#83
昨日は更新できずすみません!
お盆のあいさつ回りを嘗めていたorz
短めです。
「ルニエッタ卿……」
ルニエッタ卿のスマートな受け答えは、あまりにも絵になる。
私が再びそれに見惚れていると、後ろから声がかかる。
「マーガレット様、姫様もそろそろ邸内に入られてはいかがですか?」
「これはシュトゥルム卿ではありませんか。反逆の疑いとやらは晴れたので?」
再会を邪魔しないようにと邸内で待っていてくれたエルヴィンがやってきたのだ。
エルヴィンに気付いたルニエッタ卿はにやりと笑うと芝居がかった仕草で礼をする。
対するエルヴィンはどこか呆れた顔で、額に手を当てると溜息を吐いた。
「誰かと思えばお転婆アニーか。女性陣が沸き立っているわけだ。ま、例の件は最初から閣下と示し合わせてただけだからな、騒がせて悪い。お前は相変わらず紳士的に振舞うのは良いが、思わせぶりなことをし過ぎてあまり旦那を心配させるなよ?」
エルヴィンの親し気な口ぶりに少し驚く。
エルヴィンは騎士ではないけれど、ルニエッタ卿と交流があるのだろうか?
アニーというのはルニエッタ卿の名前。
つまりルニエッタ卿がお転婆だということ?
こんなに落ち着いていて格好良いルニエッタ卿が?
エルヴィンの言葉に決まり悪気な顔をして、ルニエッタ隊長は目線を逸らす。
私の頭に浮かんだ疑問符を感じ取ったエルヴィンが笑いながら説明してくれる。
「俺は先代公爵閣下の側近の中でも外回りが多かったので、騎士団にも出入りしてまして。アニーは親戚も騎士なので入団前から顔なじみなんですよ」
「では、お転婆アニーというのは?」
お姉さまがそう尋ねると、エルヴィンは生暖かい視線をルニエッタ卿に送り、視線を受けた本人はしぶしぶと口を開く。
「私が入団した女性の見習いが少ない頃でして。入団したは良いものの、騎士団は女性への当たりはきつかったんですよ。それで……少々……」
ルニエッタ卿が言いづらそうに言葉を濁したその後をエルヴィンが引き継ぐ。
「当時の騎士団の鍛錬場を半壊させて何が少々だ。あれの修復で騎士団の予算は半年分吹き飛んで俺が補填に苦労したのに。それにあれは「女性」へのやっかみじゃなくて、入団早々騎士団長に喧嘩を売ったお前が悪いんだってのは俺は知ってるんだぞ」
「ぐっ。……若気の至りですよ」
騎士団の鍛錬場を、半壊。
その言葉でルニエッタ卿の実力が相当なものであることを理解するとともに、そこまでの被害が出るのは一体何をしたのだろうかと思う。
騎士団の鍛錬場ともなれば、純粋に武術が強い人も、お姉さまのように魔法や広範囲に影響を与えられるような力を持つ人も利用する以上、そう簡単に壊されてしまうような設備ではないはず。
しかも騎士団の予算半年分の修繕とは。
心理的に止めを刺され、カエルが踏まれたようなうめき声をあげてしまってから、拗ねたような言い訳を付け加えるルニエッタ卿の姿は先ほどまでの騎士然とした姿とは打って変わってどこか可愛らしく見えてくる。
それまで黙って興味深そうに話を聞いていたお姉さまがにやりとしてルニエッタ卿に声をかける。
お姉さまもルニエッタ卿との付き合いが長いと感じさせる口調で揶揄うような声色だ。
「それは私も知らない事実ね。私が出会ったころには非の打ちどころのない立派な騎士様だったもの。私も爵位を継承したばかりの頃は威厳が欲しかったからアニーの口調や振る舞いは参考にさせてもらったのだけど、努力の結果だったのね?」
「ご安心を、閣下。あくまで、昔の話です。今はこのように問題なく業務を行っていますから」
お姉様の言葉に、あくまで、を特に強調してすまし顔で返答したルニエッタ卿だったが、エルヴィンは容赦なく追撃する。
「いやぁ、どうだろうな。お前、この前も派遣先の盗賊を一人で討伐しようとしたって始末書を書かされていたじゃないか。団長が呆れてたぞ? マーガレット様、アニーを護衛にするつもりならお目付け役をつけないと一緒に暴走しますよ?」
「……なるほど、検討しておくわ」
「か、閣下……」
うなだれてしまったルニエッタ卿を見兼ねた私は話を逸らそうと試みる。
「あ、あの! 辺境はどうだったのでしょうか?」
お読みいただきありがとうございます。
次回更新予定 8/17




