覚醒させるためには抱いてさえもらえれば、覚醒する。


「クリスティーナ……、気分が乗らなければ抱けるものも抱けなくなる。お前は変な抵抗をせずに私を受け入れろ。嫌なら目を瞑ってランスロットにされているとでも思っておけ……」


 抱けなくなると言われてドキリとした。悔しいが、アレクシスに抱いてもらえなければランスロットを助けることはできない。


 再びアレクシスの顔が近づいてきて、今度はクリスティーナは目を閉じた。


 ふにっと優しくアレクシスの唇が重なる。そして少し離れてまたすぐに唇が重ねられる。

 そして徐々に深い口づけに変わっていく。


 深く甘い口づけに蕩けそうで嫌になる。

 アレクシスの口づけに嫌悪を感じるどころか、気持ちが良いと思ってしまう。好きな人がいるのにそんなことを思うなんて最悪だ。

 アレクシスの唇がゆっくりと離れていくとクリスティーナの瞳は潤んで、トロンとする。そして口からはハァと熱い吐息が溢れる。

 こんな表情をしてしまう自分が嫌で、キュッと顔を歪ませる。

 するとアレクシスは緩く笑う。


「気にするな。媚薬のせいだ。気持ちいいと感じるのは全て媚薬のせいにしろ」


 そう言って、再び口づけながらクリスティーナの服を脱がせていった。

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