1-20 思い込みって恐いよね
気配察知で、ゴブ村にいるゴブリンの数と位置、そして、1番重要な地形を確認する。
剣士の習コツを実施する為の、好条件になる場所を。
ゴブリンは全部で289匹、その内アーチャが32匹で、ゴブリン以外だと、ホブゴブリンが4匹か。
1度でも失敗すれば命は無いかもしれないんだ。
慎重に計画しよう。
5分程、試行錯誤を繰り返し、おおよその計画を立てた。
おれはまず騎士に転職し、気配も消さずに、そのままゴブ村へ突入した。
「ヤッホー!みんなー!こーんにーちわー!」
村中へ響かせるよう、大声で呼びかける。
前回おれに攻められ、こっぴどくやられたせいか、すぐに大勢のゴブリンが駆け付け、おれの周囲を取り囲み、何やら叫んでいる。
よしよしおあつらえ向きだ。
おれはそこから6歩だけ後ろに後退し、挑発スキルを発動させた。
見える範囲には60匹程いるだろうか。
その全てが激しく怒り出し、こちらに向かって来る。
おれはスキル発動後にすぐ、剣士へ転職を開始する。
………3、2、1、バシッ!
ちょうど先頭のゴブリンが振り下ろした棍棒が、おれに当たる直前に転職が完了し、それを弾き返す。
おれは自分に当たりそうになる棍棒だけを全て叩き落とし、真後ろにバック走で走り出しながら、ゴブリン達にスキルではない挑発を繰り返す。
叫びながら追って来るゴブリンを引き連れ、正面に向き直した後、右周りに村の方へ戻りながら、ときたま単品で襲って来るゴブリンを相手にしつつ、目的の場所まで誘導する。
上底と下底で2.5mの段差がある、直径12mのすり鉢上の地形に辿り着くと、おれはそこを半周だけ、引き連れたゴブリンと一緒に回り、その後円の中心に向かって走り出した。
おれが引き連れ来たゴブリンと、円の反対側から回り込もうとして来たゴブリンが一斉に、おれがいる穴の中心に向かって降り始める。
おれはすり鉢の地形の中心で、ものすごい量のゴブリンに囲まれている状況を作り出す。
一斉に360°から襲ってくるゴブリンに対し、棍棒を弾き、避け、撃退し、蹴り上げ、後ろに退かせ、第一陣をその場に止めると、挑発で怒っているゴブリン達は、その第1陣のゴブリンを乗り上げる形で襲って来た。
―――今っ!
おれは回転切りのスキルを発動した瞬間に、その回転軸の左上側に力を込めるように、スキルを放つ。
そうすると、本来であれば水平に回転する斬撃が、波を打つように波紋上の斬撃になり、第1陣と第2陣の両方に当たるように、その場で1回転する。
第1陣と第2陣がスキルで吹き飛ばされた後、その上から第3陣が乗り込んで来る。
第3陣は、ちょうど円の形で攻めて来ているので、スキルじゃない回転切りで、目を叩きつける。
狼狽えているゴブリンの上から、先程吹き飛ばした、第1陣か、第2陣、はたまた第4陣のゴブリンが攻めて来るので、また回転切りのスキルを波紋上に放つ。
不意にすり鉢の縁から飛んでくる矢を撃退しつつ、都度調整しながら同じ作業を繰り返して行く。
ホブゴブリンも集まって来てるようだが、もうすでに怒り心頭のゴブリンで溢れ返っている場所に、降りて来ることさえ出来ないでいた。
念の為、14回程作業を繰り返した後、ホブゴブリンがいない方向を向き、目の前にいるゴブリンの顔面を、下から上に弾き飛ばし、上空に上がったゴブリンを足場に、2段ジャンプのような形で飛び上がる。
着地地点にいるゴブリン目掛けて、縦回転になるように、回転切りのスキルを放ち、また外側に向かって走る。
同じように、目の前に来たゴブリンを上側に弾き飛ばし、2段ジャンプをすると、外周の縁に辿り着いた。
目の前にいるアーチャーを含めたゴブリンの目を切り裂き、そのまま外側に向かって全力で村を脱出する。
その間にも他のゴブリンや、追ってくるゴブリン達はいたが、たかが数匹でおれが止められるはずもなく、おれは無事に脱出することが出来た。
よし!作戦は大成功だ!
計算も出来ない単純な生物で良かったよ。
バーカ。バーカ。
さて、じゃあお楽しみの結果確認だ。
「ステータスオープン」
アキヒロ
HP : 110/110 MP : 10/10 SP : 65/140
STR : 17 DEX : 14 VIT : 11 AG I : 16
INT : 1 MND : 1 LUK : 2
【職業】
剣士☆2(99/100)
【職業履歴】
槍士☆2(0/100)、戦士☆1(5/10)、
武道家☆3(0/500)、盗賊☆1(0/10)、
騎士☆1(7/10)、斥候☆1(0/10)
【スキル】
スラッシュ、回転切り、シングルスラスト、足払い、ラッシュ、正拳突き、回し蹴り、チャクラ、スティール、解錠、突撃、挑発、気配察知、罠感知
【所持金】
550ゴールド
――――――はっ?
習熟度、、、99?
残り、、、1、、、、足りてない?
う、、、そ、、、だ、、、
そりゃあんな状態で激しく動いてたんだ。
レベルアップによる上昇なんて気にしてる余裕は無かったけど、、、
―――まじで?
クソ!
14回で十分だと思ってたのに!
こんな単純な計算も出来ないなんて!(バーカ。バーカ)
――――――仕方がない。
おれは徐に立ち上がり、歩き出す。
そして、目的地に着くと、行動を開始する。
「みんなー!また来たよー!こーんにーちわー!」




