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廃カス課金プレイヤーがチート知識で神職『リミットブレイカー』になるまで  作者: なんくるないさ~
第二章 アルカノ魔法国編

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2-14 これからの約束



おれとエバスト皇子による決闘(デュエル)が宣言された直後、周囲の空気が一気に張り詰める――かと思いきや、そこにはこの世の物理法則と知性を置き去りにした奇妙な空間が広がっていた。


おれからの決闘を受けるとの宣言に、バカ殿は「にちゃあ」と気色の悪い笑顔を見せ、地震娘がさらに怯えた猫のように四つん這いで奇声を上げていた。


再びシステムがフリーズしたかのように動きを止め、左腕を直角に曲げて天を仰ぎ、右足だけで一本立ちするそのポーズは、前世のクソ格ゲーのバグモーションそのものである。


1秒、2秒、3秒……。


静寂が廊下を支配する。いや、正確にはおれの横でケイコが「おれだけの……おれだけの人生を賭けた女、女、おんなぁ……」と顔面から湯気を出しながら壊れたラジオのように呟いている怪音波と、地震娘の恐怖のガタガタ振動だけが響いている。


泡娘は耐えきれずに足元に転がっている。



そして、きっかり3分が経過した。


夕日の角度が教室の窓から廊下の床へと完全にシフトした瞬間、エバスト皇子はサラリと金髪をかき上げ、キラーンと効果音が聞こえそうな完璧な美貌で、しかし限界オタク特有の『ねっとりとした早口』で喋り出した。


「フッ、よかろう……! 貴様のようなモブキャラが、まさか拙者に対してそこまでの大言壮語を吐くとは、これもう完全に『負けイベントと見せかけた神展開のフラグ』でござるなwww

いいよいいよー、嫌いじゃないよそういうの! むしろ『愛する女のために身の程を弁えず最強の敵に挑む哀れな男』という属性(トッピング)、拙者の引き立て役としては100点満点中53万点と言わざるを得ないね、デュフフ!

決闘の舞台は学園の第一闘技場! 観衆は全校生徒! 圧倒的な光の前にひれ伏し、作画崩壊レベルで涙目になりながらヒロインを拙者に明け渡す敗北の美を、その五体に刻み込むがいいッ!!(一息)」


「あー、はいはい。第一闘技場ね。了解した。じゃ、おれ達はこれで……」


おれが反射的にササッとその場を離れようと一歩下がった瞬間、エバストは「待てぃッ!」と叫び、今度は右手を顎に当てて腰を45度左にひねる、夕日の反射効率計算モードを考慮した、新たな3分間凝固モーションへと移行しようとした。



―――だれがさせるか!


おれはあいつの次のフリーズが完成するよりも早く、ガシッと近衛騎士の肩を掴んだ。


近衛騎士は、すでに魂が天に召されたかのような死んだ魚の目で、おれを見つめ返してくる。


あの属性はこいつらにも効果バツグンだったようだ。


「おい、あんた。このバカ……いや皇子殿下に伝えてくれ。決闘の条件として、エバストが個人的に所有しているあの『星詠みの魔導書(アストラル・グリモワール)』を賭けてもらう。おれが勝ったらそれをいただく。異論はないな?」


近衛騎士は、主君のあまりの羞恥プレイに精神が限界を迎えていたのだろう、おれの要求を聞くと、まるで救い主に出会ったかのように深く、深く、涙目で頷いた。


「承知、いたしました。もしそちら様が殿下に勝利されたならば、あの忌々しい――失礼、殿下のナルシシズムが詰まった魔導書など、国費を叩いてでも、喜んで、喜んで差し上げましょう――。

どうか、どうか我が主のあの歪んだ脳構造に、現実という名の物理的な一撃を叩き込んでやってください……っ!」


近衛騎士のガチすぎる悲痛な懇願に、おれはサムズアップで答える。



―――よし、交渉成立だな。早く逃げよう。


おれは未だにオーバーヒートして壊れたロボットのように頭と手足をカクカクしているケイコの首根っこを回収し、泡を吹きながら白目を剥いてだらしなくヨダレを垂らしている泡娘を肩に担ぎ、盛りのついた猫のように「フゥアーーッ!」と威嚇をし続ける地震娘を脇に抱え、今度こそ音速でその場を撤退した。


背後からは、ようやく次の3分間のチャージを終えたエバスト皇子の、「あれっ!? 待って拙者の超絶美形な決め台詞のターンなのにみんな、みんな居ないでござるぅぅぅー!? ちょ、置いてきぼりとか完全なるバグイベントぉぉぉーー!!」というキモオタ絶叫が響き渡っていたが、おれ達は一瞥もくれずに廊下の角を曲がった。




出口を飛び出し、建物の外へ出た後、それぞれを介抱していく。


丸まってベンチの下に隠れている地震娘には、短剣を渡し「気をつけ!」と号令をかけると、素早くベンチから飛び出し「Sir!! YES!Sir!!」と直立させる。


泡娘には気付け薬として、鼻の下に激クサ簡易食を置き、ヨダレ以外にも涙と鼻水も垂れ流させて無理矢理起こす。


「アハハハ、ウフフフ、エヘへへ」と生気の無い笑いを口から吐き出している赤顔娘には、耳元で「アイシャ。起きろ」と囁くと、目が倍になる程見開き、こっちを向いたので「さっきのはそういうムーヴだ」と説明すると、手をあわあわしながら「わ、分かってますよ」と答えてきた。


ふぅ良かった。正気を取り戻したようだ。


赤顔娘は呆けていたベンチから立ち上がると、おれの方を振り向き、では行きましょうと言ってきた。


―――そうだな。

もう今日はここまでにして宿にでも向かおうか。


おれが宿への道順を姦娘達へ伝えると、赤顔娘だけはキョトンとした顔でこちらを向いた後、おれに近づき、おれの手を取り、おれの目を見つめて、答える。


「何を言ってるんですか?教会へ行って神に誓いを立てに行くに決まってるじゃないですか。あ♡な♡た♡」



―――どうやらおれのメタ○ニの呪文は、エ○クサーを持ってしても解けない程、呪いの言葉となるらしい………





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