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公爵姉妹は幸せです  作者: 京栞


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85/110

#85

(言えない……投稿ボタン押し忘れてたのに木曜深夜に気付いたなんて金曜日になってから気付いたなんて言えないっ!)

そんな訳で本日2話更新(予定)でございます。2話目も今夜中になんとか。

本ッ当にすみません……

「それで、ダスゲイル子爵が怪しいと思うんです。でも、ユリウスが捕まったことがどうやら漏れてしまったようで、公爵邸に来ることは無くなってしまって……。お姉さまが帰ってくるまでには犯人を捕まえたかったんですけど……」


 その日の夕食後、私とエルヴィンはお姉さまの執務室で、お姉さまに今までの報告をしていた。

 とは言っても、再会してからこれほど会わなかったのは初めてで寂しかったからと、お姉さまは私のことを自身の膝の上にのせて下ろしてくれないので、お姉さまの膝の上から上目遣いで報告するというなんとも締まらない絵面なのだけれど。


 お姉さまに起こった出来事を報告し終え、お姉さまの帰還までに問題の解決へ至れなかったことを悔やんでいると、お姉さまが私をぎゅっと力を込めて抱きしめる。


「お、お姉さま?」

「リリが無事なら、それでいいの。事を急いて余計に危険な目に遭うのは嫌。私の役に立ってくれようとするのはとても嬉しいけれど、妹らしく甘えても欲しいのよ」


 そういったお姉さまの声は少し苦しげでぎゅっと。

 抱きしめられているので、お姉さまの顔は見えない。


 確かに多少無茶をした自覚はあるので何も言えないでいると、エルヴィンがフォローするように口を開く。


「ダスゲイルのことなら俺も動いていますから、姫様の手はこれ以上煩わせません」

「何か進展は?」

「ダスゲイル自体は捉えるのに必要な証拠を揃えることに問題ではないのですが、その先を特定するのがなかなか厳しいです。中央の連中は北部に介入するときは何重にも人を介しますから、繋がれた先は分かっているのにもどかしいですね。……奥様のご実家を頼ることを検討された方が良いかもしれません」


 エルヴィンの言葉にお姉さまが顔をそちらに向けたのが分かる。


「母様の実家……おじい様や叔父上を頼れと?」


 お姉さまの雰囲気が一瞬だけ厳しくなったのを感じ取り、思わず体を離してお姉さまを見上げるとお姉さまは私を安心させようというように微かに笑む。


「リリにはまだ話したことが無かったかしら。私のお母様は中央の法曹関係の家の出なの。だからある程度高位貴族の圧を避けながら調べる方法も備えているし、法には厳しい方々だから協力していただくことは可能だと思うわ。あまり借りは作りたくないのだけど、この状況じゃ頼らざるを得ないわね。……必要なら連絡は任せるが、余計な情報は落とさないように」


 お姉さまの口ぶりから、嫌っているわけではなさそうだけれど、無条件に頼れる相手でもないようだ。

 もっとも、私はそもそもが妾の子なのでそう関われる相手ではないと思うけど。


 エルヴィンはお姉さまの言葉に頷くと、少しだけ緊張した面持ちで今度は私に向かって声をかける。


「では、そのように。……それと、姫様にお願いしたいこととお聞きしたいことが」

「何ですか?」

「今回の件や、今後のことを踏まえて、姫様の周りに置いておける人間の条件が厳しくなるでしょう。姫様と同じ孤児院で過ごしたというだけの中途半端な立場のままでは、何れ姫様だけでなく自分の身も危険に晒すことになるでしょう。酷なことですが、彼らは早めにそれぞれの身の振り方を決めねばなりません」


 エルヴィンの言うことは正しい。

 私以外は公爵邸の使用人予定として滞在させてもらっているけれど、現状で仕事が出来るのは精々ビリーくらいのもので、他の使用人たちも彼らを手助けしてくれそうになかった。


 お姉さまが帰ってくるまでは私の部屋の近くに部屋をもらっていたけれど、ある程度のことが解決しそうな今、邸内に留めておけるだけの理由がない。

 理由があったとしても私の望みであることを分からない人間はいないだろうが、長期化すれば彼らが厚遇されることを良く思わない人も増えることは火を見るよりも明らかだ。


 私といきなり別れることは互いに突然で耐えられなかったけれど、環境の変化に嫌気が差してしまっていることもあるかもしれない。

 あるいは公爵邸ではないどこかでやりたいことができているかもしれない。

 そして、それはきっと、私が聞いても教えてもらえないことだ。


 エルヴィンが考えていることはそれだけではなさそうな気もするけれど、一番の理由は私が大きく傷つくことがないようにという配慮でもあるのだ。

 溝が大きくなってしまってから修復するよりも小さなひびのうちであればやり方を変えていけるから。


「彼らの望む生活の為にも姫様のお友達と話す機会をあたえていただきたいのです。できれば一対一で一人ずつ、できれば姫様とも」

「……分かりました。本人たちが受け入れるなら私は別に構いません。聞きたいこととは?」

「これは公爵閣下にも関係しますから、お二人でしっかり話し合っていただいてから判断していただきたいのですが……」

お読みいただきありがとうございます。

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