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公爵姉妹は幸せです  作者: 京栞


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51/63

#51

昨日は更新できずにすみません。

突発的な体調不良に陥り一日寝込んでおりまして……

いつも更新遅れて本当にすみません……

(熱とかではなく、現在は回復してます)

(sideミディ)

 私の話をどこまで信じていただけるのかは分かりませんが、どこから説明いたしましょうか。


 ……シュトゥルム卿は元々、お嬢様の御父上であられる先代ブルーメ公爵閣下の側近をしていたことはお嬢様もご存知ですよね?

 執事長の息子であり私の父である先代の執事や、ユリウス兄さま……ユリウス・カルスト卿の父君も先代にお仕えする側近の一員でした。

 先代の側近を務めていた者は皆、幼少期からこの公爵邸で先代と共に育ち、その傍にあり続ける方々でした。

 ただ一人、エルヴィン・シュトゥルム男爵を除いて。


 シュトゥルム男爵家自体は、ブルーメ家の家臣の中でも最も長くお仕えする家の一つで、爵位こそ低いですがブルーメ家の傍系の一つでもあります。

 元々側近となる予定だったのは、私の父のように公爵邸に集められた者たちでした。

 先々代の公爵閣下……お嬢様のおじい様にあたるお方と、シュトゥルム家の先代は、はとこの関係性にあるそうでその息子であるエルヴィン卿も側近の候補に上がったそうですが、シュトゥルム家は息子を手元で育てたいのだと側近の話まで蹴ってしまわれたそうです。


 しかし、先々代がお亡くなりになるとすぐに、先代公爵閣下はシュトゥルム家から側近を迎え入れるとお決めになり、先代と同年代の嫡男であるエルヴィン卿が側近に加わりました。


 ……いえ、私の父もユリウス兄さまの父君もシュトゥルム卿を虐げたりするようなことはありませんでした。

 シュトゥルム卿は唯一公爵邸の外で育った側近でしたから、業務は対外交渉や情報収集といった分野が中心で先代と同じ場所に長期間留まるということは確かに稀でした。

 それでも仕事に対しては厳しい評価をなさったという先代が側近に望まれるほど優秀な方ですし、あのように気さくなふるまいをなさる方ですから、早々に他の側近とも公私ともに以前からの友人のように親しい付き合いをするようになりました。


 私が今のお嬢様と同じくらいの年頃の話ですが、私やユリウス兄さまと会う機会があれば、必ず好みに合った土産を持ってきてくれたことも記憶にあります。

 そのあとの悲劇が重ならなければ、私もあの方の振る舞いに騙されていたでしょうから。


 最初に亡くなったのは、ユリウス兄さまの父君でした。

 とある会議に先代の代理として出席するための移動の途中に賊に襲われ、遺体は悲惨な状態で発見されました。

 賊が出たルートを勧めたのは、その前の月に同じルートで視察へ行ってきたシュトゥルム卿です。


 ユリウス兄さまの母君は、夫の葬儀の一週間後、首をつって亡くなりました。

 葬式の晩に訪ねてきたシュトゥルム卿と激しい口論をし、彼が出て行ってから気丈に振舞うことさえできなくなりやつれていったそうです。

 友人だった私の母にも相談はせず、ユリウス兄さまが外に出ていた隙に自室で亡くなりました。

 お兄様がかろうじて覚えている遺書には一言、「息子だけは見逃して下さい」と書かれてあったそうです。


 ……ユリウス兄さまは既に次代の側近候補として決まっていましたから、公爵邸の敷地内に住んでいる我が家で引き取り暮らすこととなりました。


 大事な友人夫婦両方の死に関わっていそうな不審さを見過ごせなかった私の父は、先代にシュトゥルム卿の罷免を要求しました。

 しかし先代は証拠もないのに罷免などできないとおっしゃり、最終的に三年の間、国の仕事をブルーメ家の代理として隣国へ赴任することで決着しました。


 父も心の底では疑いきれなかったのでしょう。

 シュトゥルム卿が何事もなくその任期を終えたならば再び側近に戻すことを承諾したのです。


 ですが、二年経たずにシュトゥルム卿は戻ってくることになります。


 先代公爵夫妻とその側近全員が亡くなったからです。

 本来なら不測の事態に備え側近のうち一人は公爵邸にいるはずが、シュトゥルム卿を除く先代の側近全員が同行し、事故で亡くなったのです。

 移動の馬車は複数台あったというのに、護衛の騎士の馬も含め一行の全てが崖から落ち、全員が悲惨な姿で発見されるという、余りにもできすぎた事故でした。


 私の母も先代公爵夫人の侍女としてお仕えしていましたから、私に残された家族は執事長である祖父だけになってしまいました。

 ……今でも、あの大量の棺とその前にいるエルヴィン卿が夢に出るんです。


 シュトゥルム卿は事故の知らせの後、すぐに北部へ戻ってくると、それぞれの葬儀を行い、翌日にはマーガレット様の代理だと言い、領政を仕切り始めたのです。

 まるで前々からこの時期に戻ってくる予定だったかのように、専門外のはずの分野まで。


 側近の遺族も、執事長である祖父の庇護を受けていた私とユリウス兄さま以外は公爵邸から出され、それぞれの実家に戻ることになりました。

 公爵邸内の部屋は、先代から側近たちへの報償でもあったのに、マーガレット様に代替わりするのだからと、それも全て取り上げられたのです。

 幾人かは、実家に戻る道中で消息を絶っています。

 消息を絶った人間は出て行く前にエルヴィン卿と話していた姿も目撃されているのですよ。


 マーガレット様が成人なさるまで、いえ、今も、エルヴィン卿が実験を握っていることは多いのです。

 ですが、マーガレット様はそれを不審にも思わずそのままにしていました。

 必要であれば私たちがいくらでも働くのに、わざわざ彼を使い続ける理由はないはずです。


 案の定、今回彼は反乱の知らせを握りつぶしていたではありませんか!

 きっとマーガレット様がすべてを取り戻される前に消すつもりだったに違いありません。


 ……これを聞いてもまだ、公爵様と同じように、エルヴィン卿が潔白だと思われるのですか?

お読みいただきありがとうございます。


次回更新予定 6/1

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