覚醒式の日
「お嬢様、よくお似合いです。」
優しく微笑んでくるテアを見て、私は満面の笑みを浮かべた。
「ありがとう。」
大冒険をたくさんしていたら、気がついたら三週間が経っていた。
白いドレスを着て、私は鏡の前でくるっと回った。
『光の女神は興奮しております。』
『全員があなたの美貌にときめいております。』
めっちゃ褒めてくれてる。
ありがとう。
「お嬢様、大公閣下と公子様たちがお待ちしておりますよ。」
「パパたちが!?」
それは急がねば!
スカートの裾を掴み、扉を開けた瞬間、ヒョイっと持ち上げられた。
「さすが僕の妹。可愛すぎる。」
私のことを抱き上げた犯人は、兄様だった。
おおー!うちのお兄ちゃんって正装したらこんなにカッコ良くなるのか!
「兄様もかっこいいです!リクは相変わらず可愛い!」
リクに向かってニコッと微笑むと、顔を逸らされてしまった。
「姉様だって…かわいいですよ。」
あらぁー!この子ったら!
可愛すぎるでしょ!
「ありがとう!」
やっぱ弟って大事にしなきゃダメだなぁー!
1人悶えていると、兄様が玄関に歩き出した。
「父上が待ってるよ。」
そういえばパパも来るんだよね。
パパも正装してるんだー!
やっぱカッコよくなるのかな?
「ディア、おめでとう。」
おぉ…これは想像以上の美貌だ…
兄様も大きくなったらああなるのかな。
まさか、リクも!?
「パパ!」
リュンヌ家を表す金青色と白の服装、リクも兄様も着てる。
ママがいたら、もっと楽しかったんだろうなぁ。
少し、すこーしだけ悲しくなりながらも、私はパパの腕の中に移って、大神殿に向かった。
「ここが、大神殿。」
城並みの大きさだけど、こっちは、真っ白。
「ディア、今からたぬきが来る。ここからは手を繋いで歩こう。」
たぬき?この神殿にたぬきでも迷ったのかな。
「わかった。」
リクと兄様にエスコートしてもらい、私は中に入った。
「大公様、ライオス大公子様、セレネディア大公女様、アステリスク大公子様、ようこそいらっしゃいました。私は大神官のアルケと申します。」
この人も服真白。
神殿も神殿の人たちも全員真白なのかしら。
「よろしく。ディア、行こう。」
パパを一番前に、私たちは奥に進んで行った。
かなり大きい大神殿の中を兄様たちと共に歩いて行くと、巨大な扉が一つだけ見えてきた。
ここが、覚醒式を行う場所…
「中で他の大神官たちがお待ちです。大公女様、どうぞ、お入りください。」
巨大な扉は自動でゆっくりと開いた。
部屋の中に足を踏み込むと、パパたちは後ろで立ち止まった。
そのことに気づかず、前に進んでいくと、後ろで巨大なものが動く音が聞こえた。
気になって振り向くと、兄様たちはどこにもいなかった。
え…?どういうこと?
『光の女神があなた以外の人間は神官たち以外はこの中に入れないと言っております。』
そうなんだ。ルーチェが言うなら大丈夫だよね。
「大公女様、どうぞあそこにある水晶玉に触れてください。」
さっきの神官さんに言われ、私は白いベールに包まれている空間の中にそっと足を入れた。
「ここの中で、パパも、ママも。」
幼いパパとママを思い浮かべながら、私は水晶玉に触れた。
『今代のルナよ、そなたの目覚めを待っていた。我らの庭に招待しよう。』
知らない人間の声が頭の中で響いた瞬間、水晶玉がまるで太陽と月を混ぜたような光を放った。
「「ディア!」」
兄様たちの声が聞こえた気がする。
目を瞑ると、私は水晶玉に吸い込まれた。




