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名の無い少年は

今日は、この前助けた少年にもう一度会いに行く日!

前はめっちゃ怯えてたけど…

大丈夫かな。

『心配なのはわかるわ。でも、ルナは優しいもの。きっとすぐに心を開いてくれるわ。』

隣にいる少女の姿をしたルーチェが微笑みながら励ましてくれた。

優しいかはわからないけど、ルーチェの言葉を聞くと安心する。

「うん。」

数回ノックをして、少年の部屋に入ると彼は布団を被りながら隅っこで怯えていた。

「あ、あの。久しぶり。」

しゃがみ込みながら喋りかけると、少年が被っている布団から絹のような白い髪がひょこっと出てきた。

やっぱりまだ怖いよねー。

「覚えているかわからないけど、私はセレネディア。ルナと呼ばれているわ。」

手を差し伸べると、少年が顔をもう少し布団から出してくれた。

「るな?」

彼が私の名前を発した瞬間、ルーチェは青ざめた顔で少年を見つめた。

『アルバ…』

ルーチェがボソッとつぶやいた。

「そう、ルナよ。」

私はちょっとずつ少年に近づいていった。

しゃがみながら歩くのはきついなぁ。

「全部は教えてくれなくてもいいから、少し教えてくれない?あなたの身に何が起こったのか。」

トラウマを引き起こすかもしれない、私のせいで何かが起こるリスクは怖いけど…

このまま彼を放置できない。

ベッドの上にいる彼をしゃがみながらじーっと見つめていると、少年の口がそっと開いた。

「記憶がないんです。名前も覚えていません。覚えていることは…」

彼は何かを思い出したと同時に悲しそうな笑みを浮かべた。

「家族。幸せや記憶は一応あります。ただ、思い出すたびに胸が痛くなる。」

少年は自分の服を強く握りしめながらも、涙を一滴も流さなかった。

これ以上は聞かない方がいいだろう。

これからは未来の話をしよう!

「君は、どうしたい?名前は欲しい?やりたいこととかは?」

少し質問攻めしながらも、答えを待ち続けると前の彼とは別人のように私の目をまっすぐ見て言った。

「強くなりたいです。」

迷いが一つもない瞳には、いろいろな意味が込められているのだろう。

憎しみ、悲しみ、勇気、恐怖、希望、もしかしたらどこか奥深くに楽しみにしている気持ちもあるかもしれない。

「わかった。大公家の騎士団に入れるかパパに聞いてみる。名前の件については、自分で少し考えてみてね。」

また布団の中に隠れてしまった少年は、頷いた。

私は急いでパパの執務室に行き、少年のことを相談し始めた。

「そっか。剣術を習わせるのが確かに一番いいね。というかディア、まだそんなに動いちゃダメって言ってるでしょ?寝てなさい。」

相談しにきただけなのに、私は部屋に戻されてしまった。

しかも抱っこで。

「パパ、もう大丈夫だって!」

必死に訴えるが、パパは聞く耳も持ってくれない。

いじわる。

「寝るまで隣にいるから。寝なさい。」

手を握られ、頭を撫でられた途端、瞼が急に重くなってきてしまった。

パパなんか絶対魔法使った。

だって、そうじゃなきゃ、こんなに、ねむく、なるわけ…

「やっぱり疲れてたんだね。おやすみ、僕とローズの宝物。」

大公は娘のおでこにそっと口付けをした後、仕事をセレネディアの部屋でしたのだった。


「ルナー!」

またあの時と同じ声が聞こえてきた。

「あれー?ルナー?」

今回は『ルナ』がいないみたい。

いつも通り声だけを聞いていると、さっきまで開かなかった私の目が、勢いよく開いた。

『この子は…?』

ずっと私が聞いていた声の正体は、ただの、どこにでもいそうな少女だった。

あなたは誰?

聞きたかった。

でも、口は開かない。

みたことのない、黒い瞳。

前夢の中であった男性と同じ、濃い紫色の髪。

まるで、あの男性の髪と目の色を変えたような少女。

彼女は何もない黒い場所に走っていくと、灰になって消えてしまった。

『待って!』

どうしても言いたかった。

やることがなくなり、床にしゃがみ込むと、さっきまで少女が立っていたところに、ミントグリーンの髪が目立つ、私と同い年くらいの新たな少女が現れた。

あなたも、だれ?

彼女は口を開くと、淡々と喋り始めた。

「明日、耳生えし幼き少女が王を引き出しルナを守る聖女となる」

え…?

どういうこと?

少女はそれだけ伝えてくれると、黒髪と少女と同じく、灰となり消えてしまった。


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